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【OKI 情報通信融合ソリューションフェア 2006】
ドコモ夏野氏、「ケータイ業界の基礎知識」とドコモの戦略を解説

NTTドコモの夏野氏
 11月9日と10日、都内で沖電気工業主催のイベント「OKI 情報通信融合ソリューションフェア 2006」が開催された。10日のセミナーにはNTTドコモ プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部 執行役員 部長の夏野 剛氏が登壇し、集まった受講者らに「ケータイ業界の基礎知識」を解説したほか、夏野氏が描く「リアルとネットの融合戦略」が語られた。


他業界からは見えにくい「ケータイ業界の基礎知識」

「ケータイ業界の基礎知識」として普段はあまり語られない内容を紹介

「提供者主義に陥るのではなく、ユーザー視点でサービスを提供していく」と夏野氏
 夏野氏はまず最初に、情報通信業界を含め、はば広い業界で携帯電話がなくてはならない存在になっているとした上で、「iモードはクローズド、と書かれたりすることもあるが、新聞などで書かれることの半分ぐらいは本当とは言えない」と述べ、「ケータイ業界の基礎知識」というテーマを採り上げた。

 “基礎知識”ではまず、インセンティブを乗せてエンドユーザーへの販売価格を抑えている点を挙げ、『電話機は売るだけ損、儲けは通信料から。』という実情を紹介。マーケットシェアが上がると短期的には(インセンティブの費用が増えて)利益が下がるという実態を述べ、「ちゃんと使われるサービスといっしょに提供するのが大切。0円とか純増がどうとかで短期的にシェアだけを取りに行く戦略はよくない」と、ソフトバンクモバイルのものと思われるサービス戦略を批判した。

 『メーカーと通信事業者のビミョーな関係』の項目では、「協力しないと市場を作れないが、利害が必ずしも一致しているわけではない」として、タイトル通り二者の関係が微妙な均衡の上に成り立っていることを解説した。夏野氏はカメラ機能付き携帯電話を例に挙げ、「iモードユーザーは4,700万人だが、平均で1人あたり1日4通のメールを送信している。これは大きい数字だと思う。しかし写真を添付して送るiショットは1日平均0.0X通というレベルで、収入モデルにはなっていない」と述べ、注目を集める機能が必ずしもドコモの収入に結びつくわけではない例を紹介した。

 同氏は端末の買い替えサイクルについても同様に言及し、「キャリア的には同じ端末をなるべく使い続けて欲しい。しかしメーカー的にはなるべく短い期間で買い替えて欲しいもの。その均衡がだいたい24カ月程度になっている」と解説。しかし一方で「新しい機種で(新しいサービスが利用され)収入が上がるならいい」とも付け加え、インセンティブの費用や新サービスでの収入増といった複雑な要素の存在を語った。

 『ネットワーク技術とアプリケーション技術の違い』では、ユーザーにとってはネットワークの技術そのものではなくアプリケーションが重要であるとする。「今だから言えるが、最初のFOMAは速さだけが特徴で、アプリは503iとかのほうが良かった」と振り返りながら「ユーザーは3Gだからお金を払うのではなく、3Gでできる魅力的なサービスにお金を払う」と解説した。

 「顧客獲得コストがもっとも大きな変動コスト要因」とした項目では、キャリアのお金の使い方を簡単に説明。「インフラへの多額の設備投資のイメージがあると思うが、これは減価償却で何年もかけていくもの。しかしインセンティブ、マーケティング費用などの顧客獲得コストは費用であり、年間1兆円以上かかっている。これをいかに効率的にしていくかが重要」と述べて、顧客獲得にまつわる費用が大きな課題になっているとした。また同氏は「消費者人口が9,000万人と言われる中で携帯電話は9,500万台も普及し、市場は飽和状態。ユーザーがなるべく他社に行かないようにするのが今後ますます大切になるだろう」との考えも明らかにした。


音楽サービス、WMA対応を主流に

WMA対応モデルを続々と登場させるとした

テレビ電話をサポートセンターで利用できるソリューションも紹介
 同社の戦略としては、画期的とするiモードの戦略や現在の概況を説明した上で、音楽サービスの拡充、iチャネルの展開、テレビ電話の新たな活用方法、そしておサイフケータイの展開を説明した。

 音楽サービスでは、音楽がマーケティングの面からも重要であるとし、名指しこそしなかったもののKDDIのLISMO(リスモ)と思われるサービス戦略を指して「音楽は分かりやすい。アプリを付けた上で3Gをアピールし、うまかったと思う」と評価。一方の同社のサービスではHSDPA対応端末のユーザーの約1/3が「ミュージックチャネル」を利用していることを明らかにし「結構いい数字かなと思っている」としたほか、パソコンと連携して利用するWMA対応の端末については、「今後どんどんWMA対応にし、ほとんど主流にしていく」とし、「WMA対応をブレイクさせるためにナップスターを始めた。903i以降では、音楽でも負けない」と音楽サービスも積極的に展開していく方針を明らかにした。

 テレビ電話については、恋人ができたり娘・息子、孫が産まれるといったライフスタイルの変化でニーズが決まるとしたほか、OKIとの協業によるサポートセンターへのテレビ電話の導入も紹介。家電メーカーや保険業界などのサポートセンターで役立つ、とした。


産業規模をさらに拡大させるおサイフケータイ

おサイフケータイを中心に新たな戦略を進める
 おサイフケータイについては、講演のテーマでもある「リアルとネットの融合戦略」を実現するものとして紹介された。同氏は、コンテンツプロバイダーなどと市場を作るiモードが、通信業界にそれまでなかった考え方に基づくものであるとした上で、差別化として導入したおサイフケータイが「全く新しい価値を付けた」とする。iモードにより拡大した産業規模が、おサイフケータイではさらに流通、小売業なども関係企業になることになり、「リアルな決済手段でもあり、リアルとネットの融合の接合点にあるのはケータイだけ」とした。

 同氏はまた、おサイフケータイに関連して進めているクレジットサービス事業についてもアピールし、「これからの1年で日本人のライフスタイルはどんどん変化する」と同社のクレジットサービス戦略に自信を見せた。その理由として、コンビニ各社やタクシー会社で次々に「iD」が導入されていることを紹介。「500円玉で支払う場合とは違って、ついつい使ってしまう。商機を逃さない」とし、「ほとんどすべてのコンビニでなんらかの形で使えるようにしていく。東京なら半分のタクシーが導入する」と急速に拡充していく旨をアピールした。

 同氏は最後に、「小売業にとってもおサイフケータイはユーザーとの接点になれる。みなさんのビジネスにもうまく活用してもらいたい」と述べ、講演を終えた。


イベントの展示会場にはさまざまなソリューションの展示が行なわれた。「携帯アイリス認証」技術は携帯のカメラで虹彩認証を提供する 認証の瞬間にライトが発光。デモではまぶしさを抑えるためにライトを黄色にしている。2007年3月頃の実用化を目指しており、端末メーカーなどに採用を働きかけていくという 認証が終了した様子。カメラは光量を補えるライト搭載側で利用する


URL
  「OKI 情報通信融合ソリューションフェア 2006」案内ページ
  http://www.oki.com/jp/event/sf2006/
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/


(太田 亮三)
2006/11/10 21:56

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