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KDDI副社長の伊藤氏
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3月15日と16日の2日間、京都のパルスプラザにおいてケータイ関連の展示会「第5回 ケータイ国際フォーラム」が開催された。同会場で行なわれたカンファレンスの中でKDDIの代表取締役執行役員副社長 伊藤泰彦氏は「Convergenceへと向かう通信」と題した講演を行なった。
伊藤氏はまず現在の通信市場について固定回線の落ち込みを指摘する。デジタルへの移行は進んでいるが、音声収入の落ち込みを補えないような状況だという。その一方で「ケータイはパーソナルゲートウェイ化が進んでいる」と指摘。「PIM機能やエンターテイメントなど電話以外の用途が増加し、ビジネス用途にも使われるようになった。ケータイを通信のハブとしていろいろな機器がつながり、今後はすべてがケータイを中心に回っていく」と語る。
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ケータイ用途の増加
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ケータイのパーソナルゲートウェイ化とメディア化
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ケータイとビデオレコーダのハードディスクなどを接続させるという考え。「ケータイに4GBの容量が搭載されるようになったので可能になるだろう」と語る
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ケータイを個人認証デバイスに使うという考え
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「Convergence(融合)」は通信の融合、いわゆる「FMC(Fixed-Mobile Convergence)」のことを示している。しかし伊藤氏は「FMCというとOne Phoneとよく言われる。オフィスや家で固定電話とつながって、屋外ではケータイとして使える。これがよく言われるFMCだが、KDDIが目指すところはそれだけではなく、もっと深い」と説明する。ケータイでテレビ電話をしている人が、そのセッションを維持したまま帰宅し、自宅のテレビでテレビ電話を継続する、といった例を示し「これは研究所などで実験的に作っている。これができる時代になる」と語る。
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一台のケータイが「いつでも」「どこでも」使えるといういわゆる「One Phone」の考え方
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KDDIが目指すFMC、シームレスサービスのイメージ
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このようなことが可能になる背景には、ネットワークのIP化があると説明する。ネットワークのIP化はコストの削減や前述したFMCの実現に必要であるとの背景を語り、さらに世界のキャリアがネットワークのIP化を宣言していることを紹介してネットワークのIP化が時代の流れであることをアピールした。
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オールIP化の必然性について
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オールIP化の必然性について
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KDDIのIP化のプロセスとしては、まず世界に先駆けて2008年3月までに固定回線のバックボーンをIP化させる予定であるという。そこで構築されたIPベースのCDN(Content Delivery Network)をさらに進化させ、有線・無線を問わないさまざまなアクセス手段がそこにつながるようにしていく。逆にCDNの上には各種サービスをコントロールするMMD(MultiMedia Domain)を構築し、そこにVoIPやテレビ電話、オンラインゲームなどさまざまなアプリケーションが利用できるようにする。それによりユーザーは、CDNにつながるFTTHやEV-DO、将来的には4Gなどアクセス手段を問わず、さまざまなアプリケーションを同じように利用できるようになるという。
伊藤氏は「これがKDDIが提唱するウルトラ3G。3Gとはいうが、ケータイだけの話ではない。総合的なネットワークをウルトラ3Gと呼ぶ」と説明する。「これが実現すればいつでもどこでもネットワークに接続できる。『AlwaysON』これがブロードバンドの真髄。KDDIはオールIP化で世界のフロントランナーになる」とIP化への意気込みを語った。
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KDDIのIP化の最初の段階、IP化された固定網の構成図
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固定とモバイルなどのアクセスを統合するネットワークの構成図
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さまざまなアクセス・さまざまなサービスを統合するMMDとIPバックボーン(CDN)
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KDDIが掲げるIP統合ネットワーク「ウルトラ3Gのイメージ」
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いつでもIPネットワークにつながりサービスを使える「AlwaysON」という考え方
