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【FPD International 2004】
各社ブースに見る携帯向けディスプレイの最新テクノロジー
10月20日~22日、パシフィコ横浜でフラットパネル・ディスプレイの総合展示会「FPD International 2004」が開催されている。最近の流行を反映し、大画面テレビ向けの数十インチ級の大型画面が多く展示されているが、一方でケータイ向けの2インチ級の画面の展示も多い。
業界関係者向けの展示会で、実際にコンシューマが触れる製品ではなく、それに使われる部品が主に展示されているが、逆にまだ商用製品には使われていない、開発されたばかりの最新技術を使った部品も展示されている。実際に商品に採用されコンシューマの手に届くかわからないものばかりだが、今後のディスプレイ動向を見る上で興味深い展示をいくつかピックアップして紹介する。
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メイン・サブ2つの画面のための技術
2つディスプレイがテープ状のケーブルでつながっている
現在のケータイで主流の折りたたみ型デザインでは、2~2.4インチのメインディスプレイを内向きに搭載し、それとは別に1インチ程度のサブディスプレイを外向きに搭載するものが多い。こうした2つの画面をケータイにより実装しやすくする技術も展示されている。
日立ディスプレイズはメイン液晶とサブ液晶が統合されたモジュールの展示を行なっている。このモジュールは、2枚の液晶がケーブルつながっていて、ケーブルを折り曲げることでケータイのように画面を裏表逆方向に向けることが可能になる。
展示ではカラーバー表示だけだったので、画面の精細さなどはわからなかった
オムロンは1枚の液晶を裏表から見るための部品として「リバーシブルライト」という製品を参考出品している。これは簡単に言うと、透明でフロントライトとしても使えるバックライトパネルだ。半透過型液晶パネルの裏側に搭載することで、表側から見るときはバックライトとなるが、パネル自体は透明なので、裏側から見るときはフロントライトとなる。つまり液晶は裏表の両面から見ることができる。裏表で表示されるものは左右逆転してしまうが、たとえばケータイの場合は裏表の画面を同時に見ることがないので、閉じたときに画像を反転させる、などで対処できる。
三菱電機は1枚の液晶の裏表で、2つの別々の画面を表示させる「リバーシブルLCD」を参考出品している。これは1枚の液晶を、オムロンが展示していたような透明なライトパネル2枚でサンドイッチさせるという構造をしている。たとえば表側に映像を出すときは、液晶にその絵を表示させ、裏側にあるバックライトを点灯させる。表側にあるバックライトは透明なので、普通の透過型液晶と同じように画面は表示される。裏側から映像を見たいときは、逆に裏側のバックライトを消し、表側にあるバックライトを点灯させる。このままでは裏表に別々の画面を表示させられないが、「表に表示させる絵を液晶に描写させ、裏側のバックライトを点灯させる」「裏に表示させる絵を液晶に描写させ、表側のバックライトを点灯させる」という2種類のパターンを秒間120回という速度で交互に行なうことで、人間の眼には擬似的に裏表でまったく別の画面が表示させれているように見えるという仕組みだ。
この仕組みの利点は、液晶が1枚で済むため、コストを抑えられたり、部品が減るのでケータイをより薄く軽く作れることだという。裏表同時に別の画面を表示させる場合は、バックライトは半分以下の時間しか点灯していないので、表示が暗くなってしまうが、実際のケータイでは裏表のどちらかの液晶しか見ないので、秒間120回の書き換えをせず、片側の画面だけを従来の透過型液晶と同じように、表示させることも可能だという。
リバーシブルLCD。後ろの鏡に映った裏面の画像が表面の画像と異なっている
リバーシブルLCDの仕組み
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低消費電力のための新技術
三洋電機は「QT-White有機ELディスプレイ」の展示を行なっている。これは有機ELの表示画素に、従来のRGBの3色に加えて白(W)を追加するというもの。これまでの有機ELで白色を表示する場合、RGBの3色を同じ強さで表示させて白色を作っていたが、それらRGBの画素自体は白色光の有機ELにそれぞれの色のカラーフィルタをかぶせ、減光させながら得ていた。しかしQT-White有機ELでは、カラーフィルタを通らない白い画素を追加している。この技術により、白の面が多いメール画面などでは従来品の50%以下の消費電力に抑えられるという。
このQT-White技術を採用したモジュールは従来と同じプロセス数で作成可能という。会場では、このQT-White技術を採用した有機ELモジュールが、まったく同じ形状の従来型のモジュールと並んで展示されていた。筆者の印象では、2つのモジュールの表示は、言われてみても違いがわからないレベルだった。
左がQT-White技術を使った有機ELディスプレイ。右は従来技術による同等品
従来品との商品電力の違い。白い部分の多い画面ほど、差が大きくなる
解像度は208×176。具体的なターゲットデバイスは想定されていないが、腕時計くらいの小型機器向けの大きさ
三洋エプソンイメージングデバイスはさまざまな機器向けの小型ディスプレイの展示を行なっている。その中で「超低消費電力 低温ポリシリコンTFT」を参考出品していた。これは1.1インチの反射型液晶。通常の反射型液晶では数mWの消費電力があるのに対し、このモジュールは10μW(0.01mW=0.00001W)という低消費電力を実現している。表示内容を記憶保持する機能が持たせられ、表示し続けるだけでは電力はほとんど消費しないという。ただしこの消費電力にはフロントライトなどは含まれていない。また、毎日充電し、通信やバックライトで大量の電力を消費するケータイにおいては、ここまで電力消費が小さくある必要はない。この液晶モジュールは腕時計など、常時表示させつつも頻繁に充電しないデバイス向けだという。ただし腕時計に使うにしても、この消費電力は大きいとか。
