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【WIRELESS JAPAN 2008】
富士通の岩淵氏、モバイルブロードバンドへの取り組みを語る

 22日に初日を迎えた「WIRELESS JAPAN 2008」の基調講演として、富士通の常務理事 モバイルシステム事業本部長の岩淵英介氏による「モバイルブロードバンドの多彩なニーズに応える富士通のネットワーク戦略」と題した講演が行われた。


モバイルブロードバンドの社会的意義

富士通の岩淵英介氏

富士通の岩淵英介氏
 岩淵氏は「モバイルブロードバンドは、今後の産業において非常に重要なエレメントになる」として、まずモバイル技術の発展について紹介。

 モバイル技術は常に“ビット・パー・フリークエンシー”の向上を目指した開発努力と、ネットワークインフラの構築、端末の投入が続けらているが、これらの背景にあるのは、有限の電波資源をいかに有効に使うかという点であり、このための技術開発が欠かせないという。同氏は「その技術が非常に大きく変化しようとしており、それがこのモバイルブロードバンドだと思う。やっとLTE、あるいはWiMAXという新しい技術を中心に、様子が見えてきたというが昨今の状況である」と語る。

 また、モバイルブロードバンドがもつ社会的意義についても説明。総務省による「情報通信白書」のデータをもとに、ICT産業がこれまでどおり経済成長を牽引していくとしながら、経済効果のみならず、モバイル活用によるユビキタス化がもたらす生産性の向上が昨今の労働人口低減の対策にもなりうるとした。

 さらに、モバイルブロードバンドが日本のグローバル展開に役立つことが期待されており、培ってきたモバイル文化をさらに発展させ、モバイルブロードバンドの先進国であるという日本のポジショニングが大事であるとも語った。


モバイル技術の発展 社会的意義
モバイル技術の発展
モバイルブロードバンドの社会的意義

「新しい適用分野の開拓」と「インフラ」が早期離陸のポイント

加入者予測

世界モバイルブロードバンド加入者予測

早期離陸の鍵

モバイルブロードバンド早期離陸の鍵
 世界的に見た場合、2012年にはモバイルブロードバンドだけで7500万加入が予測され、広い意味でのモバイルブロードバンドは、トータルで40数億に達し、4人に1人がモバイルブロードバンドになるという。

 これに対してどのように対応していくかが非常に重要な課題であるが、「いくら技術的に期待できても、早くリリースできなければ産業としての熟成は遅れる」として、その打開策は「新しい適用分野の開拓」と「通信事業者によるインフラ投資の敷居を下げること」の2点にあるとした。

 さらに「新しい適用分野の開拓」のためには、LTEやWiMAXによる「従来サービス体験のイノベーション」「法人モバイルのイノベーション」「交通システムのイノベーション」「公共安全向けの無線通信のイノベーション」の4つが大事であると語った。

 これらのイノベーションに対して、ネットワークインフラに求められる機能要件は、コスト・パー・ビットの低減、アップリンクの高速化、サービス信頼性の向上、柔軟性なネットワークをもつ「多様なサービスに応える、1ランク上のネットワーク」であり、さらにそれを実現するための技術要件として「3GからLTEに対してスムーズな移行が十分考慮されていなければいけない」とその重要性を強調した。


多様なニーズに応えるため、WiMAXとLTEの両方に対応

 以上の流れを踏まえ、岩淵氏は富士通としてのビジネス戦略、および技術戦略を紹介する。

 同氏はビジネス戦略のポイントとして「ユーザの多様なニーズに対応するためにはWiMAXとLTEの両方に対応することが妥当」とし、あわせて基地局の小型化、軽量化による導入コストと運用コストの低減、製品展開のグローバル化、新しい携帯端末の開発以外にも、法人や次世代交通システム、公共安全といった新用途の開拓も推進するとした。

 「幸いなことに、富士通は装置メーカであるとともに、ソリューションをカスタマーに届けることを標榜としている会社。これからはソリューションの中に、ネットワークやモバイルブロードバンドも加え、全社あげて新しい用途開拓に力を注いでいく」と意気込みを示した。

 また、技術戦略のポイントとして、WiMAXとLTEの効率的な対応のためには、要素技術をしっかりやっていく必要があるため、両技術に共通的なOFDM、MIMOといった中核技術の研究開発に集中していくとした。さらに、「場所がないなど、CAPEX/OPEX削減にはいろいろと課題もある」としながら、「簡単に工事でき、超小型でありながら性能がでて、導入コストも下げられる装置を徹底して狙っていく」と話した。

 同時に、グローバル化の面では、とにかく安くて高性能化を実現するため、国内、海外で別機種開発をするのではなく、WiMAX、LTE(3G含む)の国内外共通機を開発をすすめていくことが課題であるとした。新用途開発については、オープン技術に基づく端末製品開発を本格化させるという。

 研究成果として、MIMO実証実験やアンプの高効率化、FFR(Fractional Frequency)などのデータを披露。また製品としては「屋上に転がせるような基地局が開発コンセプト」として、WiMAX基地局である「BroadOne WX300」や、試作中のLTE基地局を紹介したほか、様々なモバイルソリューションを提供できる端末として、Windowsケータイ「F1100」や、HSDPA内蔵モバイルPC、モバイルWiMAX向けSoCなども紹介。

 最後は「二酸化炭素排出量の削減も考えるなど、環境に優しいソリューションの提供も富士通として重要なターゲット。モバイルブロードバンドは環境負荷軽減にふさわしい」と結んだ。


ビジネス戦略 技術戦略
富士通のビジネス戦略
富士通の技術戦略

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URL
  富士通
  http://jp.fujitsu.com/
  WIRELESS JAPAN 2008
  http://www8.ric.co.jp/expo/wj/

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(すずまり)
2008/07/23 11:39

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