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【WIRELESS JAPAN 2004】
パナソニック花村氏、携帯の過去と未来を語る

 「WIRELESS JAPAN 2004」で開催された「ワイヤレス コンファレンス2004」では21日、パナソニック モバイルコミュニケーションズ(PMC)専務取締役の花村 静雄氏が「AV技術の融合で変わるモバイルコミュニケーション」と題した講演を行なった。


1962年に始まった携帯電話事業の歴史

PMCの花村氏
 花村氏は冒頭で「当社は松下通信工業の時代から、携帯電話産業の発展の一翼を担い、牽引してきたと自負している」と語り、「当社は携帯電話の草創期から参画しているので、その取り組みの経過を紹介することで、携帯電話の大きな流れをご説明できる」とした。

 まず1962年、電信電話公社(現在のNTT)に日本で初の試作機を納入したことに始まるという。その後、1969年に現在と同じ800MHz帯の商用試作機を納入。本格的な商用サービスはそれから10年後の1979年からで「当時は自動車電話と呼ばれていて、車のトランクにオレンジトップの黒いアンテナがついているのは、ステータスであった」と説明した。その6年後には携帯電話のはしりともいえる肩提げ式の、いわゆるショルダーフォンが登場した。

 実際に手に持って試用するケータイとしては、さらに3年後の1988年、最初の携帯電話であるTZ803が登場する。それ以降、1993年にムーバPが登場してから「軽薄短小、小型化・軽量化競争に突入していった」と説明した。


携帯電話草創期の流れ。当初は片手に持てるものではなく、自動車に搭載したり、肩から提げたりするものだった TZ803からP201までの流れ。最初の片手で持って使う携帯電話のTZ803は、それでも重量は660gもあった

 花村氏はアナログからデジタルに移る音声通話主体のこの時期を「第1期」と位置づけ、iモードサービスが開始されて以降を「第2期」とする。第2期に入り「それまでの小型化・軽量化競争は様相を一変し、高機能競争の時代になり、端末サイズもじりじりと大きくなっていった」と説明。さらに花村氏は、3Gの普及する時代を第3期と位置づける。同社初のFOMAであるP2101Vについて「最初の端末はいままでの小型端末になれた人から、これがケータイか、といわれるような大きさだったが、とにかく最初は作り上げることが重要だった」と述べた上で、最新機種を紹介して「あれから3年、ようやくPDCに遜色のないものが提供できるようになった」と語った。

 3Gへの取り組みについては「1988年、最初の携帯電話のTZ803の納入が始まった頃から開発をスタートした」と説明。端末開発の歴史についても触れ「最初の試作端末は37,000cc、20kgというもの。これは基地局ではありません。それに対して直近のP900iでは124cc、124gになった。今後も小型化などで努力を続けている」と語った。

 また、最新端末のP506iCを例に挙げ「非接触IC、メモリカード対応。今後はAVC連携やメディア融合など、携帯電話の機能は多様化していて、これらがユーザーに受け入れられるか、メーカーの知恵の競争時代に突入したと思っている」とコメントした。


携帯電話の変遷。第1期の終わりには70gを切った端末重量は、高機能競争時代に入り徐々に増加し、やがて120g近くまでなっていく パナソニックの3G端末。こちらも商用サービス開始以降、小型化が進んでいる

ケータイは「パーソナルゲートウェイ」になる

 今後の携帯電話の進化について花村氏は「方式の進展」「サービスの進展」「質の進展」の3つがあると語る。

 「方式の進展」とは、通信技術の進化。アナログからデジタル、3Gと進化してきて、現在はさらにその後のBeyond 3Gの開発を開始しているという。

 「サービスの進展」とは、ケータイサービスの変化。最初は通話がメインだったがいまではメール利用が主体となり、今後は非接触ICなどで生活の一部となっていくと花村氏は予測する。

 「質の進展」とは、ケータイ機能の進化。花村氏は「ケータイは、単なる電話からメールなどを含めたコミュニケーションツールになった。今後は個人のサーバー、あるいはゲートウェイとしての機能が求められる」と語った。

 花村氏は「過去は無線通信で『あったら便利』という時代だった。現在はネットにもつながり『ないと不便』という時代」と説明し、「わたしも先日、ケータイの電池がなくなり、不便な思いをした。そのときは社会から取り残されたような疎外感を感じた」と自身の経験を披露。さらに「今後は『ないと生活できない』というようなユビキタスネットワーク社会を作っていきたい」と語った。


携帯電話の進化について パナソニックの目指す携帯電話のあり方

ユビキタス端末に求められるポイント
 ユビキタス時代の端末のポイントとしては「まずはIPによって統合された多様なネットワークに対応すること」と「多様な機器がネットワークにつながること」、「人と物、物と物など、さまざまな相互関係できること」の3つが求められると説明する。これらに向けて、同社ではさまざまな通信技術やサービスの開発に取り組んでいるという。

 一方で、ユビキタス以外の点でも花村氏は、パナソニックの携帯電話の基本コンセプトして「小型軽量で長時間使える、という基本機能」、「パナソニックの得意分野であるAV機能」、「パーソナルな機器としての使いやすさ」の3つを挙げた。


直近のネットワーク進化である「HSDPA」。W-CDMAを拡張し、通信速度の高速化などを図る 3G以降のいわゆる「Beyond 3G」。移動環境で100Mbpsの速度を実現するべく開発が進められている

サービスの広がりとして、松下電器グループの傘下であることを最大限に生かし、ネット家電との連携などを図る 家とつなぐイメージ。すでにパナソニックのデジタルビデオレコーダ「DIGA」との連携などは可能になっている

FOMAの小型化。「次機種ではPDC並のサイズを実現したい」と語る AVの進化。「世界の携帯電話メーカーの中でも、最新のAV技術を有するメーカーは少ない」と自信を示す

 これからの端末のあり方については「パーソナルサーバー・パーソナルゲートウェイ」というものを考えているという。花村氏は「いろいろな機能をオールインワンで詰め込むのは無理。周囲の機器にとってのゲートウェイになり、ほかの機器と機能を分割し、ケータイがそれらのゲートウェイとしてのポジションを持つ」と述べた。



URL
  パナソニック モバイルコミュニケーションズ
  http://panasonic.co.jp/pmc/
  WIRELESS JAPAN 2004
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2004/


(白根 雅彦)
2004/07/22 12:05

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