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【WIRELESS JAPAN 2008】
ウィルコム上村氏、「ジャブジャブ使えるネットワークを」
ウィルコムの上村氏
BWAの定義
ワイヤレスジャパンのネットワークコンファレンス「4G+将来NWフォーラム」において、ウィルコムの次世代事業推進室 室長の上村 治氏は、「WILLCOM COREの特徴と事業戦略」と題した講演を行った。
まず上村氏は、BWA(Broadband Wireless Access)という単語について説明する。上村氏は「ITU-Rの定義によると、エンドユーザーの通信速度が1.544Mbpsを上回るもの、となっている。日本の情報通信審議会の要求条件では、3Gや3.5Gを上回る伝送速度と周波数利用効率、さらに中速程度のモビリティとなっている」と紹介しつつ、「われわれは携帯電話と同じではいけない、ということを考えた。高速大容量データ通信において、際限なく使用されることを許容あるいは前提とするシステム、と考えている。『ジャブジャブと通信する』というのが言い得て妙な言い方。そうしたものがBWAというのだと思う」との持論を述べた。
BWAのスペックとしては、一人当たりの月間転送量で示し、「PHSの使い放題プランでも、月間0.5GB~1GBが通常。これが固定通信のような使い方になれば、無線でも月間10GBくらいの容量が必要だと試算している」と説明する。
BWAには周波数の有効活用が最大のカギ
マイクロセルとマクロセルの違い
そうした考えのもと、「BWAでは大きなトラフィックを収容できるネットワークが求められる。それには、周波数利用効率がカギとなる。一般的な周波数利用効率、bps/Hzは、セル当たりで議論されている。しかしわれわれは面積で議論するべきだと考えている。セルあたりが1bps/Hzのとき、半径2分の1のセルになると、面積あたりの効率は4倍になる。言い換えれば、セルサイズの縮小がBWAのネットワークには欠かせないと考えている」と語り、同社のマイクロセルネットワークの優位性をアピールする。
具体的なユーザーへの影響としては、「マクロセルでも1人だけが通信すれば問題はない。しかしユーザー数が増えてトラフィックが増えたとき、マイクロセルの場合はそれぞれの基地局が分散処理するので、個々のユーザーはそれなりの速度を確保できる。しかしマクロセルでは基地局を多数のユーザーでシェアするので、速度が遅くなる」と説明する。さらに混雑時のネットワーク速度の低下のデータを示し、「マイクロセルでBWAが実現すれば、もともと高速で、混雑しても速度が落ちない無線通信が実現する」と語った。
マイクロセルの実行速度
マイクロセルの強み
またPHSのマイクロセルにならぶ特徴として、自律分散システムについても紹介する。上村氏は「PHSはもともと、コードレス電話から発展したもので、基地局を多数置いても機能する。自律分散システムにより、基地局をどのように置いても、問題なく動作する」と自律分散システムについてもアピールする。
PHSの特徴
自律分散システムについて
コアモジュールについて
上村氏は、同社のW-SIMによるコアモジュール戦略についても説明する。無線部分をモジュール化することで、メーカーが電話機を作りやすくなった利点をアピールしつつ、03やD4といった最新のW-SIM対応端末を紹介。さらに海外でも中国網通が試作機を作ったほか、海外ベンダーが試作レベルでGSM版を開発していることも明らかにした。将来的には「ソフトウェア無線(SDR)も技術革新が進めば、すべての通信方式が入ったモジュールも考えられる」との見解も述べた。
世界に広がるW-SIM
SDRでW-SIMに様々な無線アクセスに対応
次世代PHSのコンセプト
次世代PHSへの技術蓄積
次世代PHS、WILLCOM COREについては、「PHSのマイクロセルと自律分散技術に新たな技術、すなわちOFDMAとMIMOを加え、全体を再設計したもの。これが次世代PHS」と説明する。また技術的な仕様としては、OFDMA/TDMA-TDDでMIMOを用いる点などを挙げ、「このあたりはWiMAXと同様。チップなどは簡単な変更で流用ができると聞いている」とも語る。
次世代PHSにおいても、マイクロセルネットワークと自律分散方式がメリットになるともアピールする。上村氏は「マクロセルのような周波数干渉がクリティカルになるシステムでは、事前のセル設計が重要になる。しかしセル設計をしたあとに思った場所に基地局を設置できないこともある。こうしたとき、PHSは自律分散方式により、多少ずれても問題ない。また、トラフィックが増えたところに簡単に基地局を増やすこともできる。非常にシンプルな対応方法。こういったところがPHSの利点。ピコセルやフェムトセルにも効果があるし、逆に郊外ではマクロセルでも展開できる」と語る。
次世代PHSのスペックについては、「来年4月にはエリア限定でサービスを開始する。さらに10月には全国に展開する。最初から100Mbpsは約束できないが、ウィルコムに割り当てられた帯域幅をフルに使い、さらにMIMOにより100Mbpsを実現する。また、ポイントとなるのはスペックの速度ではなく、実行速度だとも考えている」と語った。
マイクロセル戦略
次世代PHSが目指すスペック
また当初の展開としては、「来年10月からの本格サービスで、当初からデュアル端末で展開するので、まったく通信できない場所はない」とも説明する。エリア展開についても、「従来の基地局にアドオンする形式。アンテナも共用する。毎回基地局設置場所のオーナーに説明するのではなく、簡単に済ませられる。これによりスピーディーにエリア展開できるのも、ウィルコムのアドバンテージ」と迅速なエリア展開をアピールする。
展開イメージ
基地局設置形態
次世代PHSが狙うマーケット
新しい領域
次世代PHSのターゲットマーケットについて上村氏は、現状のPHSの延長線上である「モバイルBB」とADSLやFTTHに並ぶ固定向け「ワイヤレスBB」に加え、新しいターゲット領域も必要、との考え方を示した。
そうした新しい領域としては、「W-SIMを活用し、パソコンや電話に限らないデバイス、カメラなどにW-SIMを搭載するとか、そういったことが今後はポイントになるのではないか」との持論を語る。そのアイディアとして、映像配信や広告配信、安心・安全のためのプラットフォームなどを挙げる。
ほかにも上村氏は、「BWAの事業者はMVNOの提供を義務づけられている。これも積極的に活用する。既存のキャリアやISP、SIerなど、いろいろなMVNOが育つと考えている」とも語り、「新しくMVNOをやりたいという事業者さんへのサポート体制もポイントになる」と、MVNO提供に前向きな姿勢も明らかにした。
最後に上村氏は、「さまざまなアプローチを通じて、新しいBWA、いわゆる『ジャブジャブ使えるネットワーク』を普及させ、お役に立ちたいと考えている」と語って講演を締めくくった。
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URL
ウィルコム
http://www.willcom-inc.com/
WIRELESS JAPAN 2008
http://www8.ric.co.jp/expo/wj/
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