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【WPC EXPO 2002】
パネルディスカッション「コンテンツ・ビジネスを脅かすハードルと対策」

司会を務めた日経コミュニケーション編集長の井出 一仁氏
 10月16日~19日にかけて、東京ビッグサイトで開催されているアジア最大級のパソコンや周辺機器などデジタル機器の総合展示会「WPC EXPO 2002」の2日目に「コンテンツ・ビジネスを脅かすハードルと対策」と題したパネルディスカッションが行なわれた。出席者は、KDDIソリューション事業本部コンテンツビジネス部長 高橋 誠氏、京セラコミュニケーションシステム(KCCS) 情報システム営業本部長兼情報通信営業本部長 北村 寛氏、NTTドコモ iモード事業本部 iモード企画部長 夏野 剛氏、モトローラ中国 主席代表 王武 小珍氏、韓国SKテレコム インターネット・グローバル・ビジネス担当ディレクター ホーク・アン氏の5名。司会は日経コミュニケーション編集長の井出 一仁氏が務めた。

 前半はそれぞれの事業内容の概要が述べられ、後半には迷惑メールや動画コンテンツなどについての見解が語られる内容となった。


アジアのケータイ事情

京セラコミュニケーションシステム(KCCS) 情報システム営業本部長兼情報通信営業本部長 北村 寛氏
 冒頭に司会役の井出氏から、社会的なインフラとして定着してきた携帯電話におけるコンテンツビジネスに対して、立ちはだかるハードルをどうクリアしていくかとパネルディスカッションの主旨が述べられた。

 ここでまず各社から、それぞれ行なっている事業展開の現況が紹介されたが、auおよびドコモについては夏以降の様々なイベントで明らかにされた内容が繰り返されたかたちとなった。

 またシンガポールを拠点に、海外進出をはかる日本国内のコンテンツプロバイダを支援する形で事業展開しているKCCSの北村氏は、「東南アジアをターゲットにしたのは(携帯電話向けコンテンツ事業が)まだまだ普及していないから」と述べ、ハードウェアやソフトウェアの技術、そして様々なキャラクターとコンテンツ事業に対して、日本企業が大きなアドバンテージおよび資産を持っていると指摘。また実際にシンガポールで事業展開を行なっていった際に遭遇したアクシデントなどが語られたほか、着信メロディや待受画像配信などで海外展開をはかるためには「国際的に著作権に関する法律が統一されていない」ため、スムーズに移植できないなどの問題点を挙げた。

 このほか、モトローラ中国の王武氏は、1999年から爆発的な成長を見せている中国市場において「コンテンツ配信などデータ通信を利用したサービスを待ち望むユーザーが多く存在している」と述べたほか、端末メーカー、コンテンツプロバイダ、キャリアが協力してバリューチェーンを構築し、ユーザーに良いものを提供すべきと語り、ほぼ同じ理論を主張しているドコモ夏野氏から「言いたいことは全て言われてしまった。ありがとう」と返される場面もあった。また王武氏は「モトローラ中国は、外資系ながら中国企業と言っても差し支えないほど、地域に浸透している」と語り、今後も更なる成長が見込める中国市場でマルチメディア配信などを提供していくとした。

 韓国SKテレコムのアン氏は、既にCDMA2000 1xEV-DOで提供している同社サービスおよび韓国市場の概要を紹介。ユーザーが携帯電話で利用する各種サービスのうち、大部分を待受画面や着信音、ゲームなどのエンターテイメント系コンテンツが占め、メールおよびチャットが全体の9%と、日本市場とは大きく異なる統計データも明らかにされた。また、アン氏は「これまではユーザー数をライバルから奪ってでも増加させることが重要だったが、これからはいかに定着させていくかが重要」と述べた。


モトローラ中国 主席代表 王武 小珍氏 韓国SKテレコム インターネット・グローバル・ビジネス担当ディレクター ホーク・アン氏

迷惑メールには社会全体で対処するべき

 ディスカッションに入ると、まず「迷惑メール」がテーマに掲げられた。コンテンツプロバイダを代弁する立場の北村氏は「業界全体のイメージダウンになる」と述べた一方で、「ユーザーも自主防衛すべきではないか。そのためにキャリアなどはプロモーションを推し進めていかねば」とユーザーの啓発が肝要とした。

