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【WIRELESS JAPAN 2003】
クアルコム松本社長、「BREWはケータイのOSになる」

 「WIRELESS JAPAN 2003」の2日目、午前中のコンファレンスでクアルコムジャパン代表取締役社長 松本徹三氏が講演を行なった。なお、同講演は米Qualcommのグローバル・ディベロップメント プレジデントのジェフ・ジェイコブス氏が行なう予定であったが、急遽来日が中止となり、松本氏の登場となった。


CDMAはネットワークの効率を向上させる

クアルコムジャパン代表取締役社長 松本徹三氏
 クアルコムは、3Gサービスの主流であるW-CDMA、CDMA2000 1xそれぞれの技術を保有し、チップセットを提供するなど縁の下でキャリアや端末メーカーをサポートする立場にある。まず松本氏は、現在世界中でCDMAによる3Gサービスの普及を示すデータを挙げた。それによれば、現在1億5,400万台のCDMA端末が稼動。他の方式を含めた市場全体の総出荷台数は頭打ちの状態で、2007年にかけて4億~5億台になるとのことだが、その2007年には約半数の2億2,500万台がCDMA方式の端末になるという。

 W-CDMAやCDMA2000を含めて、CDMA方式は日本や韓国などが先行しているようなイメージがあるが、北米で急激に普及しており、台数ベースでトップになっているという。また松本氏は「クアルコムはアンチW-CDMAではない。CDMA2000とW-CDMA双方のチップセット開発を行なっている。我々からすれば、両方式は8割ほど共通部分がある。ただしCDMA2000の方がフレキシビリティがあり、立ち上がりが早くなると考えている」と語った。

 今年中にauがサービス提供を予定しているEV-DO方式についても説明を行なった同氏は「音声通話はリアルタイムでなければならないが、その分ネットワークが非効率的になる。データに特化するEV-DO方式は、ネットワークを効率化するために生まれた。(CDMA2000 1xの進化した方式である)2x、3x方式は、バンド幅が大きくなればいつでもできる。W-CDMAでも同様の方向に行くだろうが、CDMAである限り、同じところに帰結する」と将来を見越したCDMA方式のアドバンテージを語った。

 また先に講演を行なったNTTドコモの立川社長が紹介した「HSDPA方式」については、「理論値は14Mbpsだが、1%以下の確率。ただ欧州のキャリアなどは通信速度よりもネットワークの利用効率を重視しており、HSDPA方式はEV-DO並になる」とした。


CDMA端末の稼働台数を示すデータ 出荷台数は頭打ちになる見込み

ワイヤレスとモバイルは異なるもの

 続いて松本氏は、小型基地局を用いる「ピコセル(Picosell)」を紹介した。同氏は「アクセスが多いところや屋内など、要所要所を強化するもの。無線LANに近いコストで、類似した目的を達成できる。ただ無線LANの方が安く導入できるのではないかと思われるかもしれないが、それは大きな勘違い。ピコセルの場合はノートパソコン程度の基地局となり、価格も今の基地局より若干高いか、ほぼ同じレベルになる。無線LANが利用している2.4GHz帯は干渉問題があったり、空いている5GHz帯は電力を多大に消費するうえ、安定性に不安がある。同じ周波数帯で全部をカバーするのが理想的ではないか。いつでもどこでも、さらにハンドオーバーできるというのはCDMA方式が良い」とアピール。

 続けて同氏は「ワイヤレスとモバイルを混同されている方もいるかもしれない。(無線LANなどの)ワイヤレスは、通信できる場所が限定される“準固定回線”だ。モバイルは移動中でも使えるということ。特定のスポットではピコセルで、ちょっと移動すればEV-DO、田舎などさらに広い範囲は1xでカバーできる」と語り、モバイル通信を実現するにはCDMA方式が最適との主張を繰り返した。

 また松本氏は、携帯電話でのテレビ受信についても触れた。KDDI研究所やNECからデジタルテレビが受信できる携帯電話・端末が発表されているが「2005年に受像モジュールが仕上がるというが、コスト面が疑問。携帯電話の画面サイズであれば、EV-DOでも、端末側へ新たな回路を組み込むことなく、ソフトウェアを変更するだけで充分対応できる。来年秋以降には実現できるのではないか」と語った。


ピコセル(Picosell)の概要 CDMA方式だけで幅広くカバーすべきという

携帯電話でのテレビ受信に関しては「CDMAネットワーク上で対応できる」とした

BREWでより良いものをより安くより速く

松本市は「BREWは携帯電話のOSと言っても良い」と語った
 同社が提唱し、日本ではauが導入したアプリケーションプラットフォーム「BREW」については「高機能でなおかつ安く端末を提供するためには、開発期間の短縮と費用の削減が必須となる。BREWはこのために生まれた」と誕生の経緯を説明。さらに同氏は「無線ではネットワークコンピューティングの概念をベースにしなければならない。運命付けられていると言っても良い。今まではバグがあれば回収しなければならなかったが、そんなことでは生き残ることはできない。ネットワークコンピューティングはパソコンでは受け入れられなかった。なぜならば、デスクトップのようにパソコンはどれだけ多機能になって、処理をどんどん行なったとしてもバッテリーの心配がない。対して携帯電話はバッテリーが限られており、低電力化しなければならない。複雑な処理はサーバーで行なわせるべきだ。サーバーとクライアントという関係においてはBREWが適している」と語った。

 さらに同氏は「BREW上でブラウザやメーラーなどさまざまなアプリケーションを動かせるのであれば、端末メーカーはBREWに対応するだけでよい。ということはBREWは“OS”だ。携帯電話のOSは、いつも立ち上がっていて、すぐ使えて、軽いリアルタイム処理を必要としている。これぞBREW」と述べ、クアルコムが“OS”であるBREWを提供し、チップセットを供給することで端末開発の期間短縮・費用削減が実現できるとした。


GSM陣は1xに移行する

GSM方式は、CDMA2000 1xに移行するという
 現在世界で利用されている携帯電話は、日本のPDC方式、圧倒的なシェアを誇るGSM方式など複数あるが、3GではW-CDMAとCDMA2000がメインのため、松本氏は「7つも8つもあれば困るが、2つ、3つであればワンチップでサポートできる。そうなればコストダウンも可能だ」とチップセットメーカーとしての立場からコメント。

 またGSM方式を採用している各国の事業者が、今後3Gサービスに移行することについては「W-CDMAに移行すると考えられているが、欧州などでは帯域の余裕がなく、その可能性はゼロだ」と断言。では、一体どうなるのかという疑問については「GSM方式を採用している事業者は2Gに取り残されるのか? そんな無責任なことはできない。我々が提供するのは、より少ない帯域を使用するCDMA2000 1xへ移行できる道筋だ。欧州などはGSM/1xという形になるだろう」とした。



URL
  WIRELESS JAPAN 2003
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2003/
  クアルコムジャパン
  http://www.qualcomm.co.jp/


(関口 聖)
2003/07/17 18:00

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