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【WIRELESS JAPAN 2008】
ドコモ尾上氏、「Super3Gは2010年以降に商用展開」

NTTドコモの尾上氏

日本における移動通信は固定通信の5年遅れて追従している
 ワイヤレスジャパンのネットワークコンファレンス「4G+将来NWフォーラム」において、NTTドコモの執行役員 研究開発 推進部長の尾上 誠蔵氏は、「ドコモの4Gに向けた3G発展構想と取り組み-Super3G/LTEとIMT-Advanced-」と題した講演を行った。

 尾上氏はまず、「トラフィックが増えたからといって回線を高速にすれば混雑が緩和するかというと、そうではない。この世界では、高速な回線を使うサービスがどんどん登場してくる。そのため、今後も常に拡張が必要になっていく」と語り、継続的な進化の必要性を説く。

 さらに導入済みのHSDPAを例に挙げ、「古い方式に比べ、いわゆる伝送効率を改善させる。つまり導入するオペレーター(事業者)にとっては、コスト低減につながる。新しい技術はコストが上がるわけではない。逆に時間とともにコストは下がるので、伝送容量が増えれば、ビット単価は下がる。また、ユーザーにとっては転送速度が上がる」と新技術導入のメリットを語る。


Super3Gについて

Super3Gの要求条件

システム展開のシナリオ
 続いて尾上氏は、LTE、ドコモが呼称するところの「Super3G」について話題を移す。尾上氏はSuper3Gについて、「3Gへのスムーズな導入パスの提供がもともとも狙い。4Gに移る前に3G自体が発展することが重要。3GPPの中でもIMT-Advanced、いわゆる4Gの検討が行われているが、そこにきて4Gへのつながりという意味でのSuper3Gの重要性がようやく認識されてきた」と語る。さらに「ITU-RのRelease 8の勧告として詰めの段階にはいっている」と規格化も順調であることを紹介する。

 スペックの内容としては、3GPPでの要件としてピークで下り100Mbps以上となっていることを紹介し、「最終的には4本のMIMOで300Mbps、2本でも150Mbps。2本は普通にできる範囲だと思うので、そこで要件を達成できる」とする。さらに接続時の遅延や伝送時の遅延も高速化すること、ユーザースループットや周波数利用効率も、Release 6(いわゆるHSDPA)に比べて3倍から4倍になると説明する。

 さらに尾上氏はネットワークのアーキテクチャ図を示し、「標準化はまだだが、この段階で4Gの無線アクセス導入への準備を進める。周波数や無線仕様が決まれば、あとはネットワーク側に手を入れず、4Gの無線アクセスを収容できる」と拡張性の高さも説明する。

 Super3Gの展開シナリオについては、「基本的にはSuper3G単体でなりたつものではなく、移動機は既存の機能もサポートする。短期間に全国エリアで展開することが必須ではない。こうした考え方が一般的」とも語る。

 さらにスケジュールについては、「2009年に開発完了するべく目指している。2010年以降の商業展開が可能になるように作業は進んでいる」と順調さをアピールしつつも、「ただ重要なことがある。ドコモは3G導入が早すぎて、技術が標準から外れているとの批判も受けた。今回はそういったことはやらないと宣言する。ドコモだけでできることではない。インターオペラビリティ(相互接続性)も考慮し、それを踏まえ、サービス開始時期を決定する」とも語る。


4Gも接続できるネットワークアーキテクチャ 仕様策定スケジュール

世界的な取り組み

NGMNについて
 世界的な流れとしては、「標準化は国際的には3GPPやITU-Rが行い、さらに日本のARIBのような各国の標準化機関も活動している。そのあたりの技術標準化の外枠として、リコメンデーションを作るNGMNとインターオペラビリティを議論するLSTIというものがある」と紹介した。

 NGMNの最近の動きとしては、「主にオペレータ(事業者)が参画して活動している。この団体は技術については中立の立場で、たんに技術要件だけを検討する。今年6月に技術評価をした結果、3GPPのLTEがリコメンデーションを満たす最初の技術としてNGMNに承認された。これでLTEへの国際的な支持が明確になった」と紹介する。また、「NGMNもだいたい2010年に商用サービスを可能にしたいと考えていて、だいたいドコモのスケジュールとも合致している」とも説明する。

 さらにLSTIについては、「こちらはもっと具体的に、インターオペラビリティの試験についてなどを議論している。こちらのスケジュールでも2010年には商用サービスを可能にしたいといっている。ただし、互換試験のことなので、遅くなることはあっても早くなることはない。このあたりのリスクをどのように最小にして進めていくかが問題」と語る。

 続いて尾上氏は、ドコモが2006年から着手している屋内・屋外でのSuper3Gの実験について説明する。実験では大容量のHD映像をストリーミング配信したり、低遅延性が求められる対戦格闘ゲームをプレイする模様が紹介された。


ハンドオーバーの仕組み
 その中で、ハンドオーバーにこれまでのCDMAのソフトハンドオーバーとは異なる仕様が実装されていることを紹介する。「ソフトハンドオーバーは無線の効率を上げられるが、ネットワークアーキテクチャの作り方としては具合が悪い。3GPPでも議論があった結果、ソフトハンドオーバーではなく、データ欠落がないように、ということになった。移動機に送られたかわからないデータはいったん基地局のバッファに置いておき、ハンドオーバー先の基地局に転送して改めて送信させる。これデータ欠落のないハンドオーバーを実現する」と説明し、ハンドオーバーを含めた屋外実験でも動画ストリーミングがとぎれないことを紹介する。


Super3Gなどの位置付け

進化ステップに対する考え
 Super3Gの位置付けについては、「LTEの前にHSPAを進化させるHSPA+という話も出てきている。LTEに収斂してきて、せっかく支持する仲間も増えてきたところなのに、仲間割れが起きてしまうかも知れない」との危惧も語る。HSPA+については、「HSPA+はソフトアップグレードでできるなら良いが、設備変更を必要ともしそうなので、LTEを優先させたい」とLTEを優先させる姿勢を示唆した。

 最後にIMT-Advanced、いわゆる4Gに話題を移す。IMT-Advancedについては「まずは使用する周波数帯を特定する。毎回、申し上げているが、1Gbpsとかを実現するには、広い帯域が必要になる。3.4GHz帯ならば、広い帯域が取れる。100MHzとかに拡大しないといけない。また、世界で共通して使えることも重要。国ごとの条件や古い通信方式の対応など、周波数のスケーラブルさも重要」とし、周波数特定がまず最初の課題であることを説明する。

 さらにIMT-Advancedへのドコモの取り組みとしては、「古くから取り組んでいる。ICを試作するなど、消費電力の検討もしている。すぐに商用化できるものではないが、時間をかければしかるべき時期に展開できる」と紹介した。


IMT-Advancedについて 講演のまとめ


URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  WIRELESS JAPAN 2008
  http://www8.ric.co.jp/expo/wj/

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(白根 雅彦)
2008/07/23 10:39

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