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【モバイルマーケティングカンファレンス2006】
am/pmとファミマが見るおサイフケータイの動向
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ドコモ平野氏
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「モバイルマーケティングカンファレンス2006」では、おサイフケータイ関連のセッションも行なわれた。NTTドコモ マルチメディアサービス部 アライアンス担当部長の平野 敦士氏が司会を務め、レックス・ホールディングス常務取締役の福井 克明氏、三井住友カード常務執行役員の澤村 和男氏、ファミリーマート常務執行役員の小部 泰博氏がパネリストとして登壇、各社が実施しているおサイフケータイを使ったサービスの現状が紹介された。
最初に挨拶を行なったドコモ平野氏は、「昨年、三井住友カードに出資を行なって以降、“おサイフケータイ向けサービスを手掛けなければ乗り遅れるぞ”という流れになってきたかなと思っている。携帯電話の中、iモードの中だけで完結せずに、いろんな企業と提携することで、次のステージに進める。そのための一番のツール、基礎となるのが非接触ICと捉えている」と挨拶した。
■ am/pmでの事例
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レックス福井氏(右)と、三井住友カード澤村氏(左)
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Edyの利用状況
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「牛角」や「am/pm」を展開するレックスの福井氏は、am/pmにおけるEdyの利用動向を紹介。同氏は、現在の流れを「普及しつつあるが、まだまだ伸びて欲しい」と語る。
同氏が示したデータによれば、Edyの利用件数は2006年4月で140万件に到達。ユーザー数(購買者数は)月間約26万人にのぼる。また、am/pmでの購入額のうち、Edyが占める割合は順調に推移し、3月には9.3%となっている。am/pmでは、決済をスムーズに行なえるようにするなどの利便性追求もさることながら、消費者動向の把握や囲い込みツールとしての役割を非接触IC決済サービスに求めているという。その観点からすれば、現状のEdyの利用動向は「まだ満足できない」(福井氏)という。
福井氏は「消費動向も二極化すると見られる中、当社としてはいわゆるアッパー層へのリーチも目指している。囲い込みは難しい業界で、これまでは利用頻度の高いユーザーの履歴だけしか存在しなかったが、電子決済がインフラになることで、小売業では初めて本格的なCRMが実現できる。そういう時期にさしかかっている。他業界からすれば高い利用率かもしれないが、まだ満足できない状況。今後の加速に期待したい」と、非接触IC利用の決済サービスを積極的に用いる考えを見せた。
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Edyでの購買者動向
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全購入額のうち、Edyは10%近くに達している
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EdyにはCRMツールとして期待しているという
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am/pmでは、Edy利用者のうち40%がおサイフケータイ
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■ ファミリーマートが「iD」に着目した理由
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ファミリーマート小部氏
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9月にも第3世代店舗システムへ切り替えられる
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ファミリーマートでは、首都圏など東日本の店舗1,000店でSuicaを導入している一方、九州・沖縄では450店舗でEdyを導入している。また、東京と名古屋で計100店舗にNTTドコモの「iD」を導入している。地域によって、対応する決済サービスが異なっている状況だが、小部氏は「全国的な電子決済をどうするか、という点ではiDを選んだ」と語る。
創業25周年を迎えるファミリーマートでは、2006年9月に新たな店舗システムの導入を予定している。1995年から導入されてきた現行システムでは、衛星経由での通信やISDNで各店舗間のネットワークが構成されていたのに対し、「第3世代店舗システム」とされる新システムでは、非接触IC対応のリーダーライターを後付けできる新型POSレジを導入するとともに、通信インフラに光ファイバーを採用している。
今秋の本格導入に向けて、同社では2005年7月ごろからNTTドコモや伊藤忠商事などと検討を重ね、南池袋に実験的な意味合いを持たせた新店舗を開設。7月には北海道へ本格的に進出する予定だが、最新店舗で展開する予定だいう。
小部氏は「ドコモさんと話をしていく中で、iDそのものの魅力が全国レベルで出てくるのではないかと考えた。2006年早々にも我々のほうからドコモさんへ押しかけて、iDを導入させてもらうことにした」とiD導入の舞台裏を説明した。
同氏の紹介するデータによれば、Suicaは1日20,000件強の取り扱いがある中、1人あたりの単価は500円弱。一方、100店舗しか展開していないiDでは、5月まで1日1.6~1.7件程度だった取扱件数が、2.5件程度にアップ。単価も1,000円に近づこうとしているレベルだという。iDは利用頻度はまだ低いが、単価が高くなっている。これについて小部氏は「Suicaは利用頻度が多いが、やはりチャージしなければいけないという点がネックになる。ポストペイとプリペイドの差が出てきている」と述べた。
同氏は「電子決済に対する期待として、レジでの手続き時間が短縮できるほか、お釣りの取り扱いが少なくて済むといった点があるだろう。これは消費者が求める点であり、店にもメリットがあること。さらにCRMを踏まえた場合、電子決済として全国どこでも利用できるというのは、他よりも優位な点と言える」と語る。
また将来的な展開として、ファミリーマート独自で「ファミマiD」を発行する考えも示された。
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ファミリーマートでは地域によって導入する決済サービスが異なる
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「ファミマiD」導入の考えも
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■ ポストペイとプリペイド、どちらに軍配?