 高橋氏は「もともと(KDDIでは)電話番号をメールアドレスにしなかったこともあって、迷惑メールは少なかった。また11月上旬にはブロックサービスを提供する予定」と述べると、すかさず夏野氏は「(ドコモでは)ユーザーが多いから迷惑メールも多い」と、電話番号を利用したメールアドレスは「関係無い」と高橋氏とは異なる考えであることも明らかにした。

 また、夏野氏は「キャリアとして打てる手は全て行なった」と述べた。続けて「迷惑メール防止法によって、メールタイトルに“未承諾広告※”が必須となったが、(タイトルに半角スペースを入れるなどで)回避してくる業者も出てきている」として、「迷惑メールを根絶するには、法の厳しい運用が必要。社会全体で対処すべき時期に来たのではないか」と語った。


一般サイトの料金代行には審査が必須

KDDIソリューション事業本部コンテンツビジネス部長 高橋 誠氏
 次に、「勝手サイト(非公式サイト)の料金回収代行」がテーマになると、夏野氏は「かつてダイヤルQ2が話題になったときは、NTTが責められた。もし出会い系サイトの料金回収代行をやると、ドコモが責められる。だからやらない」と技術的には可能ながら、料金回収代行サービスを提供していない理由を述べ、さらに「もし世論が変われば(ドコモが責められない土壌ができれば)すぐにでもやる」とした。

 既に同種のサービスを提供している高橋氏は「審査が無いまま(料金回収代行サービスを)提供するのは無理がある」と、夏野氏に同調する姿勢を見せ、「一時は恣意的に審査しているのではないかと言われたこともある。しかし7月には公序良俗に反しないなどのガイドラインを明らかにしているほか、パトロールも行なっている」と述べた。

 また韓国政府から指導を受けて、一般サイト向けにネットワークのオープン化を求められている韓国SKテレコムのアン氏は「現時点ではSKテレコムが料金回収を行なう予定」と述べた。


映像単独でのコンテンツ配信は普及しない

NTTドコモ iモード事業本部 iモード企画部長 夏野 剛氏
 コンテンツ自体の内容に対して、まず映像コンテンツについて語られた。高橋氏は「CDMA2000 1xEV-DOになっても携帯電話で映画は見ない。まだ料金が高い」と断言。また「表現としての動画は有り得る」として、コンテンツの一部で再生時間が短い動画ならば普及するとした。夏野氏もほぼ同意見で「問題は料金。だから2Gではやる気はない。使ってもらえないものはダメだ」と述べた。

 これからマルチメディアサービスの展開が予定されている中国市場について、モトローラの王武氏は「KDDI(のムービーメール)は良いビジネスモデルと思う」と述べた。同氏はまた「我々はメーカー。バッテリーのことを考えると、やはり携帯電話で映画は見ない」とする一方、「音楽のプロモーションビデオならば、短い時間でも受け入れられるかもしれない」と語った。

 このほか、位置情報サービスやJavaアプリがコンテンツビジネスに与えた影響についても語られた。高橋氏は「精度が高いGPSだが、今後は検索時間の短縮など改善が必要。(改善が行なわれる)来年は良いサービスになる」として、通話品質の向上と同様に「位置情報サービスはじっくりと育成していくもの」との見解を述べた。

 Javaアプリについては夏野氏が「これは(ドコモが)一番だと言っても良いね?」と高橋氏に対して、にこやかに語りかけ、「Javaによってゲームカテゴリーが一気に普及したほか、ARPU上昇にも大きく影響している」と語った。高橋氏も続けて「確かにJavaはドコモが一番」と認めた上で、「ARPUもそうだが、携帯電話をカスタマイズできることが一番大きい」と、多種多様なユーザーに利用されている携帯電話で、Javaアプリケーションが大きな役割を果たしているとの認識を示した。

 このほかにも用意されていたテーマがあったが、ここで時間切れとなり、パネルディスカッションは終了した。


・ WPC EXPO 2002
  http://arena.nikkeibp.co.jp/
・ NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
・ KDDI
  http://www.kddi.com/
・ 京セラコミュニケーションシステム
  http://www.kccs.co.jp/
・ モトローラ中国(中文)
  http://www.motorola.com.cn/
・ 韓国SKテレコム
  http://www.sktelecom.co.kr/


(関口 聖)
2002/10/17 21:24

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