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KDDIコンシューマ事業統括本部 コンテンツ・メディア本部 本部長の雨宮俊武氏
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22日に開幕した「WIRELESS JAPAN 2008」のコンファレンスとして、「KDDIのコンテンツ・メディア戦略」が実施された。KDDIコンシューマ事業統括本部 コンテンツ・メディア本部 本部長である雨宮俊武氏が、auとして取り組むモバイルビジネス戦略について語った。
■ 74%のユーザーがパケット定額を利用中
雨宮氏はまず、2008年3月に「au携帯電話3000万契約」を達成し、1つの節目を迎えたことを報告。6月末には3030万契約に達したほか、他社に先駆けたパケット定額サービスの導入などによって、携帯電話に対するリテラシーの高いユーザー層を獲得できていると解説し、ビジネスが順調であることを窺わせた。3月末の段階で74%の利用者がパケット定額サービスを利用しているという。
コンテンツ利用額は、2007年12月に1人当たり月間500円を突破。その後も増加傾向にある。着うたをはじめとしたデジタルコンテンツの流通規模は、2006年度平均と2007年度末を比較した場合で約20%増加した。またデータARPUについても堅調に推移していると雨宮氏は分析する。
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パケット定額サービス利用者の多さが、auの特徴だという
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着うたフルなどの人気が高まっている
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■ 「市場飽和」が叫ばれる中でライフスタイル戦略を追求
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コンテンツ拡大戦略のイメージ図
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一方、国内の携帯電話回線数が1億台を突破し、「市場が飽和しているのではないか」と心配されるなど、携帯電話を取り巻く事情も着実に変化しつつある。ただ雨宮氏は「量的拡大は確かに難しいかもしれない。しかしコンテンツの購入率は携帯電話利用者全体のの半分にも満たない」と、質的な面での拡大にはいまだ余地があると指摘。有料コンテンツのヘビーユーザーである若年層だけでなく、30~40歳代の利用者あるいは低リテラシー層へのアプローチが必要だと話す。ただし「2台目需要」が増加の兆しを見せていることもあり、「量的拡大の道が完全に断たれたとは言えない」とも補足した。
このような状況下でauは「ライフスタイル戦略」を従来から一貫して標榜しているという。「先進的なイメージで高リテラシー層にアプローチしつつ、低リテラシー層に対してもコンテンツの接触機会を増やしていく」というのが基本的な考えだ。また通話やメール、Web閲覧などを“していない”時間に、いかに携帯電話へ触れてもらうかも大きなテーマとしている。
携帯電話上で音楽を楽しめるLISMOは「ライフスタイル戦略を実現する上で欠かせないサービス」と原田氏は語る。サービスの範囲も拡大しており、PCと連携させて音楽を楽しめるほか、オーディオコンポなどとの連携も可能。現在は長時間ビデオの配信も開始したが、ダウンロードにPCが必須となっている。原田氏は「PC必須では使えるユーザーが限られる。PCがなくてもダウンロードできる仕組みを考えてきたい」と解説していた。
このほか2008年からは「au Smart Sports」として、ランニングやウォーキングをサポートするサービスも開始。6月末時点で20万弱のユーザーが利用しているという。
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サービス拡大中のLISMO
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新サービスの「ナカチェン」。メニューのカスタマイズ性をユーザーに提供しつつも、Webサイトへの誘導するための仕組みを導入
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■ 「垂直統合」と「オープン」を同時に追求
日本国内の携帯電話業界は、キャリアが中心となって端末やサービスを一体的に開発する「垂直統合モデル」が一般的となっている。海外市場と比較した場合、その閉鎖性などが批判の対象になるケースが多いが、雨宮氏は「お客様やコンテンツプロバイダーにとって利便性があるのも確か」と説明し、auでは垂直統合を引き続き強化する方針だ。
一方、既存サービスを解放する形で「オープン化」も同時に進めたいという。EZwebのTOPページからGoogle検索が可能になったのはその一例。雨宮氏は「垂直統合、オープンの議論になるとかならず『どちらが良いか』という話になってしまうが決してそうではない。我々としてはどちらも大事」とバランス感の必要性を強調した。
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垂直統合モデルの利点
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一方、段階的なオープン化も進めていく
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■ URL
WIRELESS JAPAN 2008
http://www8.ric.co.jp/expo/wj/
(森田秀一)
2008/07/22 19:31
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