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【WIRELESS JAPAN 2003】
ドコモ、KDDI、ノキアが描く4Gの姿

左からNTTドコモの常務取締役 木下耕太氏、KDDI研究所の執行役員 篠永英之氏、そしてノキア・ジャパン シニアマネージャーの中川義克氏
 「WIRELESS JAPAN 2003」の2日目、「4Gサービスの方向性と技術的課題」と題したパネルディスカッションが行なわれた。携帯電話キャリアからNTTドコモの常務取締役 木下耕太氏、KDDI研究所の執行役員 篠永英之氏、そして端末メーカーからノキア・ジャパン シニアマネージャーの中川義克氏が出席し、各社の3Gの現状や、4Gへの展開などが語られた。なお、当日は出席予定だった総務省移動通信課の翁長久氏が急遽欠席。3者とモデレーターのインターネット総合研究所の藤原洋氏を加えた4人で進行された。


ドコモ木下氏、「1月のFOMAでPDCの機能を抜く」

 まず、各社の3Gサービスの状況として、ドコモの木下氏が口火を切った。同氏はFOMAサービスをスタート時から振り返り、開始から1年以上も契約数が伸び悩んだことについて語った。その原因として、通話エリアが小さく端末が大きかったことを挙げ、中でもバッテリーの持ちが悪かった点を「致命的だった」とした。しかし、こうした伸び悩みも2003年に以降に発売されたセカンドバージョンのFOMA端末「F2051」「N2051」の登場で、契約者数に変化が見られ、「P2102V」の発売で急激にユーザーを獲得していったという。

 なお、16日時点でのFOMA端末の出荷台数は58万8,000台となっている。木下氏は、発売されたばかりの「F2102V」と、18日に発売予定の「N2102V」でさらに大幅に契約を獲得できるとしており、2003年度の後半に発売されるサードバージョンのFOMA端末で、2003年度出荷目標146万台を達成できると予測。最新のPDCの端末505iシリーズでは、ディスプレイサイズやメガピクセルカメラ搭載など、機能的にFOMA端末よりも勝った部分が多く見られたが、同氏によれば2004年1月にも発売されるサードバージョンのFOMAでは、「PDCを機能的に抜いたものになる」と語った。

 だが、PDCからFOMAへのユーザーの移行について、「いかにFOMAじゃないとできないサービスを提供していくか」と課題を挙げており、ユーザーの乗り換えに関して、充分なサービスを提供する必要性を説明。また、現状のFOMAサービスは、パケット料金がPDCの1/10に抑えられるなど利用頻度の高いユーザーが使っており、ARPUが高い点なども語られた。

 木下氏はFOMAの今後の展開として、2005年を目処に最大14Mbps、平均すると2Mbps程度のデータ通信が可能な「3.5G」の端末が発表されることを語った。しかし、動画コンテンツなどデータ通信速度の向上によって通信費が増加する点について、「ネットワークコストの低減が必要」とするに留まっており、今後の課題となりそうだ。


FOMA契約者数の推移 データ伝送速度

KDDI篠永氏、CDMA2000 1xEV-DOで法人需要に期待

 続いて、KDDI研究所の篠永氏がauの3Gサービスの方向性を説明。同氏は、カメラと通信機能使ったリモート監視機能や、携帯電話からの動画配信、そしてGPSを使ったナビゲーションシステムや運行管理などがユビキタス環境のコアになるとの考えを示した。さらに、モバイルコマースや身分証明書の代わりになるなど、携帯電話が人と通信をつなぐゲートウェイの役割を果たすことを印象付けた。

 auは、cdmaOneからCDMA2000 1xへの移行で、「サービスの継続」をキーワードに3Gへの移行を成功させた。同社は現在、東京都の環状7号線内で2GHz帯のCDMA2000 1xEV-DOのモニター試験を実施しており、今秋にも本格運用が開始される見込み。高速データ通信が最大の売りのCDMA2000 1xEV-DOだが、同氏は、BREWによるソリューションについての期待も語った。篠永氏は、「BREWとは、一言で言うとケータイがカスタマイズできるということ」と説明し、BREWによって保険外交員向けにカスタマイズされた携帯電話が可能になったり、BREWとGPS機能を連動したソリューションの展開など、今後法人需要の拡大が見込める点を強調した。


携帯電話の3つの進化 携帯電話がパーソナルゲートウェイになる

今後、様々なモバイルサービスを展開 ソリューション提供企業などとの提携

ノキア・ジャパン中川氏、「3G端末は3GPP対応が重要だ」

 ノキア・ジャパンの中川氏からは、同社の今後の展開や、欧州での携帯電話事情などが紹介した。世界で圧倒的なシェアを誇るノキアだが、同氏は同社の携帯をどこの事業者に持っていっても利用できるようにするために、3GPPをサポートする必要があるという。欧州では、100社以上の通信事業者が存在しており、その全ての仕様が統一されているわけではないため、事業者ごとにチューニングが必要となる。3Gサービスでは、端末の性能なども向上するため、チューニングの必要性さらに多くなるという。


ノキアの3GPP対応端末 MMSの拡大に期待

木下氏、4Gで人間もゲートウェイになる

 ディスカッションの後半、各社が4Gについての進捗状況や、まだ具体性の乏しい4Gについての考えを表わすこととなった。

 ドコモでは、室内実験装置では、移動時に100Mbps、そして停止時に1Gbpsの通信にほぼ成功しており、今年5月に総務省の認可を受けて以来、2010年の商業化を目指して屋外実験も進められれているという。

 木下氏は、システムなど技術的な問題はそれほど心配していないと語る。それよりも問題なのは、「4Gでどんなことができるのか」としており、まだまだ試行錯誤の段階であることを示唆した。具体的には、24時間あらゆるものがネットワークに接続され、目と耳以外に触感などを使ってコミュニケーションするようなことが考えられるとしたほか、言葉の違う人との会話を可能する言語変換機能などについても触れた。同氏は最後に、「ネットワークにゲートウェイがあるように、人間もゲートウェイになる」と印象的な言葉を述べた。

 一方のKDDI研究所の篠永氏は、4Gを3Gの延長線上にあるサービスと捕らえているようだ。同氏は、高速移動通信とともに、無線スポットのようなより高速なアクセスを組み合わせたものを4Gとし、「高速でも安くなければならない」と付け加えた。

 また、家庭などのコンセントや携帯電話自体に基地局からの電波のルーターのような役割を持たせ、エリア品質を向上させる技術なども語られた。4Gではバックボーンの帯域の逼迫を防ぐため、無線アクセスと端末受信など異なるネットワーク上で、ローミングが行なえるような仕組みが必要との見解も示され、2007年にもそうした仕組みを提供したい述べた。

 このほかノキアの中川氏は端末メーカーの考えとして、「3Gをよりリッチにするのが4G」とし、通信速度の向上がそのままユーザーの利便性を向上させるとの認識を示した。今後さらに普及が予想されるMMSなどのサービスが、4Gによって素早く利用できるとしたほか、自動販売機やセキュリティ産業などマシンtoマシンでの拡大が望めるのではないかと述べた。


4Gで24時間ネットワーク接続 ドコモの研究活動

KDDIのシームレス通信技術 アドホックネットワーク技術


URL
  WIRELESS JAPAN 2003
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2003/
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  KDDI研究所
  http://www.lab.kdd.co.jp/
  ノキア・ジャパン
  http://www.nokia.co.jp/


(津田 啓夢)
2003/07/17 22:06

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