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【CEATEC JAPAN 2003】
KDDI小野寺社長、「カギはコラボレーション」

KDDI 代表取締役 社長 小野寺正氏
 10月7日より5日間に渡って、幕張メッセで行なわれている通信・情報・映像分野に関するデジタル機器の展示会「CEATEC JAPAN 20003」。会期も終盤を迎えた10日には、KDDI代表取締役社長の小野寺正氏が「KDDIのユビキタス戦略」と題した講演を行なった。

 講演は、10月8日に発表した集合住宅向けのFTTHサービス「光プラス」を中心としたブロードバンド事業と、携帯電話サービス「au」の2つの話題を中心に展開された。本誌では後者を中心にお伝えする。


「3Gに移行せざるを得ない時期に来ている」

順調に加入者を伸ばすCDMA2000 1x
 携帯電話事業について話し始めた小野寺氏はまず、「モバイルインターネットはいやがおうにも3Gに移行せざるを得ない時期に来ている」とコメント。「日本でモバイルインターネットが大きく伸びた理由は、ダイヤルアップ時代はパソコンがないとインターネットができず、設備投資が大きかったが、ケータイは手ごろな価格だったことが大きい。もともとモバイルはパーソナルな世界で、このあたりの要因がうまく結びついたのではないか」と分析。さらに、「モバイルインターネットは日本の文化を変えつつある。迷惑メールなど裏の問題も解決しなければいけないが、今後は、モバイルもブロードバンドに移行していくのではないか」と述べた。

 次いで事業戦略について話題を移すと、「CDMA2000 1xを始める前から、マーケティングを重視している。顧客はネットワークのシステムに期待しているのではない。端末とサービスだ」とこれまでの講演などで述べた見解を繰り返し、「第3世代携帯電話の条件」として、「最低限2Gで実現できていることが可能で、さらにダウンロードスピード、安い通信料金、高い表現能力のバランスが重要。3Gのユーザーはほぼ100%、2Gのユーザーだった人だからだ」と語った。


「カギはコラボレーション」

着うたがパケット消費を促しているという
 この後、小野寺氏は話題をサービスに移した。「着うた」は8月で2,000万ダウンロードを記録するなど好調だが、「成功した理由はコラボレーションだと思っている。KDDIだけでやったのではなく、レコード会社からやりたいとの申し出があった。着メロではレコード会社にはお金が入らなかったが、着うたではきちんとレコード会社に収入がある。我々も、ユーザー、コンテンツホルダーがやりやすいように課金方法をいろいろ用意している。このような協力があったからこそ、Win-Winの関係をうまく作れた」と分析した。

 ここで出た「コラボレーション」というキーワードは、講演中何度も繰り返された。KDDIだけで事業展開をするのではなく、さまざまな業種と連携をとってサービスに広がりを持たせようとする戦略だ。

 一方、BREWについては、「そろそろ企業向けのアプリケーションを開発しないとだめだ。一般の端末が、なぜ高いものでも3万円くらいで販売できるかといったら、50万台、100万台と生産するからだ。企業向けにカスタマイズして生産してもせいぜい数万台だろう。それをやったときのコストは計り知れない。ならばBREWでカスタマイズして企業で使ってもらおうというのがそもそものコンセプトだ」と説明し、法人向けのソリューションに注力することを明らかにした。


メーカーの個性を尊重した端末作り

11月初旬発売予定の「INFOBAR」
 発表になったばかりの冬モデルは、デザイン重視のモデルや歩行者向けのナビゲーションサービス「EZナビウォーク」、200万画素カメラ搭載端末など個性豊かなラインナップが揃ったが、ここでもキーになるのは「コラボレーション」だという。

 小野寺氏は、「メーカーの得意な部分をそれぞれ表現してもらっている。たとえばA5404Sは、ソニーのメモリースティック戦略の一環をなすもので、メモリースティックDuoを使って、家庭で録画した映像を閲覧できる。一方で、全く逆の発想をしたのが東芝だろう。ケータイをビデオカメラの代わりに使って、テレビで観てください、というコンセプトだ。もちろん事業者として、スペックを統一したいのは本音だが、メーカーさん個々の考えを尊重して、コラボレーションすることで、バラエティのあるラインナップが出せる」とアピールした。

 デザインを重視したINFOBARについても小野寺氏は自信を見せる。「大きなシェアを持った通信会社が一方的にサービスを提供し、黒電話を使わせる、という時代は終わった。コンシューマー製品になればなるほどデザインが重要になってきている」と企画の意図について語った。

 また、裏話として、「コンセプト自体は2年前にあったが、これだけ時間がかかってしまったことが今後の課題。INFOBARには非常に期待しており、今後もどんどん展開していく予定だ。従来の販売店以外のところからも販売したいという申し出がある」などとも述べている。


無線LANと1xEV-DOの融合も

 このほか、CDMA2000 1xEV-DOについては、「まもなく発表する。CDMA2000 1xと1xEV-DOに対応させた端末にするため、最初から全国対応でいく」と語った。また「メールと音声だけでいい方にはあまりメリットがないため」(小野寺氏)、当面はCDMA2000 1xと1xEV-DOを併用していく考えだという。

 小野寺氏によれば、複数のインフラに対応する「オーバーレイ」の概念が、CDMA2000の進化にあたって重要なポイントだという。まず一義的には、CDMA2000 1xと1xEV-DOの併用によるスムーズな移行のことを指すが、さらにその先には、無線LANとの融合も視野に入れているようだ。小野寺氏は「当然無線LANとのオーバーレイは顧客が望んでいることだが、携帯電話の形でそれをやる必要があるかどうかは我々も検討しなければならない。1xEV-DOと無線LANのデュアルカードを出すのが妥当だろうか」と語った。


旧世代と新世代のネットワークの双方を活かす「オーバーレイ」がauの戦略の基本だ 通信は、人が関わらないモノ対モノの領域へと進化する

「背広に入っているモノはすべて携帯に入る」

 最後に講演テーマであるユビキタスについての話題では、小野寺氏は「モノとモノの通信になっていくのではないか。モノとモノの通信の時代になるとIPv6が不可欠だろう」などと一般的な見解を述べた。

 では、モノとモノの通信が実現するユビキタス時代においては、携帯電話の役割はどのようになるのだろうか。小野寺氏によれば、「個人における情報のやりとりは携帯がすべて行なうことになる。パーソナルゲートウェイになるだろう」と語った。さらに小野寺氏は付け加えて、「みなさんの背広に入っているモノはすべて携帯に入る。定期、財布、鍵……もちろんハンカチは入りませんが」とユーモアを交えて解説した。

 最後に同氏は「固定・携帯両方持っている強みを出していきたい」「ユビキタス社会の構築はKDDI単体でできることではない。コラボレーションでやっていきたい」と抱負を語り、講演を締めくくった。



URL
  CEATEC JAPAN 2003
  http://www.ceatec.com/
  KDDI
  http://www.kddi.com/

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(伊藤 大地)
2003/10/10 15:28

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