現在、おサイフケータイ(非接触IC)を用いる決済サービスとしては、EdyやSuicaといったプリペイド型電子マネーと、三井住友カードiDやQUICPayなどポストペイ型クレジットサービスが展開されている。
平野氏は「電子決済に期待するのは、決済そのものよりも、CRM向けツールとしての面か?」と問いかけると、福井氏は「決済は当然あるべきものだが、顧客に向けた戦略が打てるという面からCRMとしての機能に期待している」と回答。小部氏は「CRMという観点からすると、たとえば飲食店に行っておサイフケータイで決済すると、最寄りのファミリーマートのクーポンがトルカで配信されるといった使い方も想定できる。顧客の許諾を得る必要はあるだろうが、利用動向を用いて個人と結びつけたCRMを掘り下げたサービスも考えられる」と語った。
また、平野氏が「個人的には、贈答用や学生での利用といった分野でプリペイドが利用され、両者が共存できると見ている」と述べると、福井氏と小部氏はともに「ポストペイが普及する」と予測した。
その理由として、福井氏は「プリペイドは先にチャージする。残額あるから使おうという動機付けになるが、どちらかといえば気兼ねなく利用できるポストペイのほうへ、圧倒的多数が移行すると見ている」という。
ポストペイの利点として、三井住友カードの澤村氏は「ポストペイであれば入会審査が必須となる。審査は手間がかかるが、これでユーザーの属性がわかる。CRMやその後の運用などを踏まえれば、ポストペイのほうが優れているだろう。身近なマーケティングツールとされ携帯電話だが、おサイフケータイとしての機能であれば、かざすという行為がなければやり取りできない。決済と販促が結び付くのが最強のツールと思う」と述べた。
また、今後の電子決済に期待できるポイントとして、小部氏は「当社では、毎週火曜に新製品を出している。商品の売れ行きがリアルタイムで判別できれば、『今日出した新飲料はどうか。生産ラインを増やすか減らすか』とメーカー側にも判断の材料ができ、中間在庫の削減に繋げられる。さらに、地域の特性を活かして、ユーザーの特性を考慮した商品作りが可能になるだろう。電子決済がきっかけになって、流通業に変革が訪れるチャンスと捉えている」と語った。
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最後のセッションで登壇者はブルーのユニフォームを着ていた
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「モバイルマーケティングカンファレンス2006」では、KLab代表取締役社長兼CEOの真田 哲弥氏らが出席したセッションも行なわれた。こちらでは、携帯関連サービスとしてSNSや動画配信、CMS(コンテンツマネジメントシステム)が紹介され、それに関する各社の考えが披露された。また、12日はW杯の日本戦が行なわれるとあって、登壇者はサッカー日本代表のユニフォームを着て、セッションに臨んでいた。
■ URL
モバイルマーケティングカンファレンス2006
http://mmc2006.jp/
(関口 聖)
2006/06/12 20:55
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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