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【WIRELESS JAPAN 2004】
ドコモ歌野氏、ユビキタス時代の移動通信を語る
「WIRELESS JAPAN 2004」で開催された「ワイヤレス コンファレンス2004」では21日、NTTドコモ 常務取締役の歌野 孝法氏が「移動通信によるユビキタス社会の実現」と題した講演を行なった。
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2007年に全IP化されたネットワークを構築する
NTTドコモの歌野氏
歌野氏はまず冒頭でFOMAの現状を紹介したあと、この後のFOMAの拡張について説明した。まず直近の進化としては、ピーク速度が約14MbpsのHSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)を2005年度を目標に開発しているという。HSDPAにより「同じ無線機の数でも通信コストが2分の1くらいになると期待している」と、速度の向上とともに通信コストが下がることも重要であるという考えを示した。
さらにネットワークのIP化についても言及。「最初はATMベースのネットワークだったが、インターネット技術の流行に合わせ、バックボーンはIPネットワーク化するのが必然」で、「まずは第1段階として情報伝送部分をIP化し、最終的にはルーティングも含めてすべてをIP化する」という。「言葉では簡単に語れるが、実際にはATMのネットワークが現在収容している4,000万ユーザーが移行する」と、技術的な重要性も強調した。さらに2007年度以降は、3Gと次の通信技術、無線LANなど複数の通信方式をシームレスに使えたり、それら複数の通信の品質を制御したり、コストをさらに安くするような環境を実現させたいとも語った。
データ通信の高速化の変遷。縦軸が指数になっている
HSDPAの特徴。伝送効率が向上し、コストが安くなる
IP化のシナリオ。段階的にIP化を進め、最終的には全体にIP技術を導入する
2007年以降を全IP、複数通信方式などを実現するPhase2と位置づける
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ユビキタスが移動通信の事業領域になる
歌野氏は移動通信事業の今後の成長戦略について語った。既存事業である音声通話のニーズは飽和状態に達していることを説明し、その上で将来の事業領域として「非音声の通信を行なうマルチメディア化」、「海外に進出するグローバル化」、そして「人以外の動くものすべてをネットワーク化するユビキタス化」の3つがあると語った。
その上で歌野氏は、展開中のサービスを例に挙げ、その中でユビキタスの範疇に含まれるものとして、赤外線通信やQRコード、iモード FeliCaといった、人対人ではないサービスや機能を紹介した。
移動通信事業の発展方向。大きく分けて3つが将来の領域として考えられている
ドコモが展開しているサービスの事例。セキュリティについてもニーズが高いとして紹介している
こうしたユビキタス的なビジネスの方向性としては「マシンコミュニケーション」や「位置情報サービス」、「コマース、セキュリティサービス」、「ITS・テレマティックサービス」があると紹介。その上で歌野氏は「この中でもやはり、コマースの世界がいちばんビジネス的に大きくなると思っている」と語った。
ユビキタスビジネスについては、4つの方向性を紹介
ユビキタスについては、人とマシン、マシンとマシンのコミュニケーションと定義
また今後登場が予想されるユビキタス機能として、RFIDタグを紹介した。RFIDタグについて歌野氏は「RFIDタグは移動通信にとって重要な意味がある。従来は4,500万人のユーザーに番号を付けて管理していたが、タグが登場すると、何千万ではなく、場合によっては何兆という単位まで番号が必要になるとも考えられる。これをネットワークがすぐにルーティングできることが、ユビキタスのハードルの1つになるだろう」と語った。
RFIDタグの利用範囲。広くはゴミの分別にまで利用されると予測している
ドコモが六本木ヒルズ向けに開発したRFIDタグを利用したシステム
ユビキタス時代のネットワークの構成要素
続いて歌野氏は、こうしたユビキタス環境を実現するために必要な技術に話題を移した。歌野氏は、ユビキタス時代には「キャリアが提供する携帯電話サービスだけでなく、それ以外の無線LANやアドホックネットワーク、パーソナルエリアネットワークなどさまざまなネットワークが収容される。それらが簡単に、同一のインターフェイスでつながることが重要。これがIP技術をキーにして可能になるだろう」と語った。
さらに「これだけでは単なる土管だけがキャリアの仕事になってしまう。ユビキタスが登場したときに必要とされる物は、ネットワークにつながる人以外のものも含む何兆というIDの管理。それを即座に情報処理できることが、ユビキタスネットワーキングプラットフォームとして望まれている」と、ユビキタス時代の事業者のあり方に言及。「たとえば、RFIDタグで位置情報を取得し、ネットワークがその環境にあった情報を判断して提供するなど、もっと対価を払ってもらえるようなサービスを提供できることが重要」と指摘した。
一方で情報の転送量が増えることから、限られた周波数帯域をより有効に使える新しい通信方式が求められているとも説明。しかし「新しい通信方式でも情報量が増えることには追いつけない。新しい周波数帯域が必要になる」とも語り、「3Gは200MHzの周波数帯域が認められているけど、3倍くらいは必要になるだろう」と述べた。
通信方式の進化については、これまでの歴史に触れつつ「だいたい10年おきに世代が交代している」と説明。2010年代には第4世代の移動通信方式(4G)が登場するという見方を示しつつ、4Gが掲げている目標を紹介した。この中で4Gが、通信の高速化のほかにもIPv6などの次世代インターネットをサポートすることや、効率を10倍くらいに向上させること、さらに大容量のマルチメディア情報から、RFIDタグのような小さな情報までを効率的に通信できる柔軟性など、さまざまなものが求められていること説明した。
通信方式の進化について
4Gの掲げる目標
また、4Gを含めたアクセスネットワーク能力の要素について「通信速度と移動性能に加え、数の要素が加わる」と述べ、人以外のたくさんのものがネットワークにつながるようなると説明。一方で「数の要素はUbiquityとか呼ばれているが、まだまだ未知の部分でもある」という。
さらにこうした通信能力の高度化によって、データのダウンロードが高速化することに加え、「リアリティ」という面で向上するとも説明。「通信量を増やすことと、遅延を減らすことで、サービスをいいものにしていく」と語った。
4G時代のアクセスネットワークの能力について。旧世代の通信方式から4Gまでを含めた統合的なネットワークがいわゆる「Beyond 3G」
4G時代のサービスの高度化について
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URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
WIRELESS JAPAN 2004
http://www.ric.co.jp/expo/wj2004/
(白根 雅彦)
2004/07/22 12:19
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