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【WIRELESS JAPAN 2004】
ドコモ夏野氏、iモード FeliCaの普及に100億円投入
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NTTドコモのプロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野 剛氏
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WIRELESS JAPAN 2004の最終日となる23日、NTTドコモのプロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野 剛氏が「次世代iモード戦略」と題して講演を行なった。iモードサービス開始から5年目を迎えたドコモだが、講演はiモード FeliCaで次のフェーズへ歩を進め始めた同社の戦略を語るものとなった。
■ 夏野氏「端末の高機能化はすでに成熟している」
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機能の向上では差別化が難しくなってきた
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iモードの拡大戦略
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夏野氏はまず、7月1日より事業部が編成されたことに触れ、これまでの「MM事業本部」「iモード事業本部」を統合し、新たに「プロダクト&サービス本部」を新設、同氏がこの事業部のマルチメディアサービス部長に就いたことを明らかにした。夏野氏は、事業部の統合について新聞社が「iモードの名前が消えた」とし、批判的な記事を掲載したことについて、「日経さんはきちんと私に取材をしてから記事を書いて欲しい」と腹を立てていた。
さて、今回の講演のテーマはやはりスタートしたばかりのiモード FeliCaが主となるのだが、夏野氏は新サービスについて語る前に「大変貌するケータイ業界」と題して、音声端末からiモード FeliCaに至るまでの過程を振り返った。
1994年、携帯電話がまだリースで提供されていた時代、まだ端末は一部のユーザーしか利用できない高級品だった。そう語った夏野氏は、この時期に端末がアナログからデジタルに切り替わったことで、音声端末の普及台数が加速したのではないと説明し、端末を小売り販売にしたビジネスモデルがユーザーを呼んだとした。「よく技術が爆発を生んだと誤解されているが、技術がヒットしたんじゃない。アナログからデジタル音声になった技術と買い上げ制度のビジネスモデルで携帯電話の爆発的にヒットした」と述べ、iモード FeliCaサービス以降、同氏がしきりに繰り返す通信業界の技術偏重の思考を指摘した。
音声端末の大きな変化が一段落すると、同氏は1999年に自ら手がけたiモードサービスについて言及。「新聞などでは叩かれたが、結局2,000万台から4,000万台以上まで端末を増やせた」、「0~から4,480万人の市場を作った。昨年度は1兆円ビジネスにまで成長を遂げた」と、大きな成果が得られたことをアピールした。しかし、こうした流れも5年たてば、各キャリアともあまり差がなく当たり前のものになってしまったという。また、「今回のWIRELWSS JAPANのブースを見てもわかるように、ユーザーが使い切れないほどの多様な機能が登場している。ヘビーユーザーでも使わない機能が多くなってしまった」というのだ。
そんな中、iモード事業部が端末を手がけた900iシリーズについては、機能を満載してはいるものの、メガピクセルカメラやJavaアプリ、QVGAディスプレイなど、主だった機能を全モデル対応としたことで「一石を投じたと思う」と感想を述べた。なお、現在900iシリーズは300万台を販売しており、FOMAの販売台数が500万台超であることを考慮すれば大きな成果を得たとし、900iシリーズの発表時に同氏が語った年内500万台の目標は「楽々達成できるだろう」と語った。
ただ夏野氏は、「今後もマルチメディア化を進めていくが、端末の高機能化はすでに成熟している。デザインとかラジオ、テレビとか、ユーザーはどこの会社が1番いいのかわからなくなっている」としており、機能向上にどんなに力を入れてもドコモが「他社より1年先に進むことは難しい」とした。
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携帯電話は第3フェーズへ突入
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「一石を投じた」とする900iシリーズ
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■ ドコモ、FeliCa普及のために100億円の資金を用意
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iモード FeliCaの特長
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メリット
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そんな中、同社が他社に先駆けてファーストアドバンテージを取れると狙ったサービスがiモード FeliCaだ。「iモードのネットワークを外に持ち出せる特性を活かして、リアルビジネスとバーチャルビジネスを融合する」(夏野氏)。
これまでもドコモでは、コカ・コーラのCmodeのように、リアルと連携したサービスを展開してきた。夏野氏は「コンシューマーに一気に普及させるためには、何の設定もいらないことが必要。FeliCaはリアル連携サービスの本命だと考えている」とした。ただし、iモード FeliCaを次のフェーズの大きな変化としながらも、同氏は今までのような爆発的に端末台数を増やすような成果は得られないのではないかとも語っている。これは、国内に端末が行き渡った状況ではなかなかユーザー数の増加が見込めないためだ。
iモード FeliCaの特長について、同氏は、電子マネーの残高が確認できる点やiモード経由でチャージも行なえる点を挙げた。夏野氏によれば、これまでの非接触IC搭載カードのように「チャージするために財布を持っていくのはナンセンス」とのこと。
また、コンビニを例に挙げ、「誰にとっても140円のおにぎりが、よく来る人には120円に簡単にできる。こうしたロイヤリティプログラムが容易に行なえるのも特長」と語った。ロイヤリティプログラムは、本格的にやろうとするとコストがかかるが、iモード FeliCaによってそれは変わるという。例えば、美容院などのカードも全て携帯電話でまかなえるため、「女性のカードで一杯になった財布もすっきりする」とのこと。
iモード FeliCaは23日現在9,000店舗で利用できるという。「これがこれからの5年間の競争になる」と語った夏野氏は、ドコモがFeliCa対応のリーダー・ライターの普及を促すために100億円以上の資金を用意していることを明かした。FeliCaのリーダー・ライター搭載を店舗に設置したい企業などに、積極的に資金を投じるという。iモード FeliCaに注力するドコモだが、夏野氏は「iモードと同じようなペースで、来年度中には1,000万台まで普及させたい」と豊富を述べた。
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コンビニでFeliCa
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駅の改札で
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夏野氏が当初予想していなかったというセキュリティサービス
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さまざまなサービスでiモード FeliCaが使える
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■ 海外iモード事業は来年には1,000万人規模へ
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ステージの一番前でアピールする夏野氏
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また一方で、iモードサービスの世界展開も進行している。夏野氏が「GSMのオペレーターに大きなインパクトを与えている」と語る海外のiモードサービスは現在日本以外で300万人が利用しているという。今年中には500万人、来年には1,000万ユーザーの獲得を目標に進めているとのこと。年内にはオーストラリアでもiモードサービスがスタートする。夏野氏は世界でW-CDMA方式が共通化していけばさらにユーザー数に期待できるとした。
夏野氏の部署では、マーケティング企画やコンシューマーサービス企画のほか、位置情報サービスや料金回収代行、AV機能の推進のほか他社とのアライアンスも行なうという。最後に夏野氏は会場の業界関係者に向かって「ドコモでどこに提案したらよいかわからなかったら私のところに来て欲しい」と呼びかけていた。
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欧州を中心に展開
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ブランディングとしてルノーのF1チームのスポンサーにもなった
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■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
WIRELESS JAPAN 2004
http://www.ric.co.jp/expo/wj2004/
■ 関連記事
・ ドコモの“おサイフケータイ”がいよいよ登場
(津田 啓夢)
2004/07/23 17:48
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