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KDDIが世界に先行して次世代ネットワークを構築し、フロントランナーになるという
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さらに通信と放送の融合についても「これもケータイでやろうと考えている。テレビで触発された興味をケータイで即座に受け止められるので、これまで顕在化していなかった大規模な商流の発生を期待できる」と語る。これまでのKDDIの取り組みとしては「2003年度から試験端末とかアナログテレビなどいろいろやった。最初に役員に見せたときは『大きいねぇ』『ケータイにテレビが載っても売れない』と言われた。しかもケータイを作っている役員は半ばやけくそで『われわれはテレビを作ったんです、ケータイじゃありません』と言った。しかし端末が発売されてみると、画像はきれいでたちまち現在は品薄状態。メディアを取り込むのは大きいと実感した」と紹介する。今後の方向性としては「ケータイでは限定地域にデータを送れるので、また違った配信ができる。広告もオプトイン的にできる。通信の付加機能で差別化を図りたい」と語った。
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通信放送(ワンセグ)連携端末の開発歴史
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通信と放送連携の今後について
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■ 通信の融合の前に横たわる固定ブロードバンドの問題点
伊藤氏は「ここまでは通信が融合するとこんなに楽しくなる、という話をしてきたが、これを実現するにはさまざまなハードルを越えなくてはいけない。これが講演の本題」と語り、固定回線側が抱えるいくつかの問題点を指摘する。
まず指摘したのが固定回線におけるデータ通信の収支構造問題。回線交換ネットワークでは、データ量あたりの販売単価は一定。システム原価で言うと、回線が速くなるとそれに応じたシステムコストが必要だが、規模が大きくなれば単価は低下する。これにより利益率はデータ量に比例して増えていく。
一方のIP系のネットワークでは定額制があるため、データ量が増えても収入は一定、つまりデータ量あたりの販売単価はデータ量に反比例して減っていく。しかしバックボーンの回線コストはサービスの種類によらずほぼ一定。低速な回線では十分な利益が得られるが、データ量が大きくなる高速サービスでは原価割れを起こす可能性がある。「P2Pや第3者のIP放送などでトラフィックは増加している。コスト削減しないとペイしなくなるし、収入源もコンテンツ販売など多様化させないといけない。設備投資意欲がなくなりやめてしまう人もいる状況」と指摘する。
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日本における固定とモバイルのインターネット構成図
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回線交換とIP系ネットワークにおけるコスト構造の比較
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トラフィックの増加も大きな問題になっていると説明する。インターネットトラフィック内訳のグラフを示し「キャパシティの9割がP2P」という現状を紹介する。これに対してプロバイダが採っている対応策を紹介するが、バックボーンの利用料についても問題があるとも語る。「通信事業者は『ずっと投資してきたが利益を享受できていない』というなど、みんなが自分勝手なことをいって解決がつかない」と説明。「まだトラフィックは限界にはなっていないが、そういった状況も想定しないといけない。コスト削減をしなければ生き残れない」とも語る。
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インターネットトラフィックの傾向
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トラフィックに対し利用料を課金しようという動きも出ている
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モバイルデータにおけるコスト構造。青が売り上げで赤が原価。ネットワーク進化により原価が下がることでより大きなトラフィックにも耐えられるようになっている
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インフラコスト削減は固定も移動も生き残れない
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Convergenceに向けた課題
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伊藤氏はこのような固定ブロードバンド回線の問題点を挙げた上で「ケータイとブロードバンドをそのまま融合させるのは危険。秩序ある発展のために、まずは固定をIP化し、そのあとケータイもIP化して融合させる」と説明する。その上で「ウルトラ3Gというインフラの上で、ケータイからも利用できるいろいろなものに挑戦していきたい」と将来への展望を語った。
■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
ケータイ国際フォーラム
http://itbazaar-kyoto.com/forum/
■ 関連記事
・ ケータイ関連の展示会が京都で開幕
(白根 雅彦)
2006/03/17 14:11
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