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【BREW 2005 Conference】
クアルコム本社でHSDPAやMediaFLOのデモ

 米クアルコムは1日、本社に世界各国の報道関係者を招き、見学会を開催した。同社の最新動向や、HSDPA、MediaFLOといった先端技術のデモンストレーションが紹介された。


下り最大1.8Mbps対応チップ「MSM6275」によるHSDPAデモ

クアルコム本社

クアルコム本社
 日本国内では、NTTドコモやボーダフォンが導入を予定し、ソフトバンクやイー・アクセスなど新規参入を計画している事業者も実験している「HSDPA」は、理論値で下り最大14.4Mbpsという通信速度を実現できるとされている。

 3Gの規格を定める3GPPでは、HSDPAについては、12種類のカテゴリーを設けている。14.4Mbpsという通信速度を実現できるのは、「カテゴリー12」という仕様で、このほかにも下り最大1.8Mbpsの「カテゴリー3」「カテゴリー4」や、下り最大7.2Mbpsの「カテゴリー7」「カテゴリー8」が存在する。

 クアルコムでは、1つのチップセットで最大7.2Mbps、あるいは最大1.8Mbpsをサポートするという形で製品を投入していくとしている。今回披露されたデモンストレーションは、下り最大1.8Mbps対応のチップセット「MSM6275」を内蔵した試験端末によるもの。インターネット上にある動画ストリーミングや、FTP経由でのファイルダウンロードが行なわれた。

 プレゼンテーション会場の向かいにあるビル屋上に、HSDPAの基地局およびアンテナが敷設されており、デモンストレーションではそこからの電波を受信する形で行なわれた。動画ストリーミングはスムーズに行なわれ、5MBのファイルをFTP経由でダウンロードした際には、44.7秒で転送が完了していた。


試験端末でデモ ストリーミング再生
試験端末でデモ
 ネット上の動画をストリーミング再生

FTP アンテナ
 こちらはFTPでファイルをダウンロード  社内にアンテナが設置されている

携帯向け放送「MediaFLO」

ロブ・チャンドック氏

 MediaFLOの説明を行なったエンジニアリング担当バイスプレジテントのロブ・チャンドック氏
 米クアルコムは、携帯電話向けの新たなサービスとして、さまざまな動画コンテンツを一方通行で配信する「MediaFLO」の開発を進めている。「MediaFLO」の“FLO”は、“Forward Link Only”の略称で、通常の携帯電話と異なり、あくまで携帯電話はデータを受信するだけの仕組みとなっている。

 同社では、昨年、米国内の700MHz帯をオークションで落札。今回、MediaFLOの説明を行なった同社エンジニアリング担当バイスプレジテントのロブ・チャンドック氏は、「できれば今年10月にもサービスインしたい」と意気込みを語った。また同氏は、MediaFLOで扱える動画コンテンツの仕様を説明。それによれば、米国内では6MHz幅という帯域で、6Mbps以上のスループットを実現できるとのことで、リアルタイムストリーミングで20チャンネルを用意し、QVGAサイズで30fpsという動画を提供できるとした。

 同氏は、チャンネルの切り替え時間が平均1.5秒であることも「MediaFLO」のポイントとアピール。また、既存のバッテリー技術でも4時間以上の視聴が可能としており、処理能力が限られた携帯電話に適した放送技術であるとした。


試験端末

 MediaFLO対応の試験端末。右側は市販品をベースにしたもの
 また同社から提供される予定で、ユーザーインターフェイスのカスタマイズが可能な技術「uiOne」を利用すれば、待受画面上に「MediaFLO」で視聴できる番組を表示させられるという。

 ビジネスモデルとしては、同社の子会社であるMediaFLO USAが携帯電話事業者に対してホールセールする形になる。MediaFLO USA自体がサービス提供者になるのではなく、番組制作側からコンテンツが提供され、それを各携帯事業者が独自サービスとしてエンドユーザーに配信することになる。日本と異なり、放送事業者と番組制作者が明確に分離されている米国市場だからこそ可能な仕組みと言えそうだ。

