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【NET&COM2006】
パネルディスカッション「通信と放送の融合は現場で起こっている」
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NET&COM 2006の基調講演では、日本テレビ放送網の土屋敏男氏、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)の滝山雅夫氏、USEN GyaO事業本部の菊地頼氏、クラビットの楜澤悟氏によるパネルディスカッションが開催された。司会進行は日経コミュニケーション副編集長の加藤雅浩氏が務めた。
■ 各事業者がコンテンツ配信の苦労や期待を語る
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ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)の滝山雅夫氏
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日本テレビ放送網の土屋敏男氏
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アニマックスブロードキャスト・ジャパンの代表取締役社長も務めるSPEの滝山氏は、「アニメに関してはコンテンツの2次利用が他よりも進んでいる」とコメント。「かつてはアニメは子供の見るものという位置付けでスポンサーも限られていたため、テレビ放映で得られる収入は制作費の半分から8割程度という赤字体質だった。そのため2次利用や商品化、海外配給などを積極的に進めていた」とし、「新しい伝送路でコンテンツを届けられるのは非常にいいこと。IP放送も期待しているが、著作権の問題などでなかなか苦労している」と語った。
動画配信サービス「第2日本テレビ」を手がける土屋氏は、「今まで(テレビという)プールでしか泳いでいないのに、(インターネットのような)川や海に出てきて全然泳げない状況だが、非常に面白くてやりがいはある」とコメント。USENの菊池氏は「現場レベルでは通信と放送の融合といった議論はしておらず、GyaOとしては新聞や雑誌といったメディアを目指している」との意気込みを示した。
クラビットの楜澤氏は、「BBTV(当時はBBケーブルTV)を立ち上げたのは3年前だが、ようやく最近はIP型の放送サービスが注目され始めた」との感想を示した上で、「逆に言えばここまで3年もかかっている。海外では後から始まったIP放送事業者が活躍しており、我々も他に負けないよう加速化していく」と意気込みを示した。
加藤氏がGyaOの成功の秘訣について菊池氏に問いかけると、菊地氏は「決してうまくいっているとは思っていないが」と断った上で、「広告型の無料VODサービスは誰もが考えていたことだとは思うが、それをサービスとしてやりきれるかどうかが問題だった。我々は誰かがやらないならやってしまおうという考えで、最初にスタートしたから好調に見えているだけではないか」とコメント。これに対して土屋氏は「これほどの会員数やコンテンツの充実度は驚愕に値する」との賛辞を送りつつ、「GyaOも第2日本テレビも、PCで映像を見るという習慣を一緒に作っている最中。テレビではできないような狭くて深いコンテンツを出せる場として、テレビとは違う魅力を打ち出していく」との考えを示した。
■ 携帯電話のコンテンツ配信には大きな可能性が
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USEN GyaO事業本部の菊地頼氏
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クラビットの楜澤悟氏
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モバイルでのコンテンツ配信に関しては、クラビットの楜澤氏が「IP放送の場合、テレビと食い合いになるという不安を持たれている方もいるが、携帯であればテレビとは競合というよりも補完関係にあり、組みやすいメディアだ」と好意的。また、USENの菊池氏も「ブロードバンドでは取りきれない十代といった年齢層にはモバイルが強い」との感触を示し、「3Gの携帯電話では何時間もの映画を配信するのは難しい。携帯電話用のコンテンツが必要になるのではないか」との考えを示した。
日本テレビの土屋氏は「最初は携帯電話が主戦場になると思っていたが、画面が小さい、メニューの深い階層まで行かないとサイトにたどり着かないなど、予想以上に苦戦している」とコメント。一方、ワンセグ放送については「予想以上に絵が綺麗で、実物を見ると結構いけるのではと感じた。ワンセグとの連携は力を入れていくべき」とワンセグに期待を寄せた。
SPEの滝山氏は「若い世代は携帯電話が時計代わり、財布代わりになったり、何でも調べられたりと、携帯電話がすべてを解決している」と指摘。「2時間もの映画を配信するのは難しいが、アニメの本編や新作配信などは適しているのではないか」と語り、「電子書籍やショッピングなども期待できる」とした。
今後の方針については、楜澤氏が「事業者が責任を持って事業を進められるよう、法制度の不整合を解消して欲しい」との希望を踏まえた上で、「我々も10万人近いユーザーを集めており、今年は本格的にサービスを展開していきたい」とコメント。菊地氏は「ユーザー数ももちろんだが、ユーザーには毎日見てもらい、広告クライアントにも効果を理解してもらえるような愛されるメディアになりたい」との考えを示した。
土屋氏は「いずれはコンテンツを海外展開したい」との考えを示しつつ、「これまでビジネスの視点でばかり語られていた通信と放送の融合に対して、コンテンツの質を高めるという部分を大切にしていきたい」と発言。滝山氏も「まずはコンテンツありき」という考えに同意しながら、「アニマックスは現在550万世帯だが、これが1,000万になれば広告媒体価値も出てくるだろう」と説明。インドやラテンアメリカなどで行なっている海外展開も積極的に進めていくとした。
■ URL
NET&COM2006
http://expo.nikkeibp.co.jp/netcom/index.shtml
(甲斐祐樹)
2006/02/02 16:59
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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