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【mobidec 2004】
サービス事業者が明らかにしたiモード FeliCaの現状
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26日~27日にかけて開催された「mobidec 2004」において、NTTドコモの「iモード FeliCa」に参加している企業関係者が出席したパネルディスカッション「FeliCa搭載ケータイによって拡大するビジネスチャンス」が行なわれた。
出席者はフェリカネットワークス プラットフォーム部 統括部長の平児玉 功氏、第一興商 eビジネス事業部の石本 裕之氏、ビットワレット 執行役員 企画部 統括部長の宮沢 和正氏、am/pmジャパン 取締役(戦略部門担当)の吉本 清志氏で、モデレーターはケイ・ラボラトリー 代表取締役社長の真田 哲弥氏が務めた。
■ ユーザーとの繋がりを強化できるiモード FeliCa
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左から第一興商 eビジネス事業部の石本 裕之氏、ビットワレット 執行役員 企画部 統括部長の宮沢 和正氏、am/pmジャパン 取締役(戦略部門担当)の吉本 清志氏
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ディスカッションは、各社の展開する事業や、iモード FeliCa向けサービスの紹介からスタート。フェリカネットワークスはエンドユーザーに対するサービス事業者ではなく、FeliCaチップの開発・研究や、iモード FeliCaに参入する企業へのプラットフォーム提供などを行なっている。第一興商はカラオケ店舗において会員証代わりにiモード FeliCa端末を使えるようにして、ネットワークを活かしたカラオケランキングや歌唱検定といったサービスを提供している。
ビットワレットは電子マネーのEdyを提供しており、従来のカード型には無かった新たな機能を用意している。またam/pmは、店頭での決済にEdyが利用できる環境を整えるほか、会員証としてiモード FeliCa端末を提供することで、育成ゲームなどをユーザーに提供している。
こうした各社の動きは、いったいどこに狙いを定めているのか。カード型のEdyに一早く対応したam/pm吉本氏は「基本的にはカードとiモード FeliCaは同じ使い勝手。しかし、カードで扱えるアプリケーションはEdyだけであり、常に持ってもらえるかどうかわからない。また、チャージの手間も課題。列ができているレジに並んでまでチャージするかどうか、となればチャージしないだろう。対して携帯電話と1つになれば、常に手元にあり、ネットワーク経由でチャージもできるというように障壁がなくなる」と述べ、iモード FeliCaの登場は電子マネーにとって利便性向上に繋がっていると指摘。
同氏は、そういった利便性向上や会員向けコンテンツの配信が集客力の向上に繋がるというメリットを挙げたほか、「現金ではどの商品が売れ筋なのかは判明しても、どういった消費者が購入しているか、性別や年齢層といった程度までしか判別できない。これに対して会員証と1つになったiモード FeliCaであれば、より詳細なユーザー動向を把握できるようになり、マーケティングに活かせる」とした。
■ サービス開始からこれまでの状況
iモード FeliCa対応の第1弾として「P506iC」が登場したのは7月10日。それから1カ月半ほど経過したことになるが、各社のサービスはどのような状況となっているのか。
第一興商石本氏は「状況としてはまだまだ。実際にスタートして、やっと店舗に設置する専用端末の台数も3,000を越えた。店舗数は、直営・子会社あわせて全200店舗あるが、そのうち50弱に展開している。また、ユーザーには(iモード FeliCaとはどういうサービスか)理解されてもらっていないのではないだろうか。ドコモさんのテレビCM効果で“おサイフケータイ”という言葉の認知度は高まっているが、当社の店舗に来店するユーザーは、ビックエコーの割引サービスくらいにしか捉えられていない。(今後のiモード FeliCaは)急速には広がらないだろうが、我々としては地道に対応店舗を増やしていく」と述べた。
ビットワレット宮沢氏は、iモード FeliCa対応端末に最初からプリセットされている「Edy」の現状について「当初立てた目標は(iモード FeliCaユーザーの)3割以上に使ってもらうことだった。今のところ、20%を越えて25%に近づきつつある」とした上で「(約25%のユーザーが利用しているという状況が)多いと言えるのかどうかは判断できない」とした。
