昨日に引き続き、韓国電子展のレポートをお届けする。韓国は、ケータイの普及率も高く(日本や香港にはまだ及ばない印象を受けたが)、ケータイ関連製品を出展しているブースの人気は高かった。特に、ケータイ端末を多数出展していたSAMSUNGとLG電子のブースには、常に多くの来場者が群がっていた。カラーTV内蔵ケータイやデジカメ内蔵ケータイといった興味深いケータイも展示されていたので、そのあたりを中心に紹介していきたい。
■ カラーTV内蔵ケータイやCDMA 2000対応ケータイ
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左から、腕時計型ケータイ、デジカメ内蔵ケータイ、カラーTV内蔵ケータイのモックアップ
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SAMSUNGといえば、メモリなどの半導体やパーツからAV製品、PC、ケータイにいたるまで幅広い製品を製造している、韓国を代表する大企業である。韓国電子展でも、最大級の展示スペースを確保してさまざまな製品を展示していた。特に人気を集めていたのが、ケータイ展示コーナーである。韓国では、折り畳み式端末かフリップ式端末が人気のようで、SAMSUNGブースに限らず、会場内で展示されている端末のほとんどが折り畳み式またはフリップ式の端末であった。
最初に紹介したいのが、カラーTV内蔵ケータイである。TV内蔵ケータイといっても、テレビ電話システムではない。あくまで、テレビ放送が見られるケータイということだが、なかなか面白い発想である。確かに、最近のケータイに装備されているカラー液晶パネルなら、テレビ放送を視聴することも十分可能であろう。カラーTV内蔵ケータイは、現行方式の製品であり、すでに出荷も行なわれているようだ(会場そばのケータイ販売店のショーケースの中に置かれているのも発見した。ただし、値段などはついてなかったので、近日中に発売されるということなのかもしれない)。
TVチューナーや大きめのバッテリパックを採用しているため、最近のスリムなケータイを見慣れた目にはかなり不格好に見えてしまうが、ケータイで気軽にテレビ放送を視聴できるのは、なかなか便利そうだ。ただし、受信感度はあまり高くないようで、鉄筋コンクリートで覆われた会場内では、映像がノイズだらけでなかなかまともに映らなかった(受信感度の問題はポータブルTVの宿命ともいえるが)。
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SAMSUNGブースで展示・実演されていたカラーTV内蔵ケータイ。TV放送を受信するため、長いロッドアンテナを装備している
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テレビ番組を視聴中の様子。会場内は電波状態が悪いため、ノイズだらけで映像もモノクロのようにみえるが、電波状態がよければカラーで鮮明に表示されるとのことだ
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また、デジカメを内蔵したケータイのデモも行なわれていた。日本でも、つい先日J-フォンからデジカメ内蔵ケータイ「J-SH04」が発表されたばかりだが、SAMSUNGブースで展示されていたデジカメ内蔵ケータイもコンパクトで完成度の高そうな端末だ。デジカメ内蔵ケータイはカラーTV内蔵ケータイと一緒に女性コンパニオンが持って、来場者の画像を撮影するデモを行なっていた。
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SAMSUNGのデジカメ内蔵ケータイ。画像表示もなかなか鮮明だ
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裏面の中央上側にカメラ(CMOSセンサー)を装備している
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メニューは画像にスーパーインポーズされる形で表示されている
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その女性コンパニオンとペアになる、来場者の関心を集めていた液晶パネルを背負って手にハンディビデオカメラを持った男性がいたのだが(背中の液晶パネルには、ハンディビデオカメラの映像が映しだされていた)、その男性の腕には腕時計型ケータイが巻かれていた。液晶パネルに時間などが表示されていたので完全なモックアップというわけではなかったようだが、その腕時計型ケータイに関しては、説明やデモは一切行なわれていなかったので(そもそもコスチュームが派手なのでそちらに目がいってしまい、来場者にもあまり気づかれていなかったようだ)、実際に通話が行なえるかは不明である。腕時計型といってもやや大きめなので、現在の技術で十分実現可能であろう。実際の製品として登場する可能性も高そうだ。
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下向きなのでわかりにくいが、男性が腕に巻いている腕時計型ケータイの液晶パネルは動作していた
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こちらはその腕時計型ケータイのモックアップ。音声認識でダイアルするようだ
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■ 現行規格対応機も多数展示
SAMSUNGブースでは、今紹介した製品以外にも現行規格(CDMA IS-95B)に対応したケータイが多数展示されていた。どの製品もコンパクトでデザインも洗練されており、そのまま日本でも通用しそうだ。折り畳み式端末の最新モデルSCH-A350/SCH-A320は、折り畳んだ状態でも時間や日付、着信状況などがわかるDual液晶を装備していることが売りだ。コンセプト的には松下のP209iSとよく似ている。また、大型液晶パネルを装備したフリップ式端末のSPH-M2000は、フリップを閉じた状態でも液晶パネルの一部分が露出する構造になっているので、やはり便利そうだ。
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折り畳み式端末「SCH-A320」。閉じた状態でも、小さな液晶パネルが外側についているので、状況がわかる
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SCH-A320を開いたところ。通話時には開いて使う
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フリップ式端末「SPH-M2000」。フリップを閉じた状態でも、液晶パネルの一部分が露出している
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SPH-M2000のフリップを開いたところ。液晶パネルをタッチして操作を行なう
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■ 韓国はcdmaOneからcdma2000へ
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cdma2000対応の折り畳み式端末「SCH-X100」。cdma2000対応といっても、サイズは従来のcdmaOne対応端末とまったく変わらない
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次世代ケータイ規格であるIMT-2000では、全部で5種類の規格が勧告されているが、日本で利用できるのは、W-CDMAとcdma2000である。日本では、NTTドコモとJ-フォンがW-CDMAを、KDDI(au)がcdma2000を推進していくことになっている。韓国では、現在cdmaOne方式(IS-95A/95B)が使われているため、cdmaOneから移行しやすいcdma2000が中心になっていくようだ。
SAMSUNGブースでは、cdma2000対応端末のモックアップが展示されていただけでなく、実際に動作するモデルも展示されていた。展示されていた実機は、SCH-X100という製品で、Dual液晶を装備した折り畳み式端末である。cdma2000は、いくつかのフェーズを経て性能を向上させていくが、SCH-X100はその最初のフェーズである1x MCに対応したケータイである(詳しくは、ケータイ用語のcdma2000の項を参照のこと)。韓国では、今年末にも1x MCのサービスが開始され、最終的なゴールである3x MCのサービスは2002年に開始される予定とのことだ。
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cdma2000対応端末のモックアップ
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こちらもcdma2000対応端末のモックアップ
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■URL
・韓国電子展のホームページ(韓国語)
http://www.kes.org/
(石井英男)
2000/10/04 00:00
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