 プレゼン中には、MediaFLOがもたらす放送サービスに対して、携帯電話で見たいと思うユーザーがいるかどうか疑問視する声も挙がったが、チャンドック氏は、「テレビや映画に続く、第3のスクリーンを目指す。置き換わるものではない」と説明し、あくまでも携帯で楽しみたいユーザーに向けたサービスであるとした。


黒い筐体の試験機 番組表
 クアルコムが制作したという黒い筐体の試験機は、画面を横向きにしてフルスクリーン再生できる  番組表は携帯電話のネットワーク経由で取得

再生 スループット
 再生したところ  6MHz幅で6Mbpsというスループットを実現できるという

QVGAサイズで30fps 各都市ごとに内容の異なる放送
 QVGAサイズで30fpsという動画が放送される  サービスエリア内に3都市あった場合、各都市ごとに内容の異なる放送も可能

構成イメージ uiOne
 MediaFLOの構成イメージ  uiOneを使って、待受画面に番組表を表示させることも

ハイエンド向けチップは6月中にサンプル出荷へ

マーク・フランケル氏

 チップセットの説明を行なったCDMA部門・製品管理担当のバイスプレジデントであるマーク・フランケル氏
 CDMA方式で数多くの技術・特許を保有するクアルコムでは、au端末などに搭載されるベースバンドチップセットを提供している。同社のチップセットは、大きく分けて「value」「multimedia」「enhanced」「convergence」の4ラインになる。機能面では、「value」が最もローエンド向けとなり、カメラの撮影機能は搭載されず、Sub-QCIFサイズの動画を閲覧できる機能などが利用できる。最も高機能な「convergence」では、400~600万画素クラスのカメラに対応し、VGAサイズのディスプレイ表示や、MP3/AAC+/WMA/Real Audioの再生が可能だ。また、1チップ製品ながら、CPUコアは2つ搭載されるという。

 各プラットフォームには、それぞれCDMA2000やW-CDMAに対応した製品が用意されるが、ロードマップを説明した同社CDMA部門で製品管理担当のバイスプレジデントであるマーク・フランケル氏は、「(最もハイエンドな)convergenceでは、サンプル出荷が6月中に始まる。携帯電話の流れとして、音声通話だけ使うユーザーは徐々にデータ通信も使うようになるなど、高機能な製品へ徐々に移行していく。データ通信が利用され、通信速度も向上すると、キャリアにとってはARPUの向上が見込める」と述べた。

 同氏が明らかにしたロードマップの資料では、CDMA2000 1xEV-DO Rev.A対応の「MSM7500」が今年第2四半期にサンプル出荷が開始とされており、同製品は6月中にもサンプル出荷開始となる見込みだ。


チップセット ロードマップ
 同社のチップセットは、4つのプラットフォームで構成される  最もハイエンドなMSM7200は、6月中にサンプル出荷開始

携帯と家電を結びつけたDRM

DRM

 家電と携帯電話の連携を実現するというDRM技術
 同社では、フィリップスと協力して、家電と携帯電話を連携させるDRM(Digital Rights Management)技術も開発中だ。デモンストレーションでは、携帯電話で購入した音楽や映像コンテンツを、家庭内のデジタル家電で再生できるというイメージを紹介。家電だけではなく、パソコンとの連携も視野に入れているとのことだが、ユーザー自身と各機器を紐付ける仕組みなどは明らかにされておらず、詳細な仕様は固まっていない段階と言えそうだ。


権利取得 再生
 携帯電話で映像コンテンツの権利を取得  実際に再生しているところ


URL
  BREW 2005 Conference(英文)
  http://www.brew2005.com/
  クアルコム(英文)
  http://www.qualcomm.com/

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米クアルコム、HSDPAやBREWなどを紹介


(関口 聖)
2005/06/02 15:10

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