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【WIRELESS JAPAN 2006】
総務省 森氏、「IMT-Advanced」の標準化作業を解説

総務省 総合通信基盤局 電波部 新世代移動通信システム推進室長、森孝氏
 WIRELESS JAPAN 2006で20日、総務省 総合通信基盤局 電波部 新世代移動通信システム推進室長である森孝氏による講演が行なわれた。演題は「第4世代移動通信システム “IMT-Advanced”」。現在、国際電気通信連合(ITU)を中心に作業が進められている、第4世代携帯電話(4G)の規格標準化作業について解説した。


第4世代携帯電話の規格名は「IMT-Advanced」へ

e-japan戦略、e-japan戦略IIに続いて、現在はIT新改革戦略を推進
 森氏はまず、日本における携帯電話市場を解説。第3世代携帯電話(3G)のシェアが2006年5月の段階で55.4%に達した状況について「高速接続を求めている消費者の心理をあらわしたものでは」とコメント。「ブロードバンドで一般化した高速なインターネット接続サービスが、携帯電話にも求められるようになっている」と分析する。

 日本政府としても、e-japan戦略、e-japan戦略IIに代表される、国家的なIT戦略へ継続的に取り組んでいる。現在は「IT新改革戦略」を推進中で、「2010年度までに現在の100倍のデータ通信伝送速度を持つ移動通信システムを実現する」という目標を掲げている。総務省ではこれをうけ、高速移動時には100Mbps、低速移動時には1Gbpsの伝送速度が実現される見込みの4Gについて、その規格標準化作業へ積極的に寄与する方針をとっている。

 4Gの標準化作業は、ITUによって行なわれている。ITUでは傘下に複数の専門部会を抱えており、具体的には専門部会の1つであるStadey Group 8(SG8)、さらにその下部にあるWorking Party 8F(WP8F)が策定作業を担っている。WP8Fで決定された具体的な案件は、数年に一度開催される無線関係の国際会議「WRC(World Radio Conference)」へと送られ、参加各国による決議を経たのち、正式に採用される流れだ。「WP8Fでの決定は、上位の会合でもそのまま決議通過することが多い」(森氏)とされており、その動向が注目される。


ITUの組織構成図 IMT-Advanced標準化に向けての予定

 次回のWRC(WRC-07)は2007年の開催を予定。WP8Fでは2003年の前回会議以降、関係企業へのアンケートなどをもとに4Gで必要とされる周波数帯の利用案などをまとめている。森氏は「2007年のWRCでは利用周波数帯が特定され、さらにその次のWRCまでに規格の詳細仕様が勧告されることになるだろう」と補足している。なお2005年10月にヘルシンキで開かれたWP8F会合では、4Gの名称を「IMT-Advanced」とすることで合意。同時に「3.9G」「スーパー3G」などと呼ばれる3Gの拡張・発展型サービスを「IMT-2000(3Gの名称)」へと含め、IMT-2000とIMT-Advancedをあわせた規格全体を単に「IMT」と呼称し、明確に切り分けることになったという。


IMT-Advancedの名称は、2005年10月にWP8Fで合意された WRC-07の開催前にも、各種の準備会合が計画されている

4Gサービスに消極的な国も

 森氏によるとWP8Fでは現在、周波数にフォーカスした議論が行なわれている。しかし参加する各国は、携帯電話事情がそれぞれ異なることなどから、一部では意見の対立もみられるという。森氏は「4Gサービスを必要とする国、当面は必要としない国かどうかで、周波数への考え方は大きく異なる」と解説。4Gの標準化に向けて新たに周波数帯を獲得するためには、すでにその周波数を利用しているサービスを押し出すことになってしまい、関係業界との折衝が必要となってしまう。具体的にはニュージーランドやアメリカは、4Gの運用に消極的とされ、4G導入に積極的なヨーロッパ各国との間で意見が相反しているという。そのため、標準化作業の過程でまとめらる報告書には、両陣営の意見を一本化せずに併記する対応も行なった。

 具体的に利用する周波数帯についても、現在は複数の候補が案として検討される段階だ。日本からは3.4~4.2GHz帯、4.4~4.99GHz帯の2種類が提案されているが、全候補数は現在10種類。すでにIMT-2000やテレビ放送で使用中の周波数帯も含まれているため、最終決定には紆余曲折があると考えられる。

 講演の最後に森氏は、ITUへの積極的な関与と同時に、日本・中国・韓国の3カ国間でも協調を行なっていくと説明。さらに「産業界の意見を反映させることも、総務省の重要な責務」と語り、電波審議会など関係団体との連携も図っていくとした。


4Gで使われる周波数帯の候補。現在は検討段階にある 総務省の取り組み


URL
  総務省
  http://www.soumu.go.jp/

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(森田秀一)
2006/07/21 18:00

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