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【第5回 ケータイ国際フォーラム】
パネルディスカッション、アジアと日本のケータイ
左からコーディネータの中村氏、モバイル社会研究所所長の石井氏、インステップグループのワンワラウィパット氏、フェイスの平澤氏、ドコモ関西の石塚氏
3月15日と16日の2日間、京都のパルスプラザにおいてケータイ関連の展示会「第5回 ケータイ国際フォーラム」が開催される。その前日の3月14日には、東映京都撮影所にある江戸城の撮影セットにおいて基調講演とパネルディスカッションが行なわれた。本稿ではパネルディスカッションの模様をレポートする。
パネルディスカッションに参加したパネリストは、東大名誉教授・NTTドコモ モバイル社会研究所所長の石井威望氏、タイのインステップグループ社長のウィワット・ワンワラウィパット氏、株式会社フェイス 社長の平澤創氏、NTTドコモ関西 取締役ソリューションビジネス部長の石塚滋樹氏。コーディネータはスタンフォード大学日本センター研究部門所長の中村伊知哉氏が務めた。
まずフェイスの平澤氏が日本のケータイ業界について語った。最初に世界のケータイのシェア図を示し、「日本メーカーはこの図ではその他の中に入ってしまう」と語り、日本のシェアが低いことに言及。「日本で普及していても世界で見るとダメ。世界を視野に入れたビジネスをやっていくべき」と語った。その一方で「日本のケータイユーザーは9,000万人で86%がインターネットに接続している。ほかの国では10%程度が多く、まだまだ普及はこれから。日本から世界にユビキタスソリューションを展開していけるのではないか、この部分の議論もしていかなければいけない」とも語り、日本の市場が進んでいることもアピールした。一方で日本のマーケットのニーズとしては、核家族化と少子高齢化が進み「エンターテイメント中心のマーケットは難しい。70歳以上が便利に使えるツールでないといけない」とし、さらなるケータイの進化が必要だという考えを示した。
世界のケータイシェア
世界のモバイルインターネット普及率
ワンワラウィパット氏は「ユビキタス時代の文化問題、暗い面の話をしたい」と語り、ほかのパネリストと異なる視点で議論を展開した。「タイではケータイのユーザーが今後、大幅に伸びると予想されている。しかし価格競争が激しくなり、収入は増えない」とタイの将来予想について述べた。さらに日本とタイの違いとして「キャリアが強い日本と違い、タイはメーカー優位。おサイフケータイのようなサービスは難しい。実現しても日本とは比べ物にならない高率な中間マージンを取られるので、Edyのようなものは無理だろう。データ通信速度も遅いのでリッチコンテンツは無理」とも語った。その一方でSMSを利用した視聴者連動のテレビ番組の事例を紹介し「通信料が増えるのでキャリアからお金がもらえ、スポンサーが不要」と語り、日本にはないビジネスがあることも語った。
タイと日本のキャリアの違い
タイと日本のユーザーの違い
コーディネータの中村氏は「アジアの若い人にとってケータイはどのようなものか」とし、ゲストコメンテーターを紹介した。まず台湾からの株式会社電遊社 インターンシップ生、鐘美君氏が台湾のケータイについて説明。「台湾ではケータイはエンターテイメントツールになっている」と語り、ラジオやテレビ電話、ゲームが人気があると説明。しかしラジオでは放送中の曲を検索して購入する仕組みがなかったり、ゲームもJavaでは物足りないという声もあり、「ケータイだけじゃ物足りない」という意見を示した。
続いては韓国からの京都大学経済学部留学生、キム ジュンファン氏が韓国のケータイの現状を紹介した。まずメッセージングサービスについて、「韓国では異なる通信会社ともSMSをやりとりできるが、インターネットのメールアドレスは存在しない」と紹介。続いて韓国の最新サービスとしてDMB、ケータイを使ったテレビ放送サービスを紹介。「まだ利用できる機種の普及は進んでいないが、利用者は増えている」と語った。料金面では韓国では通信料金が日本より安く、さらに利用する地域を大学周辺や繁華街などで指定することで受けられる割引サービスがあることも紹介した。その一方で端末価格は韓国のほうが高いことも紹介した。
これらの話を受けてコーディネータの中村氏は、ケータイ業界におけるアジアと日本の関係について問題を提起した。この点に関してフェイスの平澤氏は「ケータイの技術的な進化とケータイの文化は、世界と日本とでは一致しない。互いの文化の違いを尊重しながらやっていくべき」と語る。一方でモバイル社会研究所の石井氏が「日本が永遠にリードするのではない。リードする人が常に変わり、抜き抜かれつの状態がよい。固定しない序列が次のチャンスを生み出せる」と語ると、ドコモ関西の石塚氏は「私も同じ考え。日本がリードするとかではない」と続ける。石塚氏はさらに「絵文字が世界に出るとは思えない。文化はローカルなもので、キャリアのやるべきことはその場所のユーザーが快適に使えることだ」と語った。
コーディネータの中村氏が「日本のケータイメーカーはパッとしないが」と語ると、ドコモ関西の石塚氏は「それはドコモに対する皮肉でしょうか」と引き継ぐ。「FOMAには500万ステップのソフトが入っていて、さまざまな機能が搭載されている。高度化しすぎている一方で機能の引き算ができない」と日本のケータイの問題点を指摘。「グローバルなスタンダードを考えると、海外でよく見られるノキアのプリペイドで電話をしているのとは違いが大きい。やはり標準化を進めていかないといけない」と語った。
コーディネータの中村氏は会場で聴講していた学生にも意見を求め、学生は「通話だけの小さな携帯電話のニーズもある」「ナイキのオーダーメイドのように、自分でオーダーデザインできるケータイが作れたら面白いのでは」といった意見を述べた。
これに対してドコモ関西の石塚氏は「いいポイントをついている。しかしドコモが目指すところは生活を便利にするためのケータイ。本来ならばカスタマイズできるようにしたいところだが、ベンダーの立場から言うと難しいので、いろんなセグメントを見て最大公約数を取っている」と語った。
最後にモバイル社会研究所所長の石井氏は「今日はたくさんのヒントを得られた」と語る。「ユビキタスというと『どこでも使える』といった『でも』論理になる。それに対して『わたしだけが使える』という『だけ』論理がどうなるか、それら両方が共存するパラレルリアリティに興味がある」と意見を述べた。
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URL
ケータイ国際フォーラム
http://itbazaar-kyoto.com/forum/
(白根 雅彦)
2006/03/15 12:28
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