13日に行なわれた「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2008」のコンファレンス「ブロードバンドモバイルフォーラム」では、4G、WiMAX、次世代PHS等をキーワードに、最新動向や今後展開に関する講演が行なわれた。
■ 3.9世代移動通信システム(3.9G)導入の重要性
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総務省 渡辺克也氏
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総務省 総合通信基盤局 移動通信課長 渡辺克也氏は、携帯電話のこれまでの発展の歴史を振り返りながら、今後のネットワークの展開イメージや、周波数割り当ての現状と将来の展開、次世代の移動通信システム実現に向けた取り組みについて解説した。
データ通信のトラフィックは、2010年時点で、2007年の約4倍に増加すると予測されている。音声以外の用途が爆発的に増加しているモバイル関連市場は、今後も成長が期待されており、「21世紀は完全に携帯電話が主役」であるという。
携帯電話の利用者数が増え、技術の進歩によりモバイルコンテンツ市場、モバイルコマース市場も成長を続け、トラフィックも増大しつづけているというこれらの背景を踏まえ、高速移動時でも100Mbpsの通信が可能という超高速データ通信の第4世代(IMT-Advanced)への移行を視野に入れた、3.9世代移動通信システム(3.9G)導入の重要性を説いた。
3.9Gの展開に向けた国際的な動向としては、英ボーダフォン、仏オレンジをはじめとした諸外国の多くが3.9Gの規格としてLTE(Long Term Evolution)を採用している。日本でもNTTドコモやソフトバンクがLTEの採用を発表している。
3.9Gの導入により、固定ブロードバンド並みの高速データ伝送を実現し、多彩なサービスを場所を選ばず利用できるようになるだけでなく、効率的なネットワークの運営により、通信料金の低廉化が期待できる。さらに、第4世代のネットワークは、3.9Gの設備を活用しながら効率的に整備されることが想定されるという。
3.9G導入に向けた技術的検討については、「夏頃に整理し、技術的条件の策定は今年中を目標に検討してゆきたい。利用イメージに合わせて検討することになると思う」として、「関係者のご協力を賜りたい」と繰り返し述べた。
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国内の電波利用の変遷
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携帯電話の歴史と今後の発展動向
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第3世代移動通信システムの高度化に向けた展開
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認定を受けた開設計画の概要
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■ 4G導入パスとしてのSuper 3G(LTE)
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NTTドコモ 尾上誠蔵氏
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NTTドコモの無線アクセス開発部 部長 尾上誠蔵氏は、「3Gサービスの現状」「3Gの進化」「4G」の3点を軸に、Super 3Gや4Gへ向けた取り組みを説明した。
2G(mova)から3G(FOMA)への移行については「立ち上がりは遅れたが、現在では順調に移行している」と述べた。2Gにくらべ、3Gユーザの一人当たりのパケット使用量も急増しており、「新たなインフラを提供すれば、新たなサービスを生む可能性を秘めている」と、ユーザの潜在的需要が高いことを示唆。しかし、移動通信データ速度は固定サービスのデータ速度よりも5年遅れ、あるいは一桁下で追随しているという現状を踏まえ、今後はHSPA、Super3G、4Gなどの移動通信システムの発展が必要だと説いた。すでに2006年8月からサービス開始している「HSDPA」(FOMAハイスピード)により、サービス能力と周波数の利用効率が向上しているという。
2004年5月にドコモが発表した「Super 3G」は、「現在の3Gを発展させ、その上に4Gを構築したほうがいい」というコンセプトのもとに、4Gのスムーズな導入パスの提供と、3Gの長期的発展と目標としている。「Super 3G」提唱当時は、第4世代の認識そのものが皆無だったとして「現在の4G標準化の動きが活発化したことにより、3Gが4Gへのパスを持つことの重要性が再認識されつつある」と述べた。
「Super 3G」は2007年7月より実証実験を開始しており、2008年2月より屋外実験も行なっている。サービス開始時期はまだ未定だが、「2009年中には開発を終えたい」と目標を語った。
また4G(IMT-Advanced)への取り組みに関しては、目標の1Gbpsを超えるデータ速度の実現性を示すフィールド実験に成功しており、2006年12月には、5Gbpsのデータ転送も実証済みと語り、実際のテスト映像を披露した。
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2G(mova)と3G(FOMA)の加入者数の遷移
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世代の呼び方
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Super 3G標準化経緯と、今後の予定
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ドコモの4G研究への取り組み
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■ 通信方式はまだ未定のKDDI
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KDDI 湯本敏彦氏
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KDDIのコンシューマ技術統括本部 モバイルネットワーク開発本部 本部長 湯本敏彦氏は、携帯電話市場やauの現状と動向、CDMA2000システムのインフラの進化の流れ、次世代方式導入に向けての課題について語った。
日本のモバイル通信市場の現状として、1996年~2000年まで1,000万ずつ契約者数が増えているが、2002年以降頭打ちの状態であると指摘。個人市場は飽和しているが、法人市場、モジュール、2台目が期待できるマーケットであるとした。
