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【Beyond 3Gに関する国際会議】
ドコモ木下氏、4Gへの取り組みを披露

NTTドコモ 常務取締役 研究開発本部長の木下 耕太氏
 4G向けの新方式開発を行なっているNTTドコモ。キーノートスピーチに登壇した同社 常務取締役 研究開発本部長の木下 耕太氏は、4Gへの移行手段や同社が取り組む4G向け通信方式の概要を紹介した。

 携帯電話の成り立ちから語り始めた同氏は、同社の3GサービスであるFOMAは、ユーザー数が390万人に達したとして、2Gと比べて通信速度の向上やリッチコンテンツの拡充によってデータ通信量が増大し、総合ARPUの拡大をもたらしたと説明。FOMAの成長を支える要因として、端末サイズの小型化やバッテリー時間の延長など従来より説明されてきた点を改めて指摘した。

 データ通信量増大という流れは、今後も続くとしてニーズに対応する新方式を開発中であるとした木下氏は、2005年にもスタートするというHSDPA方式を紹介した。同社では、まず3.6Mbpsという通信速度で開始し、その後の機能拡張によって最終的には最大14Mbpsという通信速度を実現する予定という。

 「サービス提供する企業としては、拡張性とコストを念頭に置かなければならない。4G向けシステムは、現在の3Gと全く異なる新たなものを構築するか、現行方式を継承するようなものとするか、どちらかの手法を選択することになる。コストダウンという面では3Gベースのシステムが良いだろう」と述べる木下氏は、コストダウンがもたらす弊害についても言及し、「3Gベースの4Gは、3Gが過去の遺物となった時に機能や拡張性といった面で、4Gの成長や進化が抑えられるような制限が発生する可能性がある」として、現在の3G方式に新たな技術を導入していき、“スーパー3G”へ進化させた後に4Gへの移行準備をすべきとの見解を示した。

 具体的な方策として木下氏は、3GネットワークにIPを導入するという考えを示す。IPアドレスの枯渇が懸念される現行のインターネットプロトコルであるIPv4では実現不可能だが、次世代のIPv6が普及すれば実現の可能性が増す手法と言える。実現すれば、携帯電話1台1台にIPアドレスが割り当てられるスタイルとなり、インターネットを通じて世界中の携帯電話をつなげられるようになるなど、携帯電話の世界が格段に広がる。同氏は「進化の可能性は大きいが、インターネットの進化が遅ければボトルネックになるかもしれない。しかし、モバイルだけの世界でクローズドなネットワークを構築できる」と述べ、期待感を表わした。

 最後に同氏は、現在横須賀市内で実験されている同社の4G向け通信方式を紹介。下りの伝送が通信を行なう環境へ柔軟に適応できる「VSF-OFCDM(可変拡散率直交周波数・符号分割多重)」方式、上りの伝送が高い効率で高速なパケット通信が可能になる「VSCRF-CDMA(可変拡散率・チップ繰り返し符号分割多元接続)」方式で、木下氏が示した資料によれば、利用する周波数は下りが4.635GHzで、上りが4.900GHzとのこと。昨年から車載タイプの大型端末を用いて屋外での通信実験が開始されている。

 これからも新技術開発に注力するとした木下氏は、「移動通信の更なる発展に貢献したい」と意欲を示した。


FOMAへ移行したユーザーのARPUは、第2世代であるPDC(ムーバ)ユーザーよりも高い結果になっている 通信速度の向上やリッチコンテンツの拡大などで、FOMAユーザーの通信量は拡大の一途を辿る

同社では3.5Gとも言える「HSDPA方式」を2005年にも導入したい考え 3Gから4Gへの移行は、3Gに新機能を追加していく手法が望ましいという

将来的に、3GネットワークにIP導入もあり得る 同社では、横須賀市内で4G向け通信技術の実験を重ねている


URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  「Beyond 3Gに関する国際会議」開催概要
  http://www.arib.or.jp/icb3g/japanese.html


(関口 聖)
2004/05/26 16:04

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