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【WIRELESS JAPAN 2004】
モバイル放送 溝口氏、「モバイル放送が空白のマーケットを埋める」

 「WIRELESS JAPAN 2004」で開催された「ワイヤレス コンファレンス2004」では22日、モバイル放送 社長の溝口 哲氏が「モバイル放送時代の到来 “テレビは室内”の概念を打ち破る戦略」と題した講演を行なった。


モバイル放送が空白のマーケットを埋める

モバイル放送の溝口氏
 講演は「1つお願いがある。展示会場にあるモバイル放送のブースでは、本放送と同じ放送を流している。ぜひ体験して欲しい」という、溝口氏の「お願い」で始まった。

 モバイル放送は、放送衛星を使ったデジタル放送サービス。Sバンド(2.6GHz帯)の周波数帯を用い、パラボラアンテナのような大きな受信装置を使うことなく、全国で同じ放送を受信できる。衛星からの電波を受信できない場所には、ギャップ・フィラーと呼ばれる中継機が設置される。2004年10月中旬より商用サービスが開始される予定。

 溝口氏はモバイル放送の位置づけを、全国放送と地域放送、固定受信と移動体受信の2つの軸を設定した図を示し、「地上波は地域放送で固定受信。BS/CSは全国放送で固定受信。AM/FMラジオは移動体受信だが、地域放送。これまでは全国放送を移動体で受信できるものがなく、そこに空白となる巨大なマーケットがあった。それを埋めるのが、モバイル放送」と説明した。


モバイル放送の特徴 モバイル放送のシステム概要

モバイル放送の位置づけ 加入者計画では、3年で200万人を目標とする。「空白のマーケットがブレイクする時代がくる」

移動中が主な想定利用シーン

想定される利用シーン
 モバイル放送の利用シーンについて溝口氏は、移動中に利用できることを強調した。車での移動については「高速道路の約10%はトンネルだが、残り約90%はほとんど完璧に受信できる。ビル街はギャップフィラーを設置することで対策をする」と説明した。また実際に走行テストした映像を流し、2階建て程度の建物が密集する住宅街でも、問題なく受信できることを示した。

 電車での利用に関しては「首都圏では900万人が電車で通勤・通学している。ここに巨大なマーケットがある」と述べ、「9月末までに山手線、京浜東北線、中央線、総武線、埼京線、小田急線、田園都市線、東横線で95%の受信率を確保する。12月末までにはそのほかの11路線に対応する」と説明し、電車の中での視聴に力を入れていくことを示した。ただし「駅構内については、鉄道会社の協力が必要」と述べた。

 また新幹線や、日本上空を飛ぶ飛行機でも「南側の席ならば問題なく受信できた」と紹介し、「世界で始めて、アクチュアルな放送が飛行機で受信できた」とアピールした。一方で新幹線については「車両側に簡単な施設を導入することで見られるようになるのは実験済み」と、南側の席という制限をなくせる可能性があることを説明した。

 こうした利用シーンについて溝口社長は「わたしも毎朝、社用車に搭載された7インチの画面のついた試作機で日経CNBCを見ている」と自身も視聴していることをアピールし、「通勤時間も、家庭の居間にいるのと同じようにテレビが見られればよい。ライフスタイルが変わるくらい、モバイル放送を磨き上げていきたい」と語った。


コンテンツの方向性。災害時のメディアとしても貢献できると想定されている 映像チャンネル。プロ野球は阪神電鉄と契約し、阪神タイガースは全試合を放送するという

音声チャンネル。「月に35万曲以上が放送される」と述べ、ポータブルオーディオなどよりも便利とアピール データチャンネル。コンテンツは自動で受信し、受信したコンテンツは地下鉄など電波が届かない場所でも閲覧できる

液晶を搭載するあらゆる機器にモバイル放送を内蔵する

 溝口氏はモバイル放送の端末で利用するLSIを紹介し「現在のLSIは第2世代。第3世代のLSIは現在開発中で、来年4~5月ごろに完成する」と説明。さらに「ほぼ同時期にサービスが開始される韓国では第2世代のLSIをケータイで利用するが、日本ではもっと低消費電力の第3世代のLSIが完成してからケータイに内蔵させようと考えている」と述べた。

 放送を受信する端末は、現在のところ試作機が完成している段階。商用端末は現在、数社のメーカーで開発中で、試作機と同じポータブルテレビ型が複数の会社から登場する予定だという。溝口氏は「デジタル製品で、カラーディスプレイを搭載しているものには、できるだけ搭載していきたい」と語り、ケータイだけでなく、デジタルカメラやポータブルゲーム機、ノートパソコンやPDAへの内蔵も進めていく考えを示した。


試作端末と利用されているLSI モバイル放送が内蔵されると想定される機器

 ちなみにモバイル放送は日韓共同プロジェクトで、衛星は3分の1は韓国の企業が所有し、3分の2をモバイル放送が所有するという。日韓で左右の旋円偏波を使い分けることで、同じ周波数帯を共有する。韓国でモバイル放送と同じ仕組みの放送を行なうのは、auのグローバルパスポートのローミング先でもある携帯電話の大手事業者であるSKテレコム。このほか米国では、同じようなSバンドを使った衛星放送サービスが、音声のみで開始されていて、200万人以上の加入者がいるという。


SKテレコムと衛星共同所有の契約を交わしている 米国で提供されている衛星ラジオ放送。現在、急速に加入者を増やしているとか

 最後に溝口氏は「データ放送など、これまでにないまったく新しい放送メディアとなる。これまで空白だったマーケットを開拓していきたい」と語った。



URL
  モバイル放送
  http://www.mbco.co.jp/
  WIRELESS JAPAN 2004
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2004/


(白根 雅彦)
2004/07/22 20:28

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