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【WIRELESS JAPAN 2003】
Vodafone live!、欧州に芽生え始めた「キャリア主導」のサービス

ボーダフォン・グローバル・コンテンツ・サービス ビジネス・ディベロップメント・コンテンツ・マネージャー ティム・ハリソン氏
 7月16日より、東京ビッグサイトでワイヤレス関連イベント「WIRELESS JAPAN 2003」が開催されている。最終日の18日、ボーダフォン・グローバル・コンテンツ・サービス ビジネス・ディベロップメント・コンテンツ・マネージャーのティム・ハリソン氏が「ボーダフォンライブ!の紹介とグローバル戦略」と題したコンファレンスを行なった。

 コンファレンスは、欧州におけるボーダフォンのコンテンツサービス「Vodafone live!」の開始に至るまでの経緯と今後の抱負について語られた。Vodafone live!は、欧州を中心としたエリアで展開されるMMSをベースにしたコンテンツサービス。日本では先日、J-フォンが同社のコンテンツサービス「J-スカイ」を「ボーダフォンライブ!」へ名称変更すると発表したが、サービスそのものは「J-スカイ」がHTMLベースであるため、欧州のものとは大きく異なる。


“WAPは紙くず”とまで言われた

 まずハリソン氏は、「Vodafone live!を導入する前、WAPのコンテンツビジネスはあまり成功しているとはいえなかった。“WAPは紙くず”とまで言われたこともある」と説明。その理由について「回線が遅かったこと、白黒のディスプレイだったこと」などを挙げた。「一方で、コンテンツビジネスが欧州より先に成長していた日本では、より速い接続スピードで、カラーディスプレイ、着メロの音質がいい端末があった。これが大きい」と語り、欧州のコンテンツサービスを構築するにあたって、“日本方式”を参考にしていたことを示唆。同時に、「ヨーロッパでは日本とビジネスモデルが異なり、コンテンツサービスを提供する側が端末メーカーのロードマップに従わなければならず、End To Endのソリューションを開発するのが難しい」と現在も根本的に解決されていない問題についても触れ、コンテンツサービス構築の難しさについて語った。

 ついでハリソン氏は、ユーザー指向、インターフェイスの改善、コンテンツの管理、標準規格への対応といった新たなコンテンツサービスの開始にあたって打ち立てた「原理」について説明した。

 まず、“ユーザー指向”についてだが、ハリソン氏は「ヨーロッパではテクノロジーやエンジニアが第一という考え方が大半を占めていたが、これを、企画・提案を売ろうという“ユーザー指向”の考えに変えていくことが重要だ」と説明した。また、インターフェイスについても、「テキストベースではなく、アイコンベースで設計することを心がけた」という。


おなじみ、デビッド・ベッカムもヨーロッパ版PRビデオに登場 ミハエル・シューマッハもCMに登場する

キャリア主導のビジネスモデルへの転換

 Vodafone live!は、前述のように、これまで欧州であまり聞かれなかった「キャリア主導」によるビジネスモデルへの挑戦でもある。「ボーダフォン自身がパブリッシャーとなろうと決意したのは、自分たちでコンテンツを管理し、ユーザーエクスペリエンスの向上に努めることが重要だと考えたからだ」とハリソン氏は述べ、これまでの通信・端末メーカー・コンテンツプロバイダーの3者が切り離されたモデルからの脱却が重要との考えを示した。

 また、ボーダフォンは世界各国でサービスを展開する事業者だが、インターナショナルであるが故の戦略、課題もある。まずはコンテンツ記述言語の統一だ。「(ボーダフォン主導のコンテンツビジネスになったとしても)共通のWAPという枠組みを維持するということは依然、重要なことだ。世界各国でサービスを展開するには規格が共通でなければ混乱を来してしまう」と語った。

 一方で、複数の国でサービスを展開するにあたって、差別化しなければいけないのはコンテンツそのものだ。サービスを提供する国に合わせたコンテンツを提供しなければ、利用者は増えない。この点についてハリスン氏は、「とくに暴力表現、わいせつなものは、国ごとの許容範囲も異なる」と述べ、ビキニを着た女性の写真を表示して「ドイツだったらこの程度でも十分許容範囲だが」と語る一方、次にセピア色に変色したフォーマルな装いの女性の写真を表示して「イギリスではこのあたりが限界だろう」とジョークを飛ばして会場を沸かせた。


MMSがキーになる

 今後の戦略については、「これから1年、MMSがキーになる。MMSが拡大すればコミュニケーションにもエンターテイメント、広告市場でも利用でき、大きく市場が広がるからだ」と語った。また、3Gに関しても「今年の後半に各国で導入する。3Gは現在のVodafone live!の延長線上だと考えている。2007年においてはかなり拡大しているだろう。Java、MMS、着メロ、ストリーミングがメインのアプリケーションになるのではないか」と期待を持って述べた。また、著作権侵害の問題についても触れ、「業界共通のソリューションが提供されなければならないと思う。1年~1年半の間にデジタル著作権が発展するのではないか」と語った。

 最後に同氏は「今後、コンテンツビジネスは2006年までの間に750億ユーロの市場になると予測している」と語り、講演を締めくくった。なお、講演中、J-フォンに関して触れられることは少なく、ボーダフォン傘下の米ベライゾンとともに「戦略的に重要だ」とするにとどまった。

 講演後の質疑応答で、iモードの欧州進出に対しての印象についてハリソン氏は「iモードはサービス開始当初、苦戦していたと思う。ユーザーがプリペイドか、契約ベースかによって大きな違いがある。現在は積極的、攻撃的に展開しているのではないか。ボーダフォンとしても、ほかの競争相手がいるというのはうれしいことだ」と語った。

 また、「欧州のVodafone live!では、小さい会社や個人がコンテンツを公開するチャンスがあるのか」という質問も飛び出した。ハリソン氏は、「コンテンツのクオリティ次第だが、Vodafone live!はiモードが取っているようなオープン性を重視した戦略とは異なるものだ。事業者である我々がユーザーエクスぺリエンスをコントロールすることが重要だと考えている。ゲームをポータルに載せるためには、数々の審査が必要になるが、それは、我々のコンテンツを保護することがモバイルコンテンツ市場を保護することにつながると考えているからだ」と回答した。


日本のJ-フォン、アメリカのベライゾンは今後のボーダフォンの世界戦略において重要だ 日本からは端末だけでなく、コンテンツも輸出されている

端末のバリエーションも重要だという 三洋のスライド式端末がプレゼンテーション資料に登場。ボーダフォンのロゴが入っている


URL
  WIRELESS JAPAN 2003
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2003/
  ボーダフォン(英文)
  http://www.vodafone.com/


(伊藤 大地)
2003/07/18 19:15

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