|
|
|
【mobidec 2003】
SME、レコード会社としてのケータイ向け音楽ビジネス
|
|
|
|
|
|
ソニー・ミュージックエンタテインメントの天野氏
|
8月28日、29日の2日間、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)および翔泳社主催による携帯電話関連のコンテンツ開発者向けイベント「mobidec 2003」が開催されている。28日にはソニー・ミュージックエンタテインメントのデジタルネットワークグループ ネットワークサービス部の天野明弘氏が「レコード会社のモバイルへのアプローチ」と題した講演を行なった。
天野氏はまず、ケータイのプラットフォームをどう使うかということについて「ユーザーに情報を発信したり、音に接してもらう(楽曲の視聴)など、プロモーションのツールとして。もうひとつは着うたや着メロなどデジタルコンテンツの販売と、CDなどの通販のチャンネルとして」と、2つの方向性があると語った。同社では2000年からiモード、J-スカイ、EZweb(2001年)向けに「SonyMusic Mobile」というサイトを展開しているが、天野氏はこれらについて「これらは基本的にプロモーションサイトとして運営しているので、あくまで無料サイトとして、アーティストのプロモーションの一環としてコンテンツの開発を行なっている」と説明した。
|
ケータイにおける音楽ビジネスの方向性。左が楽曲志向で右がアーティスト志向
|
ケータイにおける音楽ビジネスについて天野氏は、着信メロディ配信サービスなどの「楽曲志向のビジネス」と、着信ボイス配信サービスなどの「アーティスト(歌手)志向のビジネス」の2つの方向性があると指摘する。音楽配信や着うたといったサービスは、これら2つの方向性の中間に位置するという。
着うたは着信音に設定できるMP3形式のデータを配信するというauのサービス。内容としてはほぼ音楽配信だが、天野氏は「音楽配信というと敷居が高く、普及しなかったという歴史がある」と指摘し、さらに「着うたをマーケットに出すにあたってこだわったのは、音楽配信としてではなく、あくまで着信メロディの強化版として登場させること」と語った。一方で天野氏は、着うたを着信音ではなく新しい曲をただ聴く目的で利用しているユーザーが増えていることを紹介し「最初から想定していたことだが、今後、端末が強化されるにしたがって、ケータイで音楽を聴く、という利用が推進される」という考えも語った。
|
着うたのランキング例。CD売り上げなどとは違った傾向が出ている
|
聴講者からの「着うたは、逆にCDの売り上げを阻害するのでは」という質問に対して天野氏は「CDの売り上げはこの5年間、下がりっぱなしだが、着うたのせいでとくに売り上げが落ちているとは考えていない」と語った。その根拠のひとつとして天野氏は、着うたサイト「レコード会社直営サウンド」におけるダウンロードランキングを挙げた。このランキングにはTHE BOOMの島唄など古い曲が入っているなど、最新のCD売り上げランキングとは異なったデータが表われている。天野氏は「30秒くらいの短い着うたを聴くことと、ちゃんとしたフルバージョンを聴くことはまったく別だと考えられる。着うたがCDの売り上げを阻害するとは見ていない」と語った。
ケータイにおける音楽ビジネスの将来像について天野氏は「ケータイならではのパッケージやコンテンツが登場する」と語った。たとえばCDというパッケージは、音楽も入っているが、アーティストの写真やジャケットも含まれている。「ケータイにおいては、ケータイならではの新しいパッケージやコンテンツが登場する可能性がある」と述べた。
■ URL
mobidec 2003
http://www.shoeisha.com/event/mobidec/
ソニー・ミュージックエンタテインメント
http://www.sonymusic.co.jp/
(白根 雅彦)
2003/08/28 19:00
|
|
|
|