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【mobidec 2003】
KDDI高橋氏、BREWやEV-DOなど今後の動向を語る

KDDI 執行役員 ソリューション事業本部 コンテンツ本部長 兼コンテンツ企画部長の高橋 誠氏
 8月28日、29日の2日間、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)および翔泳社主催による携帯電話関連のコンテンツ開発者向けイベント「mobidec 2003」が開催されている。29日最初の講演で、KDDIの執行役員 ソリューション事業本部 コンテンツ本部長 兼コンテンツ企画部長の高橋 誠氏が、auの今後の方向性などを語る「KDDI コンテンツ戦略 2003 -夏-」と題した講演を行なった。

 なお講演内容の大筋は、「WIRELESS JAPAN 2003」で行なわれた同氏のカンファレンスを繰り返すものとなったが、着うたやBREW、1xEV-DOなど話題は多岐に渡った。


8月に純増数でトップになれば本物

 高橋氏はまず、auの契約者数が順調に推移していることを報告。「まだまだトータルの契約者数はドコモ及ばない」と前置きした上で、純増数が4月~6月の3カ月連続でトップとなったことに言及。7月に純増数で再びドコモに首位の座を奪われてしまったが、同氏は、「もしも、8月の段階で純増数でもう一度ドコモを抜き返せば、これは本物ではないか」としており、505iシリーズが全モデル出揃った8月に首位を取ることの意味の大きさについて語った。

 auは今年の3月でPDC方式のサービスを終了し、他キャリアよりも早く3Gへの移行を行なっている。高橋氏は7月末時点で、CDMA2000 1x端末が9,156,400契約を獲得し、ドコモのFOMA、J-フォンのVGSを抑えて3G端末で約92%のシェアを得ていることを示し、「全てが1xの端末、2Gの話をする必要はない」と同社の3Gサービスに対する自信をのぞかせた。

 また、3Gを活かしたサービスとして、auのラインナップ全てがムービー、および着うた対応であることも説明。対応端末が値崩れしにくい点にも触れて、「若干、端末価格が上がってしまうが、結果的にユーザーに手に届くサービスを提供している」とした。

 高橋氏は、ARPUの推移についても言及した。CDMA2000 1x端末がサービス開始直後、3,470円と高いデータARPUを獲得し、その後、2,290円程度に落ち着いてきているとした上で、トータルARPUよりもまだまだ高いとの認識を示した。

 auでは、パケット通信料の割引サービス「パケット割」を導入しているが、こうした割引サービスによってデータ収入が減るのではなく、むしろトラフィックが増える傾向があるという。高橋氏は、「iモードの1/3程度の料金でも、その分トラフィックは2、3倍と上がっている。トラフィックが増えるということは、コンテンツへのアクセスが増えるということ」とし、コンテンツプロバイダ(CP)への情報料の支払いが増加する点をアピールした。

 高橋氏は、EZwebの有料サイトの動向として2003年3月に39億9,700万円だったものが、6月には43億6,800万円と3カ月で9%程度拡大した点を挙げた。28日のドコモの夏野氏の講演では、iモードの有料サイト売上げを102億円としたことから、高橋氏は「ユーザー数で3倍の差があることを考えればなかなか良い数字ではないか」と語る。また、「データ通信料を下げることでトラフィックが上がり、コンテンツへのアプローチが増えたことで、結果的にCPに情報料が落ちるという良い循環が生まれている」と割引サービスが成功していることを強調した。


CDMA2000 1xの契約者数推移 割引サービスについて

有料サイトの動向 3Gの他キャリアとの比較

着うたサービスは好調

着うたの動向
 続いて同氏は、着うたの動向についても説明した。auでは着うたサービスを「CDMA2000 1xでしかできないサービス」と位置付けてサービスを提供。2003年7月末現在で10,000曲がラインナップされ、単月のダウンロード数が約500万曲、8月の中旬には、着うたの総配信数が2,000万曲を突破したことが報告された。

 高橋氏は着うたサービスを「PDCでは絶対に実現できないサービスだ」としており、その理由としてダウンロード速度とデータ通信料の2点を挙げ、加えて、auでは月額課金制のほかペイパービュー方式の2つの料金回収方法を採用している点を述べた。音楽配信に留まらず、ゲームコンテンツでも2つの課金方式によって市場が拡大するとした。

 一方で、「着うたで着メロが駄目になるのではないかとの声もある」という。これに対し同氏は、着うた登場以降も着メロが好調をキープしており、着うたで新たな市場を作ったとの見方を示した。

 好調の着うたサービスだが、高橋氏は「レーベル会社は当初、CDのプロモーションと考えていたようだ」とした。しかし、「現在は本気だ」と述べており、利用シーンは着信や音楽の聴くなどの利用方法のほかに、目覚ましなどにも使われていると語った。