2008年3月末時点で、加入者総数は1億272万台。この中で、auの加入者総数は3,000万台を突破。cdmaOneはほとんど残っておらず、CDMA 1XおよびW-CDMAが大幅な伸びを示しており「ほとんどが3G化されている」という。
CDMA2000システムについては、IMT-2000(3G)の発展として、CDMA2000 1XやEV-DO Rev.0、EV-DO Rev.Aといった通信方式が標準化された時期と実用化のタイミング、それによって強化されたサービスについて紹介。EV-DO Rev.Bに関しては「どうすべきかを検討している段階」とコメント。
周波数再編についても触れ、「2006年から導入しているトライバンド端末では、既800MHz、2GHz、新800MHzの3つを使用しているが、今後は新800MHzと2GHzをサポートする端末に置き換えていく必要性がある」と語った。
次世代方式の導入に関しては、近年のトラフィックの急激な増加をグラフ(総務省提供)で紹介。過去3年で2.5倍の伸びを示しており、今後10年で10~20倍に達するのではと予測。それを踏まえ、次世代方式に求めるものとして、インフラコストの削減とビット単価の低減、通信速度の向上、低遅延などをあげ、「10年で10倍伸びるなら、ビット単価は1/10を目指す」とした。
採用する通信方式に関しては、「LTEとUMBのどちらの方式でも満足させられると考えている。方向性は見えているが、最終的に決まっているわけではない。マーケットの状況を見てゆきたい」と語り、明言は避けた。導入のシナリオについても、競合他社の動向を見て決めて行きたいとした。なお、導入の時期、周波数帯と帯域幅等が密接に絡むため、導入を待てるなら新800MHzも有力な候補となるという。
「次世代を含めてこれからも顧客満足度を高められるようインフラを発展させてゆきたい」と最後を締めくくった。
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日本のモバイル通信市場のマクロトレンド
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IMT-2000の発展
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3GPP2標準の主要諸元一覧
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インターネットトラフィックの推移
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■ 次世代PHSは、既存のマイクロセルネットワークで構築可能
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D4を片手に今後の展開を説明するウィルコムの平澤弘樹氏
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ウィルコムは、取締役 常務執行役員 ネットワーク技術本部長 平澤弘樹氏が、W-SIMによるハードウェアのオープン化や、次世代PHSの特長について講演した。
「昨年12月、次世代PHSを行なうための周波数の割り当てをいただいた。この話を中心にするうえで、PHSの仕組みを理解して欲しい」として、冒頭でウィルコムが提供するPHSのインフラの仕組みを説明。
PHSはNTTに回線を申し込み、アンテナを設置するという非常に簡単に構築できるネットワークシステムだが、無線が高速になるとバックボーンの速度が重要になる。このため、次世代システムをにらみ、現在NTT交換局からアンテナまでの回線の光回線化を進めているという。また、ITXを持ち込み、ウィルコム独自のIP網に流れるようにすることで、トラフィックをウィルコムで処理。これによりNTTへのアクセスチャージの削減が実現し、音声定額などを割安の料金で提供できるようになったと紹介。
あわせて都内に設置されたアンテナの地図を披露。10年に及ぶ努力が赤いアンテナで埋め尽くされた地図となって現れた。平澤氏は「ここまでアンテナが必要になるとは想定していなかった。知っていたらやらなかったかもしれない」と冗談交じりに語り、次世代PHSではこのネットワーク資産が柔軟に活かせるため、WiMAXを選ばなかったとも述べた。
すでに国際規格の1つとなっている「次世代PHS」の特長は、上下ともに20Mbps以上のシステム容量を持ち、時速100kmの高速移動でも利用可能なことや、マイクロセルネットワークにより、大容量システムの構築が可能な点だ。しかし、速度が上がれば一人あたりのデータ送信量も飛躍的に増大する。価格を上げずにサービスを維持していくためには、広いエリアをいかに大容量で安く作るかが課題となり、周波数容量も非常に重要なポイントとなる。
既存のネットワークをなるべく流用することで、コストをかけずに構築することができ、マイクロセルで代用できると説明。「独自で築き上げた技術の上に新しい方式を付け加えるだけでできるため、大きなハードルはない。WiMAXで開発されているチップがそのまま流用できるなど、部品が共通で使えるのでありがたい」と語った。
総務省に申請した計画では、2009年4月に試行サービスを開始し、10月に本格サービスを開始、2012年までに、人口カバー率90%の達成を目標としているが、新しい技術が次々と登場するため、前倒しでの実施を考えているという。
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ウィルコムの独自IP網化と光回線化
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ウィルコムのマイクロセル
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次世代PHSの開発、標準化動向
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マイクロセルベースの次世代PHSこそ真のBWA
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「W-SIM」により、ハードウェアのオープンなビジネス展開が可能に
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このほか、コンファレンスではNECによるワイヤレスブロードバンド戦略、インテルのモバイルWiMAXの普及に向けた取り組み、電波産業会による「IMT-Advanced」に関する最新の標準化動向が語られた。
■ URL
ワイヤレス・テクノロジー・パーク2008
http://www.wt-park.com/
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(すずまり)
2008/05/14 17:11
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