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NTTドコモ 執行役員 プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野 剛氏
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WIRELESS JAPAN 2006の講演では、20日にNTTドコモ 執行役員 プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野 剛氏が登壇し、ドコモにおけるリアルとネットの融合戦略を語った。
夏野氏はまず初めに、「ケータイを、ネットだけに留めておくのはもったいない。モバイルでネットは当たり前になってしまった」と述べ、会場に集まった多くのコンテンツプロバイダーや関係者に向けて「ネットに閉じずにリアルとビジネスの融合を」と呼びかけた。そして、今後はリアルとネットの融合がドコモの戦略の大きな柱になるとした。
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iモードの売上は2006年から横ばいに
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iモードの概況から説明を始めた同氏は、2006年7月18日時点でのiモードユーザーが約4,690万契約と「成人人口の約半分に相当する」と説明。コンテンツプロバイダーは約2,500社、コンテンツは約6,500メニューにも上るとし、「一時期のように公式サイトになれば儲かる、という時代ではない」と語った。FOMAの契約数がPDC端末を上回った点にも触れ、「単なる移行というより、定額制サービスを提供した意味が大きい」と分析した。
公式サイトの月間の売上高の推移をグラフで示した同氏は、「現在公式サイトだけで、コンテンツの売上が月160億、年間で約2,000億円規模になっている」と、これまでの市場の拡大を説明。しかし示されたグラフでは2006年に入ってからの伸びが頭打ちとなっており、この点については「2006年に入ってから(グラフが)寝てきたが、ゲームなどはクオリティの向上が著しく、売上にも貢献している」と述べるに留まった。
■ ケータイならではの使い方を追求した音楽サービス、WMA対応も拡大
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WMAに対応することでPC系音楽配信が利用できる
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新サービスに話題を移した同氏は、新たに開始するHSDPAを採用したサービスと端末を簡単に紹介。「これを機に変わったサービスを立ち上げていこうと考えた」と述べて、「音楽を強調していきたい」と新サービスの「ミュージックチャネル」を紹介した。
「私もiPod nanoの4GBを持っているが、ケータイで音楽を聴けるようになったからといってiPodのように何百曲も入れて使う人は少ない、ということが分かってしまった。新サービスはケータイならではの使い方を追求したい」と述べた夏野氏は、「音楽リスナーは、10%のアグレッシブリスナーと90%のパッシブリスナーに分かれていると思っている。この両方のニーズに応えられるようなものを提供したい」と説明。最大の特徴として「なにもしなくてもいいこと」を挙げ、事前にチャネルを設定すればあとは夜中に約1時間、約10曲分が自動的にダウンロードされる同サービスのポイントを解説した。通信速度については「HSDPAはマストではない。HSDPAのネットワークでなくても提供できるが、HSDPAなら速く済むという話」とした。
端末に搭載されるミュージックプレーヤーについても言及した夏野氏は、「パソコンとの連携を簡単にすることが重要」として、「多くの機種をWMA対応にしていこうと思っている。PC系の音楽配信も簡単に乗れるようにする。楽曲をケータイでダウンロードすることを前提とせずに、DRMはパソコンとの親和性の高いものを追求していきたい」と述べて、今後はWMA形式などパソコンとの連携を視野に入れた方式を積極的に採用していく意向を明らかにした。
iチャネルについては、「公式サイトなどを必ずしも利用しないユーザー向けのもの」とし、「サービス開始から1年経たずに400万契約を突破した」と好調にユーザーが拡大している様子を紹介。「オープンモデルのiモードとはまったく逆で、基本の4チャネルはドコモがコンテンツを提供している。しかしこれだけではニーズに応えられないと思っている。嗜好性の高いものはオープンにいきたいと考え、お好みチャネルを用意した。これ以上ドコモのチャネルを増やすつもりはない」と述べて、iチャネルでのコンテンツ展開にもコンテンツプロバイダーの参加を呼びかけた。
ここ最近3キャリアで展開が活発になった検索サービスについては、一般サイトへのアクセス比率が上昇していることを背景に挙げた。ドコモでも開始する、一般サイトも対象とした検索サービスについては「ほかの検索エンジンもウェルカム。ヤフーさんもOK」と述べて、今後も提携先の検索サービスを拡充できるとした。
■ 「デファクトスタンダードはiDで決まった」
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iD決済端末の導入台数
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夏野氏は講演の後半、リアルとの融合戦略の要となるおサイフケータイ、iD、DCMXといったサービスの戦略について語った。「マルチメディア化のバリエーションで競争は進んでいくだろうが、最近は差別化要素が少なくなっている。ケータイで映像、音楽、テレビも当たり前の世界。そこでプラスαとしておサイフケータイを提供し、さらに付加価値を持たせるためにクレジットカードビジネスも始めた。ドコモのこれまでのサービスももちろん提供していくが、主戦場を広げなければ我々の成長はない」と夏野氏は新たな市場を開拓する理由を述べ、新たな収入源の確保に本気で取り組んでいる姿勢を示した。
「何故クレジットカードなのか? それは成長が著しいにも関わらず利用率が低く、これから伸びる市場」とクレジットサービス参入への意図を語った同氏は、同社のブランド「iD」に話題を移し、「すでにデファクトスタンダードはiDで決まった」と言い切って見せた。
iDが電子マネーの主流になるその理由として、夏野氏はiDが利用できる決済端末の導入台数を挙げる。「導入決定台数だけで約33万台になった。Edyで4万、Suicaでも数万といったところだろう。さらに年内に約10万台の設置を予定しており、年度内なら約15万台になる。来年の今頃には様相が一変しているだろう」とiDの普及に自信を見せた。
一方で、決済端末の普及や共通決済端末も重要だが「使う人を増やすことがもっと重要」としてDCMXを紹介。「コンテンツを買うようにリアルでもケータイで買い物ができる。902iSシリーズではセキュリティ対策も充実し、落としたときは(ロックできるので)サイフより安心だ」などとさまざななポイントを説明するとともに、「DCMX miniは40万人以上が入会しており、使用額も毎週上がっている」と順調な滑り出しであることを説明。「会員1,000万人でクレジット大手と呼ばれるが、3~5年以内に日本で5本の指に入るクレジット会社になりたい」とクレジット事業への意気込みも語った。
同氏は最後に、「ドコモが通信企業のままであれば、10~20年後も今と変わらないだろう。日本人のライフスタイルのもっと大きな部分に関われるようになっていきたい」と述べて講演を締めくくった。
■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
WIRELESS JAPAN 2006
http://www.secretariat.ne.jp/wj2006/
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