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KDDI社長
小野寺正氏
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WIRELESS JAPAN 2006の講演に登場したKDDIの代表取締役社長兼会長である小野寺正氏は、「移動と固定の融合で拓く次世代モバイルブロードバンド時代」と題して、auの「CDMA 1X WIN」によるケータイ・ブロードバンドへの取り組み、さらに、KDDIが描く「次世代モバイルブロードバンド時代」におけるサービスや、Wi-MAXをはじめとする新しい無線技術の開発、ウルトラ3Gによるサービス制御プラットフォームの統合などの取り組みについて言及した。
■ 「これから10年も我々の予想する以上のことが起こる」
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au端末のブロードバンド化
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小野寺氏は、これまでのモバイルネットワーク、固定ネットワークにおけるブロードバンドの発展に触れながら、「10年前には予想ができなかったことがいま起こっている。これから10年も我々の予想する以上のことが起こるだろう」として、ネットワーク技術の進化が急速に進んでいることを強調した。
その中で、「利用者にとっては、インフラやシステムはどうでもいいことであり、どんなサービスが受けられるのかが重要。しかし、すべてのサービスは、インフラがきちっと整うことで成り立ってきた。インフラが整ったからこそ、新たな端末、料金、コンテンツ、アプリケーションを提供できる。システムと端末、サービスをうまく連携させて投入していくことが大切」として、これまでのauにおける取り組みを振り返った。
auでは、144kbpsのデータ通信速度の提供が可能になったCDMA 1Xになって、初めて「GPSナビ」や「着うた」といったサービスを提供。また、EV-DO(Rev.0)によって、2.4Mbpsの環境が実現するとともに、データ通信専用のネットワークを確立できたことで、EZフラットやダブル定額といった定額制の導入、さらには「着うたフル」などの大容量コンテンツの配信が可能になったと語る。また、今年中に開始するEV-DO Rev.Aでは3.1Mbpsのデータ通信速度を実現できることから、EZテレビやLISMOといったサービスを開始できるとした。
同氏は、現行のEV-DO Rev.0は、下りの速度が2.4Mbpsへと大幅に向上したことで、ダウンロードサービスの強化が可能になったのに対して、新たに提供するEV-DO Rev.Aでは、上りが154kbpsから1.8Mbpsへとアップリンクの速度が大幅に向上。「上りを生かした双方向リアルタイム通信によるサービスが提供できるようになる」と語った。
「いま、300万画素のカメラが付属していても、これで撮影した画像を、誰も送ろうとはしない。だが、アップロードが向上したEV-DO Rev.Aではもう少し手軽に写真を送信することができるようになる。テレビ電話はどこまで利用できるのか、個人的には疑問視している部分もあるが、これもインフラの進化とともに利用できるようになる」と話した。
■ LISMOの狙い
現在、着うたフルに対応した端末は約800万台を出荷。「今後は、LISMO対応端末が増加することになり、PCとケータイとの連携がより進んでいくことになる」という。このように、インフラが整い、そのインフラの特性にあわせたサービスが創出され、対応した端末の製品ラインアップが増加するという繰り返しを歩んできた、というわけだ。
当然、端末機も、インフラやサービスにあわせて進化を遂げており、今後はデュアルコアに対応したクアルコムのCPUチップセットの搭載や、300万画素のカメラ、2.6インチのワイドQVGA液晶の搭載というように進化を遂げることになる。
また、LISMOについては、「音楽だけが先行しているが、LISMOは、PCと連携することで、携帯電話に保存されている写真やメール、アドレスなどをすべてPCではバックアップできるのも特徴の1つ。PCとの連携によって、もっと使いやすい携帯電話を提供することを目指したものであり、音楽の利用だけに留まらず、これまでにはない幅広い世界を創出することができる」と位置づけた。
同じくケータイとPCとの連携では、ひかりone(旧KDDI光プラス)のユーザーを対象に実施していた「ライフログ簡単登録サービス」の実証実験を紹介。携帯電話機のGPSやバーコード、QRコードなどを利用して、蓄積した生活に関する情報を、PCや携帯電話から検索するといった使い方が可能なことを示した。
一方、固定とモバイルの連携が、今後、重要な課題になることを指摘。KDDIでも、メタルプラスやひかりoneにかかってきた電話を、auの携帯電話に転送するといったサービスを開始していることを示したが、「携帯電話と固定電話は別の使い方をされており、その用途や顧客の要求を見極めてサービスを提供する必要がある。個人にかかってきた電話を、不在だからといって自動的に家の固定電話に転送されたら、若い人は怒ってしまうだろう(笑)。技術的にできることと、顧客が必要とするサービスとは違う。また、なんでもワンナンバーでいいとは思わない」として、提供するサービスに関しては慎重な姿勢を見せた。
■ いずれはワンセグを標準装備
