■ 無線LANと携帯網を切り替えて通話
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左がFOMA網で着信した端末、右が無線LAN経由で発信した端末の画面
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NECのブースでは、無線LAN対応のFOMA端末「N902iL」での通話デモが行なわれていた。これは、N902iLをベースにした試作機を使って、無線LANと携帯電話網をシームレスに切り替えながら、通話し続けるというもの。ブース内には無線LANスポットが設置され、無線LANモードで接続された端末で通話中に、無線LANスポットを遮蔽すると、電話をかけた端末は無線LANから切断され、自動的にFOMA網へ切り替わる。
担当者は「切り替えの瞬間は途切れる」と説明していたが、実際に体験してみると、その瞬間を判別するのが非常に難しく感じられるほどスムーズな切り替えが実現できていた。
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ブースに設けられていた無線LANスポット
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遮蔽すると、端末側はFOMA網に接続した
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■ NICTのコグニティブ無線デモ、布製マイクロアンテナ
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コグニティブ無線技術の試験機
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情報通信研究機構(NICT)のブースでは、コグニティブ無線技術(周辺の電波環境に応じて通信方式を変える技術)のデモが行なわれていた。同じコグニティブ無線技術のデモがKDDI研究所のブースでも行なわれていたが、NICTの展示ではW-CDMA網と無線LANを端末側で判断して切り替える形になっていた。
デモでは、固定電話の役割を果たす端末と、移動機を模した端末をテレビ電話で結び、通信環境を変える際の映像のクオリティなどの変化で切り替えの状況を示した。担当者によれば「認知という意味の“コグニティブ”(cognitve)という単語を使う技術だが、たとえば、安さを求めるのか、あるいはより高速な通信を求めるのか、という具合に通信を切り替える基準は利用シーンによって異なるだろう」とも語っていた。
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今回はW-CDMAと無線LAN
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テレビ電話で体験
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衛星携帯電話のコンセプトモデル
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同じNICTのブースには、小型の衛星携帯電話のコンセプトモデルが展示されていた。一般的な折りたたみ型携帯電話とほぼ同じサイズに見えるが、張り出したヒンジ部が特徴的。横には、NICTで利用している試験機も置かれていたが、担当者によると「技術的には実現できるが、あとはニーズによって実現するかどうかが決まる」とのこと。
また、布製のアンテナも展示されていた。こちらは「電気を通す糸で編んだ布(担当者)」を用いたもので、応用例としてはGPS信号の受信や衛星通信、RFID用アンテナが想定されている。表地には円形に、裏地は全面で、この生地が用いられている。円形のサイズを変えると、やり取りできる周波数が変わるとのこと。アンテナで受け取った信号は、生地に貼られた金属片を通じて基板に伝わる。
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NICTの衛星携帯電話の試験機。奥がPDAタイプ、手前が携帯タイプ
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グレー部分が布アンテナ
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■ URL
NEC
http://www.nec.co.jp/
NICT
http://www.nict.go.jp/
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(関口 聖)
2007/04/04 18:16
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