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【CEATEC JAPAN 2006】
千本氏、イー・モバイルの狙いどころを語る

イー・アクセスCEOの千本氏
 幕張メッセで開催されている展示会「CEATEC JAPAN 2006」の中、10月5日に行なわれた基調講演では、イー・アクセスの代表取締役会長兼CEO 千本 倖生氏が「来年から始まるモバイル・ブロードバンド革命の衝撃」と題した講演を行ない、日本のケータイ市場の問題点と、それに対するイー・モバイルの狙いを語った。

 千本氏はまず、「若い方はご存知ないかもしれないが、電気通信の変革の歴史に、私はずっと立ち会ってきた」と語り、通信の歴史を振り返り、長距離電話料金を下げたDDIやインターネットアクセスを高速かつ安価にしたイー・アクセスなど、自身が設立に携わった企業が、通信業界に変革を起こしてきたことを説明した。


長距離通話料、インターネットアクセス、ケータイの料金比較
 その歴史をふまえた上で、千本氏は日本のケータイについて「ケータイの平均的な料金は1999年で7,450円だったが、2006年でも6,380円とほとんど下がっていない。日本のメディアは、日本のケータイが世界で一番だとか言うが、料金面で世界一か、という点については、誰も語らない。私が持っているアメリカで使うためのケータイは、ドコモの料金の数分の1だ。日本でのみケータイを使っているだけでは、比較のしようがないが、基本的なサービスについていえば、日本が進んでいるというのは、あきらかに間違いだ」と持論を語り、「私は長距離電話料金やADSLと同じコトがケータイにも起きていると感じて、イー・モバイルという会社を作った」として、ケータイ事業に参入した理由を示した。


ネットアクセスとケータイの市場性の比較
 さらに千本氏は、日本のケータイ市場について、「ケータイの市場規模は8兆円ある。それに対してインターネット市場は8,000億円だ。そしてインターネット市場には200社以上がいるのに対し、その10倍の規模があるのに、ケータイは3社が寡占状態にある。ここに構造上の問題がある」と指摘する。そして「1分あたりのコストを見ると、日本では45円程度だが、アメリカやアジアはその数分の1でやっている。こういう事実を、日本の携帯電話事業者は何も言わない。おサイフケータイや着うたなど、オマケの話ばかりをする。もっと本質的な、オマケではないグリコのアメの議論をしよう。そうしないと日本の国際競争力が落ちる」と語った。

 端末メーカーについても、「ケータイの事業は世界規模になっているが、日本国内で、ケータイで儲かっているメーカーはあるのか。シャープだけが辛くも儲かっている状況で、ほかはみんな儲かっていない。それに対して、他国ではどうだ。サムスンは大もうけだ。モトローラは利益率が30%だという。台湾のコンパルという会社は、1社だけで日本のメーカー全部よりも多くの端末を作っている」と語り、日本の端末メーカーの規模が小さいことを説明する。この理由について千本氏は「日本のケータイ市場の構造がクローズドで、メーカーは難しいソフト満載のケータイを作らされている。このため、外に出て行けず、外からも入ってこられない」と語る。さらに「日本はケータイ市場の構造を抜本的に作り替えないと、ノーリターンの市場になってしまう。私がやりたいのは、世界に対してオープンな、グローバルに戦える通信会社を作ること。既存の会社とはコンセプトの違う会社を作りたい」として、イー・モバイルの方向性を示した。

 続いて千本氏は、イー・モバイルが既存の事業者を後ろ盾としない、完全なベンチャーで、世界中から3,000億円以上の資金を調達し終えたことを紹介し、「これだけ壮大な資金調達を、ネットワークを作る前、顧客もいない状態で集めたのは、世界でも例がない」と述べた。

 千本氏は、イー・モバイルのサービスについて、「端末についてはまだ、手の内を明かせない。しかしイー・アクセスはブロードバンドの会社。ウィルコムでも100kbpsとかだが、われわれが提供するネットワークは、3Mbpsや4Mbpsになる。高速通信できるモバイル端末を、来年春から提供する。さらに国内ではドコモとローミングし、自社でフォローできないエリアはドコモのネットワークを使ってもらう」と語った。


イー・モバイルが集めた資金 イー・モバイルの端末のコンセプト


URL
  イー・モバイル
  http://www.emobile.jp/
  CEATEC JAPAN 2006
  http://www.ceatec.com/

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(白根 雅彦)
2006/10/05 19:26

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