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日本電気 執行役員 モバイルターミナル事業本部長の山崎耕司氏
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「WIRELESS JAPAN 2008」で22日、日本電気(NEC)執行役員 モバイルターミナル事業本部長の山崎耕司氏による講演「次世代ネットワークにおけるNECのターミナル戦略」が開催された。携帯電話の歴史を振り返りつつ、NECが目指す携帯電話サービスの未来を語った。
■ 「テレコムワールド」から「コンシューマーワールド」へ
山崎氏によると、携帯電話発展の歴史で1つの節目となったのが1998年ごろのポケットベル大流行。「音声中心だった通信の世界に、文字によるコミュニケーションが生まれた」と解説。さらに、その流行を支える女子高生らに向けた端末デザインが要求されたことも大きな変化という。
その後もiモードやカメラ、ワンセグなど一般消費者向けの機能が次々と携帯電話に搭載されていき、その方向性は大きく変わった。山崎氏自身にとっては、香港で2006年に行われた通信関係の展示会は印象深かったという。同氏は「端末メーカーの出展ブースがまるでファッションショー。携帯電話が通信の世界である『テレコムワールド』の製品から、一般消費者が主体である『コンシューマーワールド』の製品へ変わったと実感した」と語る。
山崎氏は「コンシューマー化の流れにあって、NECはAV機能や端末デザインの面で出遅れがあった」と振り返る。その反省もあり、現在ではファッションブランドとのコラボレーション端末を積極的に開発しているという。これにはNECのブランド力だけではアピールしきれない、若年コンシューマーを効果的に取り込む狙いも含んでいる。現に、N906iμにおけるSTNY by Samantha Thavasaコラボモデルなどでは非常に大きな反響を得たと山崎氏は明かす。
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ポケベルの登場がテキスト・コミュニケーションの素地に
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AV機能などの一般化により、携帯電話は一般消費者向けの製品へと変貌した
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■ 端末からサーバーまでを一括提供できるNEC
デザイン面ではコラボレーションを積極活用しつつも、NECとしては端末の基本性能充実に力を入れている。HSDPAへの積極的な搭載もその1つという。また今後は、バッテリー寿命の長時間化かも欠かせない技術だという。同氏は、「2倍、3倍という寿命も求められるはず。端末バリエーションの1つとして、より大容量のバッテリーを搭載した製品なども検討しなければならないだろう」と見る。
また山崎氏は端末の開発だけでなく、最新無線技術の実装やサーバーの構築、プロバイダー「BIGLOBE」を使った課金プラットフォームの構築といった分野までNECが単独で行える総合力も大きな強みだと話す。
山崎氏は最後に「iPhoneは確かに面白いインターフェースを備えている。ただ、すべてのユーザーを満足させられるかと言えばそうではない。もっと小さいものであったり、画面が大きいもの、ウェアラブルな製品も考えられる。そういった多様化するニーズに答えられるだけの開発体制を、今後時間をかけてつくっていきたい」と語り、講演を締めくくった。
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総合力がNECの強みという
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NECの目指すケータイとは
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なお会場では山崎氏につづいてNECの携帯電話デザイナーが登場、コンセプトモデルを画像で紹介した。動画撮影に特化したモデルや、分離型カメラが特徴の子供向け端末など4つのモデルでNECのデザイン哲学をアピールしていた。
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コンセプトデザインの1つ「Mobile Broadcast」。ノンリニア編集までもこなす撮影特化型端末
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「Mobile Kid's Lab」は分離型カメラを搭載した子供向けコンセプトモデル
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■ URL
NEC
http://www.nec.co.jp/
WIRELESS JAPAN 2008
http://www8.ric.co.jp/expo/wj/
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(森田秀一)
2008/07/23 10:44
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