これを受けてフェリカネットワークス平児玉氏は「私見だが、30%はかなり高い数値と言えるかもしれない。ただし、リアルとサイバーを結びつけるのがおサイフケータイ。8割くらいの人が使ってもらえるといいと願っている」と語った。
■ SuicaとEdyの関係は「良好」
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左はモデレーターを務めたケイ・ラボラトリー 代表取締役社長の真田 哲弥氏、右はフェリカネットワークス プラットフォーム部 統括部長の平児玉 功氏
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FeliCaを利用するサービスとしては、JR東日本の「Suica」が利用枚数も900万枚を突破する勢いであり、最も認知されていると言えるだろう。携帯電話向けにも「モバイルSuica」というサービスを提供することが明らかにされているが、現状のSuicaは、単に乗車券代わりに利用できるだけではなく、駅近辺の売店では電子マネーとしても利用できる。
モデレーターの真田氏から「SuicaとEdyは敵対関係になるのか?」と問いかけられた宮沢氏は、「一部メディアでは対決すると書かれているが、実はJR東日本さんとは仲が良く、意見交換も行なっている。そもそも電子マネーという市場自体がまだ小さいものであり、互いに協力していくほうが重要だ。また市場内に複数のブランドが存在したほうが、競争が発生し、サービス内容などが進化していくだろう。携帯電話には両方搭載できるようになるだろうが、個人的には使える場所、テリトリーが分かれるだろう」との見解を示した。
特に場所によって使い分けられるとの意見について同氏は「Edyは、オフラインでも利用できる。Edyモジュールと呼んでいるブラックボックスを用意しており、それを店頭のPOSレジに入れている。店頭でEdyが利用され、ある程度決済実績が蓄積されてから1日、あるいは2日に一度というようにサーバーへ情報を送信している。これにより自動販売機やタクシーのような常時接続環境が実現しにくいポイントに対してもEdyは利用できる」とEdyの特徴を説明。
一方、Suicaの電子マネーについては「詳しくはJR東日本に聞いて欲しい」と前置きした上で、「そもそも定期券、乗車券としての仕組み。もし定期券のSuicaを紛失して、すぐ窓口に届けられると、そこから全ての改札、リーダーライターに“このSuicaは使用できない”とリストを通知する。これにより、定期券をスムーズに再発行できるようにしており、常にリーダーライターはオンラインになっていなければならない」と語った。
■ 次のFeliCaはどうなる?
真田氏から「次世代のFeliCaチップはどうなるのか?」と質問されたフェリカネットワークス平児玉氏は「iモード FeliCaは7月にスタートしたばかりなんですが」と苦笑しながらも、個人的な考えを明らかにした。
同氏が描いた将来像は「連携していくことが重要。1台の携帯電話の中で、複数のアプリが連携できるようになれば良いと思う。また携帯電話にリーダーライター機能を搭載して、携帯電話間でデータをやり取りできるという姿もある」(平児玉氏)というもの。近日中に登場するものではないが、携帯電話に搭載されるFeliCaには広範な能力を持たせる意向を示した。
最後に聴衆から「ユーザーとしては不安感があることは否めない。どう対処していくのか」との意見が寄せられると、モデレーターの真田氏から「異物に対する生理反応と言えるもの。慣れてしまえば問題にされないのではないだろうか。怖い、不安という反応がでてくるのは、ある程度仕方ないことかなと個人的には思っている。財布落としても財布メーカーを訴える人はいないだろう」との見解が示された。
■ URL
mobidec 2004
http://www.seshop.com/event/mobidec/
フェリカネットワークス
http://www.felicanetworks.co.jp/
第一興商
http://www.dkkaraoke.co.jp/
ビットワレット
http://www.bitwallet.co.jp/
am/pmジャパン
http://www.ampm.co.jp/
ケイ・ラボラトリー
http://www.klab.org/
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(関口 聖)
2004/08/27 20:59
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