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講演会場となった江戸城(の撮影セット)
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3月15日と16日の2日間、京都のパルスプラザにおいてケータイ関連の展示会「第5回 ケータイ国際フォーラム」が開催される。その前日の3月14日には、東映京都撮影所にある江戸城の撮影用セットにおいて基調講演とパネルディスカッションが行なわれた。本稿では基調講演の模様をレポートする。
■ ケータイは第3のステージ「生活で使うケータイ」へ
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ドコモ社長の中村氏
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基調講演にはNTTドコモの社長、中村維夫氏が登場。まず最初に中村氏は、ドコモの契約者数推移グラフを示し「9,000万人がケータイを持つようになるまでいくつかのステージがあった」という持論を展開した。「まず1995年ごろから音声通話のための通信インフラとしてケータイが普及した。1999年にiモードが開始されるとITインフラとして進化・普及した。そしていま第3のステージに進化させようと取り組んでいる。通信以外の用途にも、あらゆるシーンで使える生活ケータイにする。そのためにFeliCaなどの多様な外部インターフェイスをケータイに搭載している」と説明し、おサイフケータイの現状について説明した。
おサイフケータイのサービス例としてはクレジット機能の「iD」を紹介。「まだVISAほどには普及していないが」と前置きしつつも、「日本ではクレジットカードは普及していない。アメリカでもクレジットカード利用率は24%程度だが、日本では10%未満。小額決済分野は拡大の余地があると考えている」と語った。来年度にはドコモ自身がクレジットカードを発行するとも語り、ドコモがこの分野に力を注いでいることをアピールした。
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契約者数推移とケータイのステージ
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iDの概要図
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続いて「ケータイの守備範囲を広げる」と語り、モバイル向けの地上波デジタル放送、いわゆるワンセグを紹介した。「ワンセグの特徴はデータ放送が画面の半分、テレビがもう半分。ドコモではフジテレビと日本テレビと提携し、ワンセグで何ができるか、というところを含めて開発していきたい」と語り、この分野でのドコモの取り組みを説明した。
中村氏は固定電話とケータイを融合させる、いわゆるFMCについても言及。「1つの端末で一元的に、固定とかケータイとか意識しないで使えるのがいちばんよい」とし、その取り組みの1つとして業務向けに提供されている「PASSAGE DUPLE」を紹介。さらに「何ができるかドコモでも研究中」とも語った。
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ワンセグについての概略図
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FMCについての概略図
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「現状では通信スピードは固定回線にかなわない。しかしスピードはさらに向上させていく」と通信の高速化についても言及。「HSDPAは夏ごろには出てくると思うが、それが最大で14Mbps、現状の40倍になる。当初は10倍程度から始めるが、これができると音楽とかゲームとか、現状ではストレスを感じる部分がなくなる」と語った。
さらに「第4世代では2.5Gbpsの通信に実験的に成功した。まだ通信機が机二個くらいの大きさだが、時間をかけて小さくしていく」とし、第4世代の研究が進められていることをアピール。一方で「これだけ速い通信速度を何に使うか、というのも大きな研究課題」とも語り、高い通信速度を活用するアプリケーションをこれから考えていかなければいけないことも示した。
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HSDPAの概要
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第4世代と第3世代の比較
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■ 考えなければいけないケータイの「光」と「影」
中村氏はケータイが社会にもたらした影響として利便性の向上や新ビジネスの登場など「光」の面だけでなく、利用マナーの問題や詐欺の問題など「プラスだけではない、カルチャーがついてこれなかったりしてマイナスの部分もある」と語る。「こうしたマイナス部分をどのように克服して影響を最小限にとどめるかは電話事業者にとって果たすべき大きな責任。ドコモではモバイル社会研究所を設立し、こういったところを研究している」とし、ケータイの影の部分へのドコモの取り組みをアピールした。
さらにドコモの社会的な責任、CSRについては、このような「影」の面に対応していくこと以外にもあることをアピール。誰でも使えるユニバーサルデザイン端末の開発や、災害発生時にケータイが活用できるようにすること、環境対策として二酸化炭素発生や使用済み端末のリサイクルにも取り組むべきだと語り、「もっともっとよいケータイへと努力していきたい」とドコモの今後についてアピールした。
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ケータイの光と影について
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ドコモの社会的な責任について
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■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
ケータイ国際フォーラム
http://itbazaar-kyoto.com/forum/
(白根 雅彦)
2006/03/15 12:00
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