 また、ドコモが9月1日より開始予定の呼出音を音楽などに変更できるサービス「メロディコール」について同氏は、「信じられない。一体、どんな音質のものになるのか。しかも月額方式では本当に良い音楽は伝わっていかないかもしれない」とコメント。auでは、今年の秋冬に音楽に関して新たな展開を考えているとした。


着メロとの関係 着ムービーの動向

au、今後はBREWに一本化へ

回収代行で狙うターゲット

BREWの近況
 このほか、同氏は物販向けの料金回収サービスについても現状を説明した。回収代行サービスを利用した携帯向けWebショップでは、香水や衣料といったものがよく売れているという。同社ではモバイルECに注目し、買い物用のアプリを作ってポイントサービスの参照などに利用したり、Cメールを利用したお勧め商品のプッシュ配信サービスなど、モバイルECへの展開を図っていくとしている。

 auでは、今後BREW搭載端末を拡充し、いずれは全ての端末をBREW端末とすることが、様々な講演などでアナウンスされている。前述の買い物用のアプリなどもBREWを利用したものが提供される見込みだ。

 高橋氏は、BREWを採用した背景として、BREWベースのアプリやブラウザの起動の速さを上げている。Java対応端末であっても、チップセットなどをハイスペックなものを利用すれば、起動速度の問題はクリアできるという。しかし、コスト面や開発環境を考慮すると提供は難しいとした。

 同氏によれば、BREWの立ち上がりの早さから、「ユーザーはインターネットへのアプローチ回数が増える」という。CPではすでにBREWアプリをコンテンツのメニュー画面にするなど新しい窓口として利用しているところもあり、「これからのアプリはBREWでポータルになる」との認識を示した。

 現在、市場に投入されているBREW対応端末は約70万台程度。同社では、今年秋冬に発表予定のBREW2.1対応端末(現在はBREW2.0)などで、トータル150万台にまで増やすとしている。次期BREW端末ではQVGA液晶が搭載され、BREWアプリ上からのカメラの制御が可能となるほか、ベースバンドチップの変更によってパフォーマンスも向上するという。

 ただし、「今後、若干混乱するかもしれない」と高橋氏は語る。auでは現状、EZアプリ(Java)とEZアプリ(BREW)の2本立てでアプリを提供しており、今秋発表予定のCDMA2000 1xEV-DO端末でも、Javaが採用されたモデルが登場する見込み。ただし、Java対応端末の出荷は秋以降終了し、「来春以降はBREWのワンチップで提供する」と述べた。

 高橋氏は、海外のBREWの状況についても話した。同氏によれば、韓KTFや米ベライゾンが好調としており、KTFでは45モデル以上のBREW対応端末がラインナップされており、450万台以上の販売台数があるという。国内のBREW対応端末は現状3モデルのみとなるが、秋には6、7モデルに拡大されるという。auでは、今後、中国、韓国のBREW端末提供事業者と関係を深め、コンテンツなどの親和性などを高めていきたい考えだ。


今秋登場BREW端末について アプリケーションはJavaからBREWへ

世界のBREW事業者 各国のBREWのサービスブランド名

BREW対応端末 韓国KTFの状況

高橋氏「CDMA2000 1xを1xEV-DOにするだけだ」

EV-DOのキーポイント
 講演の最後に、EV-DOについても話が及んだ。高橋氏は「夏ではまだ時期尚早」と、詳細を語ることはなかったが、他キャリアの高速データ通信サービスよりも早く提供したいとしており、「我々はすでに3G、これにデータ通信に特化したEV-DOをプラスするだけ、つまりCDMA2000 1xを1xEV-DOにするだけだ」とコメントをした。

 また同氏は他社の動向についても語り、ドコモの505iシリーズなどを例にとって「PDCでは明らかにバランスが崩れてしまっている」と発言。今年後半、来年には「3Gが主戦場になる」とした。「ドコモやボーダフォンは3Gへの移行によって、店頭が混乱するだろう」との見通しを語った。

 EV-DOについては、KDDI社内でもまだ方向性は明確に定まっていないようで、高橋氏は「社内でも喧々囂々だ」とした上で、定額制は難しいとした。ただし、「データ通信料は確実に下がる」としており、通信料が下がることでモバイルECなどの分野の拡大に期待しているようだ。「EV-DOで今までの世界が大きく変わるわけではない。ユーザーにちょっとずつたくさん利用して欲しい」と語った。

 このほか、同氏はEZwebのロゴマークが一新されることも明らかにした。詳細は今後発表されるとのこと。高橋氏は「1xだからできるものを秋に発表する。その上で1xEV-DOが来る」と述べ、講演を締めくくった。



URL
  mobidec 2003
  http://www.shoeisha.com/event/mobidec/
  KDDI
  http://www.kddi.com/


(津田 啓夢)
2003/08/29 16:46

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