|
イー・モバイル 執行役員 研究開発本部長の諸橋知雄氏
|
|
固定と移動のシームレスなサービスを提供
|
「mobidec 2005」の2日目、携帯電話事業への新規参入が認められたイー・モバイルの執行役員 研究開発本部長の諸橋知雄氏が講演を行なった。同氏は、「イー・モバイルが目指す携帯事業と将来への展望」と題して、新たな事業の概要を語った。
イー・モバイルは、固定通信向けブロードバンドサービスを展開するイー・アクセス傘下で携帯電話事業を受け持つ。諸橋氏は、「国内のブロードバンドサービスはADSLが牽引してきた」とし、ADSLが普及した理由として、安い料金、高速通信などを挙げた。同社では、携帯向け通信サービスでも安さや高速通信を売りに展開していく方針だという。
国内の3Gサービスの現状について、諸橋氏は「2Gから3Gの切替えが終わっておらず、3Gを活かしたサービスがまだ見えない。我々は固定通信の利用に近いものを提供する。技術的には難しいが、そのギャップを埋める努力をしなければならない」とコメント。さらに、通話時間が諸外国より短いとするデータを示し、日本の通話料金が依然として割高であるとした。「携帯電話は財布を気にしながら電話する。パケットベースの課金は、もっとわかりやすい料金に何としても変えていきたい」という。
諸橋氏は、諸外国の携帯電話普及率のデータを元に、海外では1人で2台以上携帯電話を所有する国もあるとし、国内でも2台目の端末の需要があるとの見解を示した。イー・モバイルでは、8.5兆円市場とも言われる携帯電話市場を、10兆円市場に拡大したい考えだ。
加えて、2006年にも導入される番号ポータビリティ(MNP)制度について、「新規参入とMNPは非常に親和性が高い」と語り、同社の調査結果では、MNPで7割のユーザーが乗り換え意向を示しているとした。
このほか、FMC(Fixed-Mobile Convergence)についても言及。「無線LANと携帯電話をどう結ぶか。我々は、端末をどこに持って行っても意識せずに使えるようなものを提供したい」と述べた。
|
|
携帯向けでも固定通信に近いサービスを
|
無線LANとの連携
|
|
|
ユーザーはもっと安い利用料を望んでいる
|
モバイルサービスの事業性
|
|
|
MNPの乗換え意向は約7割
|
理想は、低料金でシームレスなアクセスができるブロードバンドサービス
|
|
FMCの説明
|
■ MVNOを積極展開、放送と通信は補完関係になれる
|
イー・モバイルの事業戦略
|
イー・モバイルでは、新規参入が認められる以前から、移動通信網をホールセールし、将来的にMVNOを展開していくとしていたが、今回の講演でも積極的に取り組んでいくことがアピールされた。諸橋氏は、AOLやニフティなど、同社が提携するISPにMVNOを提供したいと語っており、資本関係を結んだTBSと連携したリッチなコンテンツなども提供できると語った。
また、今後のモバイルコンテンツは、放送と通信が融合したサービスに期待できると述べ、「放送と通信が互いに補完関係になれたらいいと思う」とした。プッシュ型メディアの放送と、プル型メディアの通信では、コンテンツの配信方法から収入源など異なる点が多いため相互に補完しあえるとの考えだ。TBSがイー・モバイルの株主となったのは、そうした狙いもあるという。
なお、スピーチ後の諸橋氏に対し、TBSが株主となったことで、他の放送局と連携が取りにくくならないかと質問したところ、「TBSとの補完関係がうまくいけば、1つのモデルケースとなる。株主かどうかは関係なく、他局とも連携していくつもりだ」と語っていた。
|
|
今後、コンテンツは動画などが主流に
|
放送と通信はスキームが異なる
|
■ URL
イー・モバイル
http://www.emobile.jp/
mobidec 2005
http://www.mobidec.jp/
■ 関連記事
・ 携帯コンテンツ開発者向けイベント、アキバで開催
(津田 啓夢)
2005/11/30 17:03
|