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電子ペーパーも出展
E INKのパネルを搭載したソニーの「LIBRIe」もブースに参考展示されている
ソニーの電子書籍リーダー端末「LIBRIe」にも搭載された電子ペーパー「E INK 電子ペーパー」も出展している。E INK 電子ペーパーは1つ1つの画素が液体を満たした球になっていて、その中に封入された白と黒の顔料の位置を電界によって変えて表示をコントロールする。見え方は紙とほとんど同じで、発光はしない。表示を変えるときにしか電力が消費されず、ただ表示しているだけではいっさい電力が必要ないのが特徴。
展示ブース内では、パネルに機器をつなげているときだけ表示が変わり、機器をはずすと画面変化が停止するサンプルが展示されていた。このほかにも、シチズンが製作した時計やケータイ向け解像度の試作パネルや、E INK自身が作った高速書き換え対応の試作パネルなども展示されていた。中には2.4インチのQVGAというケータイのディスプレイを意識した試作パネルもあったが、E INK電子ペーパーはモノクロ表示のみで、画像の書き換えもそれほど速くないため、ケータイのディスプレイとしてはまだ使えないという。今後カラー化したパネルも開発される予定。
ブース内ではさまざまな形態のパネルが展示中。一見すると表示が印刷物に見えるため、モックアップ展示のようだが、すべて実働するパネル
E INK 電子ペーパーの仕組み。画素内のインクの位置を動かし、表側から見える色を変える仕組み
サンプルのパネル。横のケーブルに機器がつながっているあいだだけ、表示が変わる
パネルは薄く、一見すると下敷きにしか見えない。表示はこの角度からでもしっかり見える。液晶のように色が反転して見えているわけではない
シチズンが参考展示したケータイのサブディスプレイ向けの試作パネル
こちらはケータイのメインディスプレイを意識した2.5インチQVGAパネル。E INKによる試作品
E INK同様の電子ペーパーとしては、ブリヂストンが「QR-LPD」を展示していた。こちらの画素は球ではなく、しきいで区切られた小さなセルになっていて、その中に封入された黒と白の「電子粉流体」の位置を電界で動かすことで表示をコントロールする。E INK同様、表示を変えるときにしか電力は消費されない仕組みだ。QR-LPDでは気体中で粉を動かすため、流体を使うE INKよりも描写が速く、また表示の保持性能も高いという。ただしその反面、粉が混ざることで表示品質に劣る部分もあるという。
展示はさまざまな解像度のパネルで行なわれていたが、筆者の印象だと、E INK同様、モックアップと間違えかねない、紙のようなはっきりとした見え方だった。また、展示の中には非接触ICカードのパソコン用リーダ・ライタを使ったカード型パネルの駆動も行なわれていた。これは、電池を搭載しないカード型パネルを、リーダ・ライタの上に置くと表示が変わり、離すと表示の変化が止まるというもの。モジュール自体が小さくて扱いやすく、消費電力が小さいことをアピールしていた。
QR-LPDのさまざまなパネルの展示
こちらはVGA解像度のパネル
カードにQR-LPDパネルを搭載したデモ展示
非接触カードのリーダライタにカードを置くと、カード上のパネルの表示が切り替わる
カードには電源が搭載されていないが、非接触ICカードのリーダ・ライタから電源を受け取り、表示を書き換えられる
QR-LPDの原理。E INK同様、黒と白の顔料もしくは粉末に別々の電荷を帯電させ、コントロールする
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そのほかさまざまな技術を使ったディスプレイ
そのほかにも、細かい部品ながらケータイに関係する展示がいくつかあった。
NECエレクトロニクスは、ケータイのディスプレイモジュールと主基盤のあいだのデータ用配線を6本に減らすシリアル・インターフェイス「Mobile CMADS」を展示している。通常、液晶のドライバICと主基盤の間は20本以上の配線が必要で、テープ状のケーブルや細い線をたくさん使用する必要があった。Mobile CMADSではその配線数を大幅に減らすことで、2軸回転液晶などより自由度の高いデザインのケータイに対応させられるという。
Mobile CMADSのデモ展示。ちょうどヒンジに当たる部分の配線を減らすことができる
Mobile CMADSでは液晶側にコントローラIC、主基盤側にブリッジICを配し、その間の配線を減らす
東芝松下ディスプレイテクノロジーは、「視野角制御LCD」を参考出品した。これは斜め横から見たときに画面表示を見えなくするというもの。市販の盗み見を防ぐ貼り付けるフィルターと同じ役目をするものだが、こちらは電気的に機能のON・OFFを切り替えられるのが特徴。
通常状態で画面を斜めから見た状態
視野角制御をONにして斜めから見た状態。この状態でも真正面からは画面が見えている
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URL
FPD International 2004
http://expo.nikkeibp.co.jp/fpd/
(白根 雅彦)
2004/10/21 11:33
ケータイ Watchホームページ
ケータイWatch編集部
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