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【WIRELESS JAPAN 2005】
KDDI高橋氏、定額制のインパクト・放送との連携を語る

高橋誠氏

高橋誠氏
 14日、KDDIコンテンツ・メディア事業本部長の高橋誠氏による「定額料金によるコンテンツ・メディアビジネスの方向性」と題した講演が行なわれた。auが展開する「ダブル定額」「ダブル定額ライト」の利用状況やユーザーのコンテンツ利用動向が明らかにされたほか、講演終盤には携帯向け地上デジタル放送(1セグ放送)に向けた放送との連携についても同氏の見解が語られた。


定額制でコンテンツ流通を拡大

稼働台数

 1X WINの稼働台数は6月時点で325万2,000台
 高橋氏は、まずCDMA 1X WINの稼働台数を紹介した。それによれば、6月時点での台数は325万2,000台。今年度末には、ほぼ倍となる766万台まで目指していくという。

 定額制ユーザーの年齢層を見ると、全体のうち10代が22%、20代が32%、30代が23%、40代が16%、50代が6%、60代以上が1%となっている。また、有料コンテンツの平均利用額を見ると、1Xユーザーでは680円、1X WINの定額制ユーザーでは1,380円と倍以上になっている。

 これまでも明らかにされていたデータだが、同氏は「定額制ユーザーのうち、10~30代の合計が77%。社内の会議では10年後もこのユーザー層がそのまま有料コンテンツを使い続けてくれるかどうか、疑問視する声もあがったが、定額制がもたらす安心感によってコンテンツ流通が拡大しており、私はそのまま利用してもらえると考えている」と語り、その下の世代もまた有料コンテンツを利用する可能性が高いため、今後も携帯向けコンテンツ市場は拡大の一途を辿るとの見方を示した。


年齢別

 ダブル定額の利用者を年齢別で見たグラフ
 また同氏は、ダウンロードされるコンテンツが、携帯向けコンテンツのうち8割を占め、その有料コンテンツを利用するのはauユーザーのうち3割というデータを明らかにした。また着うた・着うたフルが好調な音楽コンテンツについて同氏は「これからも“音楽と言えばau”と言ってもらえるようにしていきたい。具体的に今後どうしていくか、現時点では明かせないが、ぜひ期待していただきたい」と述べ、新たなサービスモデルを検討中であることを示唆した。

 高橋氏は「auでは音楽や電子書籍、ゲームなどを提供していずれも成功している。パソコン向けコンテンツでは、一部の男性向け動画コンテンツで成功した事例はあるだろうが、全体として、成功の代名詞と言えるものはないのではないか」と述べ、携帯向けコンテンツの成功は、キャリアによる課金モデルが大きな要因となったと指摘した。


利用額

 コンテンツ利用額の動向
 auのコンテンツが好調な理由として、課金モデルの整備を指摘した同氏は、キャリアが端末メーカーやコンテンツプロバイダと協力して、一貫したサービス提供を行なっている体制が、「新サービスおよびコンテンツの普及に大きく寄与してきた」と語る。いわゆる垂直統合モデルとされる構造だが、この点は携帯電話事業への新規参入が話題になった際、新規参入希望の事業者から問題点として指摘されたこともある部分だ。

 これに対して高橋氏は「垂直統合モデルはコンテンツ推進のためにどうしても必要だ。たとえばFMラジオを搭載するとき、端末メーカーとしてはハードが売れれば良いので、聴きながら録音でき、さらに着うたにできれば良いと考える。しかしソフト側はそうはいかない。そのため著作権管理は端末メーカーではなく、キャリアが仕上げている」と述べ、その利点をアピールした。その一方で同氏は「今後、KDDIとして垂直統合にこだわる必要はないと考えている。新規事業者はブログやオークションなどを用意してくるだろうが、当社でも既にDUOGATEやモバオクといったサービスを提供し、パソコンとの連携を図っている」と述べ、携帯だけの世界に閉じこもらずに広い世界で展開していくとした。

 著作権管理の成功例として、同社関係者からたびたび紹介される「着うた」だが、高橋氏は、電子書籍でも同様の動きが今後起こるという見解を示した。同氏は「たとえば着うたフルを提供する前、CDの販売が落ちるのではないかという議論があった。しかしハリウッド(映画産業)では、劇場だけではなくDVDやテレビ、VODなど流通チャネルを拡大して、現在の隆盛を作り上げた。肝心なのは、“携帯では著作権管理がしっかりしている”という点と“権利者に利益がある”という点を説明できること。シンプルなモデルだからこそ理解してもらえる。EZwebで電子書籍の流通量は昨年の3.5倍になった。これから書籍業界も音楽業界と同じ流れになって、さらに拡大していくだろう」と語った。


電子書籍 垂直統合モデル
 電子書籍は順調に成長している  キャリアが牽引した「垂直統合モデル」はコンテンツ推進に必要と説いた

今後 DUOBLOG
 今後は垂直統合モデルにこだわる必要はないとも語った  パソコンとの連携サービスの1つであるDUOBLOG。高橋氏は、自身のブログで「電車が止まって足止めを食っている」と記したところ、女子高生からコメントが書き込まれた、というエピソードを披露

スター・ウォーズキャンペーンでわかったこと

キャンペーン

 スター・ウォーズキャンペーンで新たにわかったこともあるという
 映画「スター・ウォーズ」の最新作公開にあわせてauでは「スター・ウォーズキャンペーン」を実施している。その展開において高橋氏は「新たにわかったことがある」という。

 同氏は、「我々は常にユーザーに対して、さまざまなアプローチをしているが、ポータルサイトやメールでの告知が非常に効く。またユーザーの行動スタイルを見れば、“スター・ウォーズ”でアピールして我々のサービスに導くのが効果的だということがわかってきた」という。


今後5年間で必ず放送と通信は連携する

 アナログテレビ放送を受信できる機能を携帯電話に搭載し、新たに「EZテレビ」を開始したau。高橋氏は、「今後5年間で必ず放送と通信は連携する」と断言した。

 同氏は「定額制だからこそ、クロスメディアは成り立つ。従量制であればキャリアはいかに通信してもらえるか、という点ばかり考えていたが、定額制でユーザーの支払額が一定であれば、常にインフラを利用してもらう必要はない。コンテンツを利用してもらうためのトリガーは、携帯でもテレビでも構わない」とその理由を説明した。

 来年にもスタートするという1セグ放送については「auでは1~2機種を出すのではないか。ただしそのまま搭載したのでは端末価格が上がってしまう。どういうビジネスモデルにしていくか、放送事業者と協議している段階だ。アナログ放送のEZテレビではドラマの主題歌やEPGといった情報を参照できるようにしているが。デジタル放送ではどう進化していくのか、今年から来年にかけての目玉になる」と語る。

 また放送事業者がパソコン向けにドラマのダウンロード配信などを行なうという報道を受け、同氏は「本当に実施されるのであれば、非常にシンプルでわかりやすい。ドラマ1本を4つにして1本100円というのはわかりやすい。携帯であれば絶対売れる」と語るが、課題は放送事業者と携帯キャリアの考え方の違いにあるという。

 高橋氏は、「放送事業者にとって顧客といえば広告主、我々はエンドユーザー。これをいかに融合していくか。現状ではなかなか通じ合えない。我々がポータルサイトで広告モデルを構築して成功させることで、放送事業者との考えの違いを埋めていきたい」と意欲を見せた。


トリガー EZテレビ
 定額制であれば、放送がトリガーになり得るとした  アナログテレビの「EZテレビ」が今後、どうなるか興味深いところと指摘


URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/

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(関口 聖)
2005/07/14 15:20

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