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【第10回 組込みシステム開発技術展】
携帯電話の開発環境や開発中の技術を各社が展示

 5月16日~18日にかけて、東京ビッグサイトで「組込みシステム開発技術展」が開催されている。組込機器やソフトウェアに関する開発環境の紹介・展示が行なわれており、本誌では携帯電話に関連した展示を紹介する。


マイクロソフト、「Windows Embedded CE 6.0」を紹介

Windows Embedded CE 6.0の特徴
 マイクロソフトのブースでは、Windows Embedded CE 6.0に関するセミナーが開催され、テレビやプロジェクターなど、さまざまな機器に素早く展開できる組込機器向けOSとしての強みがアピールされた。同社 モバイル&エンベデッドデバイス本部 部長の梅田 成二氏は、「CE 6.0」の提供が開始された2006年11月を“第1の波”とした上で、開発環境などが充実しつつある現在を“第2の波”とする。「組込ビジネスは好調で、出荷台数も対前年で150%増えた」と「CE 6.0」の勢いを紹介するとともに、実際の製品が市場に登場することでさらに“第3の波”が来るだろうとした。

 同氏はまた、「現在の組込機器はネットワーク接続が当たり前の機能になっている」とし、サーバー側ではWindowsなどのパソコンに近い環境が多く利用されていることから、組込機器側にWindows対応のアプリケーションを移植でき、利便性の高い環境を構築しやすいWindows Embedded CE 6.0の強みをアピールした。


モバイル&エンベデッドデバイス本部 部長の梅田 成二氏 採用製品のカーナビはワンセグ対応のものも展示

ACCESS、Zigbeeを利用した家電遠隔操作をデモ

Zigbeeを利用した遠隔操作の概要
 ACCESSのブースでは、同社のブラウザ「NetFront Browser」を利用したさまざまなデモが行なわれている。参考出展の形で紹介されていたのは、短距離の無線通信規格「Zigbee」を利用した家電の監視/遠隔操作システム。外出先から自宅内のホームゲートウェイにアクセスすると、ドアの施錠状況の確認やエアコンなど家電製品の制御が行なえるというもの。ホームゲートウェイと家電製品の間をZigbeeで接続している。家電製品側もシステムへの対応が必要となるが、将来的なネットワーク家電の普及を見越したデモといえる。外出先から操作する際のUIや、Zigbeeユニットをぬいぐるみに内蔵するなど、一般ユーザーの利用のしやすさも考慮に入れながら開発が行なわれている様子だった。

 このほか同社のブースでは、DLNAに対応した「NetFront Living Connect」搭載のNASを展示し、デモを行なっている。DLNA対応機器では、将来的に携帯電話からアクセスして機器を操作したりすることも想定されており、同社でも携帯電話からアクセスできるシステムを現在開発中という。


左のPDAが外出先の端末。UIもこだわってデザインされているようだ 鍵にセンサーを内蔵し、Zigbee搭載モジュールで写真奥のホームゲートウェイに接続。Zigbeeモジュールはぬいぐるみに内蔵されていたが、これもUIへのこだわりの一環のようだ

エイチアイ、低スペック環境で3Dグラフィックを表示する技術

「MascotCapsule nano」の概要
 携帯電話向けの3Dグラフィックスエンジン「MascotCapsule」を提供しているエイチアイのブースでは、モノクロディスプレイなどでも3Dグラフィックスを表示する「MascotCapsule nano」のデモを展示している。単色のディスプレイでもディザー表現などを用いて3D描画を行なうもので、たとえば電車内の行き先を表示するような簡素なディスプレイでも立体的な表現が可能になるという。携帯電話のサブディスプレイにも応用は可能とのことだった。

 同社のブースではこのほか、携帯電話向けの3Dグラフィックス機能として、「MascotCapsule」の拡張機能ライブラリ群も案内している。この中には、写真のスライドショーで、立体的な表現を含むエフェクトで写真を切り替えていく機能や、立体表示のアイコンメニュー、ミニアプリを立体的なウィンドウ表示で切り替える機能なども含まれており、現在開発中の機能とのこと。軽快な動作も特徴のひとつに挙げられており、今後携帯電話向けに展開される見通しだ。


飛行機の動画。静止画では分かりにくいが、3Dの飛行機が表示されていた 静止画では分かりにくいが、四角い頭のキャラクターが動いている様子

3Dエフェクトによるスライドショー機能 立体的にウィンドウを重ねる表示も軽快に動く

日立ソフト、BREWのGUI開発支援ツールの最新版

 日立グループのブースでは、日立ソフトウェアエンジニアリング(日立ソフト)のBREW携帯向けGUI開発支援ツール「anyWarp for BREW」が紹介されている。最新版の「Ver 2.0」は4月に出荷が開始されており、GUIエディタで直感的に編集できる機能や、クアルコムの「BREW UI Widgets」Ver. 1.3へ対応している。


anyWarp for BREWの概要 開発画面

KDDIブース、通信モジュールの製品事例を展示

 KDDIのブースでは、小型の通信モジュールを採用した製品が紹介されている。サンデンは、CDMA通信アダプタに加えて、PHSとFOMA通信アダプタにも対応した通信モジュールを展示している。2010年の800MHz帯の再編でも機器に搭載した周辺機器の変更が不用としており、各通信方式に対応した通信アダプタを入れ替えるだけで、通信方式を変更できる。自動販売機のネットワークシステムに採用されていることから、同社のコーナーでは自動販売機とともに製品が紹介されている。


サンデンのコーナーには自販機を設置。最下段では通信モジュールが紹介されている サンデンの通信モジュールの概要

東芝、マルチメディアプロセッサ「T5GP」

 東芝のブースでは、同社製の携帯電話向けマルチメディアプロセッサ「T5GP」や、その中に搭載されるメディア処理のプロセッサ「MeP」(Media embedded Processor)が紹介されている。「T5GP」はワイドVGAに対応した3D描画エンジンで、H.264コンテンツの再生やVGAサイズでの録画・再生に対応。911TやW52TなどT5GPを採用した端末も紹介されている。


「T5GP」搭載の基板を使用し、VGAで録画しすぐにVGAで再生するデモを実施 こちらは「T5GP」にも搭載されている「MeP」の概要

富士通、高速アウトラインフォントのライブラリ

 富士通のブースでは、同社の携帯電話で採用されているアウトラインフォントのライブラリが紹介されている。F902iから採用されているこの機能は、モリサワのフォントを利用したアウトラインフォントのライブラリで、富士通のスケーラー技術などと融合し容量を抑えて高速な表示を実現している。携帯電話では同社製品に採用されているが、カーナビの分野では同ライブラリを他社へも供給しているという。


アウトラインフォントのライブラリ 左はビットマップフォント、右はモリサワの書体を採用したアウトラインフォント


URL
  組込みシステム開発技術展
  http://www.esec.jp/


(太田 亮三)
2007/05/16 19:56

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