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【WIRELESS JAPAN 2005】
ボーダフォン津田氏、MNP導入や新規参入による過当競争を警戒

津田志郎氏

津田志郎氏
 WIRELESS JAPAN 2005の初日のコンファレンスで、ボーダフォン 代表執行役会長 津田志郎氏が「ボーダフォンが考える移動体通信の質的変化」と題した基調講演を行なった。

 冒頭、津田氏は「いつでもどこでもだれとでもコミュニケーションができる、という基本は世界共通だが、ボーダフォンに来てから、日本が優れていること、海外の方が優れていること、その違いについて考えるようになった」とし、講演は携帯電話市場のさまざまな面から欧米と比較する形で進められた。


日本がグローバルに与えた影響

日本のベンダー

 液晶テレビもデジカメも世界を席巻しているのに、ケータイは弱い現状
 まず津田氏が指摘したのは、「日本のモバイル通信市場はグローバルに革新的なサービスを輸出している」という点だ。津田氏はiモードやJ-スカイ、EZwebのような非音声サービスについて「今では欧米でも広まりつつあるが、はじめはほとんど欧米では無視されていた。2年欧米は遅れているという人もいるが、そういう面もある」と語った。このほか、日本が世界に与えた影響としてカメラ付き端末や着うたのような音楽配信、おサイフケータイのようなモバイルペイメント関連などの事例を挙げた。

 一方で同氏は、世界の携帯電話端末市場における日本メーカーの苦戦についても「もっとグローバルで活躍できるはず」と言及。デジタルカメラ、液晶テレビの世界シェアのデータを引き合いに出し、「デジカメも液晶も日本メーカーが世界市場を制しているのに、携帯電話市場では日本メーカーの割合が低い。2Gの方式が海外とは違う、という背景もあるが、3Gでは世界標準。さらなる努力の余地がある」と語った。


「過当な競争は市場を攪乱するだけ」

 次いで、津田氏は2006年導入予定のモバイルナンバーポータビリティ(MNP)について話題を移した。MNPは欧州各国、米国、韓国などすでに多くの先進国が導入済み。同氏はこれらの世界各国のMNP利用率のデータを示した。それによると、フィンランドや香港が20%を超えて高いが、他の国々は10%を下回っている。

 同氏は「国ごとにかなり利用率が差がある。日本ではいったいどうなるのか。各社も読み切れない。調査結果は聞き方次第。“番号がそのままならキャリアを変えたいか”と聞かれれば、たいていの人はイエスと答えるはず。過大評価されているのではないか」とコメント。さらに利用率の高いフィンランドで「MNP導入時に加入者に無料でDVDプレーヤーを配布したり、新規顧客の手数料、新規加入料は免除された」事例や、香港の「香港では月額基本料や端末を無料にしたり、インセンティブは2.6倍に高騰した。ほとんどのキャリアが赤字になった」事例を紹介。これらを踏まえ「MNPをやめたほうがいい、といっているのではないが、あまり加熱した競争は市場を攪乱するだけに過ぎない」と慎重な見方を示した。

 さらに、新規参入問題にも言及。ボーダフォンは総務省が募集したパブリックコメントにおいて「新規参入は1社にすべき」と主張しているが、同氏はそれについて、「1社にすべき、という結論ばかりがメディアに取り上げられた。現在、3Gに取り組んでいるのが3社すでにある。これが国内で6事業者が争うことになるとすると、慎重になるのは当然のこと」と補足。さらに、「機会がオープンなものであることは異論はないが、通信は公益性が高い事業。(急激に事業者が増えて)短期に事業が売買されたり、撤退されたりすることは、消費者利益を考えてもを考えると慎重であるべき」とし、複数社の新規参入への疑念をのぞかせた。

 また、他社の回線を使ってサービスを展開するMVNOについても、デンマークでMVNO乱立による過剰な価格競争が発生し、結果、回線を保有している事業者が撤退してしまった事例を挙げ、「過当な競争が本当に消費者利益になるかは疑問」とし、改めて過当競争への懸念を示すコメントとなった。


MNP利用率 デンマーク
 MNP利用率が高い国のキャリアが皆疲弊している事実を紹介  MVNOの乱立で回線を持ったキャリアが撤退してしまったデンマークの事例

「音声通話はまだまだ工夫の余地がある」

グローバル性をアピール

 世界の文化を日本に、日本の文化を世界に、というグローバル性をアピール
 諸外国から学ぶべき点として、まず、米国で音声通話が伸びている事例を紹介し、「ボイスは限界、といわれているが、まだまだ工夫し、知恵を絞る余地がある」とした。iモード以降の携帯電話業界は音声からデータへの転換、とことあるごとに言われてきたが、事業者トップが音声回帰とも取れる発言は極めて異例だ。このほか、携帯電話上で金額を操作し、ATMにかざすだけで設定したお金がおろせる韓国のサービスや、携帯電話番号が本人を示すIDの一つとして認められている欧米の事例を示し、「こういったことは日本でも進めていきたい」と意欲を見せた。

 なお、日本では3Gの導入以降採用されているSIMカードについて国内と海外で温度差があることについては、「欧米では、SIMの活用が進んでいる。端末に対してのインセンティブの払い方をどうすればよいのか、という問題があるので難しい」と述べるにとどまった。

 最後に津田氏は「海外の良いところは日本にどんどん持ち込みたい。ボーダフォンはそれができる環境にある。また、日本の優れたものはどんどん海外にも持って行く」と述べ、ボーダフォンの「グローバル性」をアピールし、講演を締めくくった。



URL
  ボーダフォン
  http://www.vodafone.jp/

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(伊藤 大地)
2005/07/13 13:01

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