小野寺氏は、通信と放送との連携についても言及。このなかで、「ワンセグ放送機能は、カメラと同じように、携帯電話に標準装備されていくと考えている」と、自らの考えを示した。
現在のワンセグ放送は、携帯電話事業者にとっては、単なるテレビ受像器としての使い方しかできず、その機能だけで新たな収益モデルを創出できるわけではないが、同氏は、「ワンセグ放送の機能は、災害時に大きな威力を発揮する」として、災害時の情報収集手段として、あるいは安否情報の伝達手段として活用できるとした。
「災害時には音声やデータのトラフィックが集中し、必要な人が情報を得られないということもある。放送と連携することで、まず放送で災害の状況を確認することができ、これにより、データトラフィックを落とすことができる。また、ワンセグ放送の画面から、安否情報を書き込むことができるURLをクリックすれば、すぐに安否を書き込んだメールを配信できるといった使い方もできる。ワンセグ放送と、EZナビウォーク、聴かせて検索、EZチャンネルといったauならでのサービスとの連携も提供していく」と語った。
■ 次世代に向けての技術開発
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コアネットワークのIP化
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このほか、講演の中で説明に時間を割いたのが、ウルトラ3Gへの取り組みだ。
ウルトラ3Gは、すでに詳細が発表されているが、講演では改めてこの説明を行ない、「移動体アクセスや固定アクセスなど、多様なインフラを統合し、さまざまなサービスをシームレスに提供することで、これまでには考えられなかったような使い方ができるようになる」と述べた。
従来はバラバラだった固定とモバイルの通信網が、それぞれNGN(次世代ネットワーク)、MMD(3GPP2)という形でIP化が進み、これらを統合することで、ウルトラ3Gとして固定・移動統合網が完成する。「従来型の固定電話のインフラを利用していたのでは、電話料金はいつまでたっても下がらない。いまのままでは、2010年になっても高い基本料金と高い通話料金を支払わざるを得ない。当社では、2005年度から既存固定電話網のIP化に着手。2007年度にはオールIP化を完了する計画。一方、モバイル網ではMMD化することが前提となり、これによって、IPをベースとした固定電話との融合によって、コスト削減、サービス競争力の強化とともに、プラットフォームの共通化やマルチメディア化が図れる」と話した。
モバイルブロードバンドへの取り組みについては、「さらなる無線技術の進化は続いていくが、従来のように、すべて作り直し、まったく新しいシステムに切り替わるのはコストの面からも現実的ではない。また、新インフラへの移行段階では、一時的に人口カバー率が減り、従来のネットワークよりもサービスが悪くなる、ということにも陥る。エボリューションというパスを用意して、既存のネットワークインフラを進化させていくことが最適だろう」とした。
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Rev.Aでの強化点
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また、モバイルブロードバンドを支える重要な技術としてWiMAXをあげた。同社では、ウルトラ3GとモバイルWiMAXを活用したシームレスなハンドオーバーを実現する実証実験を、昨年度から大阪地区で行った成果をビデオで披露しながら、「モバイルWiMAXだけで、全国をカバーするにはお金と時間がかかる。既存の全国サービス網とどう連携するかが、普及に大きく影響する。EV-DOとの連携はこれからますます重要になる」などと語った。
同氏は話題の燃料電池についても説明。「CPUの高速化や、アプリケーションが重くなる、テレビ放送を視聴するなど、携帯電話の使い方が変化し、リチウムではすでに限界にきている。だが、燃料電池もピークパワーに課題があるという点も見逃せない。すべてを燃料電池で補うというではなく、一部をリチウムと併用するということも考えていく」とした。
講演前に展示会場のNTTドコモブースを訪れ、展示していた充電方式燃料電池の試作品の説明を聞いたという小野寺氏。「冗談で、ドコモの方には、この燃料電池をどこの携帯電話でも使えるようにしましょうよ、と提案した」と語り、場内を湧かした。
同氏は、IP放送(IPマルチキャスト)における高信頼ハイビジョンIPマルチキャスト技術や、IPマルチキャストエラー補正技術、4G(IMT-Advanced)に向けた研究開発を行なっていることなどを示し、「こうした技術開発を、きちっと、お客様に使っていただくサービスへとつなげることが、我々の役割」と述べ、講演を締めくくった。
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開発中の燃料電池
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4Gに向けた研究開発
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■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
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