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【WIRELESS JAPAN 2006】
KDDI高橋氏、定額制がもたらすコンテンツ戦略を解説

KDDI 執行役員 コンテンツ・メディア事業本部長の高橋 誠氏
 WIRELESS JAPAN 2006の講演には、20日にKDDI 執行役員 コンテンツ・メディア事業本部長の高橋 誠氏が登壇し、「モバイルインターネットの新たなる方向性」と題した講演を行なった。同社のコンテンツ戦略をさまざまな方向から解説するとともに、今後伸びる市場、手がけていく市場などが解説された。

 高橋氏は、冒頭に契約数やARPUの順調な推移などの概況を説明した。その中でカテゴリ別のコンテンツの伸びをグラフで示し「電子書籍が、音楽に続いて伸びると思われる」と指摘。急拡大する市場の出現を示唆した。


ケータイを起点にした音楽サービスを展開

LISMOユーザーの25%がau Music Portを利用
 講演の中では「定額制がもたらしたもの」という大きなテーマが掲げられ、データ定額の導入により「コンテンツ購買意欲が高まった」「ダウンロードコンテンツの購買が増加」「トランザクション系のビジネスが拡大」「他のメディアとの連携に積極的に取り組める」の4つの大きな効果が得られていると語った。

 コンテンツ購買意欲の面では、LISMOの状況を例に挙げて解説した。LISMOが携帯端末を選ぶ際の決め手になっているとする調査結果を示したほか、パソコン向けソフトの「au Music Port」がLISMOユーザーの25%が利用しているとのデータも明らかにした。高橋氏は「LISMOが、ケータイとパソコンを連携させるというスタイルを後押ししている」と述べ、「LISMOユーザーは着うたフルの購入件数が増えている。LISMOにより携帯電話でのダウンロードも後押ししている」として、LISMOがコンテンツの購買に結びついているとした。

 高橋氏は、「ケータイを起点にして、パソコンにも世界を広げたいと思っている」と音楽サービスの大きな方向性を示した。その上で、直前に行なわれたNTTドコモ 夏野氏の講演で、夏野氏が携帯電話のWMA対応を拡大しパソコン向け音楽配信サービスと連携できるようにしていく、とした点について、LISMOと比較してその違いを説明した。ドコモの展開との大きな違いでは、ケータイでダウンロードしたコンテンツをパソコンにバックアップできる、パソコンでも聴ける、パソコンでもダウンロードできる、決済はケータイでできる、などのポイントを挙げ、「ケータイを核にして広げていきたい。KDDIが責任を持って広げていく」と述べた。また同氏は音楽配信市場の9割が携帯電話のダウンロードによるものというデータを示し、「そのことを忘れずにやっていく」と語った。


急拡大する電子書籍市場

電子書籍市場は急成長を見せているという

ワンセグはデータ放送の活用が課題とした
 高橋氏は、ダウンロードコンテンツの購買という面の1つのトピックとして、電子書籍配信の「EZブック」サービスを挙げた。「2006年の2月からは、すさまじい伸び。ケータイの登場でシュリンクしたといわれた電子書籍は、パソコン市場ではうまくいっていないが、携帯電話ならうまくいくと思ってやってきた。20代前半の女性に特に使われており、こういうコンテンツは絶対に伸びる。また継続利用動向が高いのも特徴」と語り、女性を中心に電子書籍市場が急拡大している様子を紹介した。

 トランザクション系のビジネスの拡大については、「EZナビウォーク」の利用者数の順調な推移を例に「5月で月額会員が100万人を突破した。来年には200万、300万という数字を目指す」と意気込みを語った。また多岐にわたるEZナビウォークの機能を紹介し、「ナンバーポータビリティもあるので、iモードユーザーにも一度使っていただきたい。一度使うとやめられなくなるサービス」と述べて、他のキャリアに先行して手がけてきたナビサービスをアピールした。

 他のメディアとの連携ではauショッピングモールを挙げて、ワンセグのデータ放送、EZチャンネル、ブログなどと連携している機能を紹介。「定額だからこそ他のメディアとも連携できる。また、このような決済プラットフォームは今後重要になっていくだろう」とした。

 ワンセグについては、早々に対応端末を3機種発売し「放送局の宣伝もあって端末が売れた」とする一方、課題も示した。全画面表示によりデータ放送が見られないことが多い現状や、番組連動型データ放送の充実が今後の課題として「なんとかビジネスを作っていかなければいけない。ひとつひとつ今作っているところ」と述べた。


ケータイの検索も“使える”ものに

一般サイトも対象に、統合された検索サービスを提供

モバイルバンクで銀行サービスも提供
 同氏はまた、それまで講演で触れられてきたポータルを起点とした購買行動とは別の、「ユーザー行動の変化」についても言及した。同氏はその行動を「利用シーンを起点とした行動」「他のメディアをきっかけとした行動」「友達からの情報を起点とした購買行動」の3つに分類する。他のメディアをきっかけとした行動では、テレビを見ながら携帯で検索するといった利用シーンを例に、Googleと連携した検索サービスを挙げた。「2年ぐらい前から構想としてあったもの。新しい検索サービスでは、公式コンテンツへの道筋を付つけるとともに、一般サイトへもきっちりと道筋をつける。これからはケータイの検索も“使える”ものになる」として、ポータルの新たな役割としての検索サービスを示した。

 「クレジットではドコモに先行されたが」とした高橋氏は、今後取り組んでいく「モバイルバンク」についても説明を行なった。KDDIと三菱東京UFJ銀行との提携では、共同でモバイルネット銀行を設立することが明らかにされているが、「モバイルバンクでは、お金を貯めていくモノもできる。今後他のメディアとの連携が重要になり、その先にモバイルバンクがある」として、総合的な銀行サービスを提供していく方針を明らかにした。

 同氏は講演の最後に「我々は2番手戦略として、いろいろな人たちと手を携えてチャレンジしていきたい」と述べて講演を終えた。



URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/
  WIRELESS JAPAN 2006
  http://www.secretariat.ne.jp/wj2006/

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(太田 亮三)
2006/07/20 18:13

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