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【JavaOne 2002】
携帯電話向けJavaの最新技術も展示

 Javaの開発者向け会議「JavaOne」が9月25~27日の3日間、パシフィコ横浜で開催されている。併設の展示会場には携帯電話向けJavaに関する展示も行なわれていたので、それらについてレポートしよう。


SVGビュアーなど開発中の技術も展示するKDDI

 JavaOneの「Platinum Co-Sponsors」の1社であるKDDIは、ezplus関連の展示を行なっている。実機を使って実際に配信されているezplusアプリを動かすデモのほかに、KDDI研究所が開発中のSVGビュアーソフトの展示も行なっている。

 SVGはベクター形式の画像フォーマットで、ビットマップ形式の画像に比べて拡大・縮小・回転などの表示がスムーズに行なえる特徴がある。KDDI研究所ではこのSVG形式のデータを表示させるビュアーを、ezplus向けに開発しているほか、他のプロファイルのJavaやBREW向けにも開発している。

 ブースでは、各種実験機によるデモのほかにも、SVG形式の地図画像表示機能を使ったクーポン付きのグルメ情報サービスや、SVGで各種コンテンツを記述するスポーツ情報サービスの展示も行なわれている。

 KDDI研究所によると、SVG形式の画像は、拡大縮小可能な地図のほかにも、普通のWebページのような画面の記述にも向いているという。画像や文字の位置を座標で指定できるコンテンツ記述言語としてSVGを使えるというわけだ。SVGにはWebサイトなどへのハイパーリンクも埋め込めるので、スポーツ情報などのコンテンツなどにも十分利用できるという。


A3015SAやA5301Tなど、最新の比較的高速な端末でezplusのデモが行なわれている 海外からの来場者も多いため、説明パネルは英語で書かれている

ezplus版のSVGビュアーソフト。まだ開発中で、実装されていない機能があるほか、速度も最適化されていない 日立のSH-Mobileや富士通のJavaチップ「pico Java」を使ったJava実行環境向けのSVGビュアー。動作はこちらの方が断然速い

iアプリの実機デモが中心のドコモブース

 KDDI同様、JavaOneの「Platinum Co-Sponsors」の1社であるドコモは、iアプリなどの展示を行なっている。504iシリーズの実機によるデモも行なわれているが、JavaOneは開発者向け会議なので、商品の展示というよりも技術の展示に近い形で、iアプリの仕組み的な部分の紹介も行なわれている。

 Javaの開発者会議の併設展示会だけに、iアプリの展示が中心なのだが、このほかにもドコモの海外展開に関する展示なども行なわれている。ドイツや台湾などで提供されている海外版iモードでは、現在のところiアプリにあたるJavaを使ったサービスは提供されていない。ドコモはiモードの延長線上にあるサービスは段階的に海外に持っていく考えで、iアプリの海外展開については来春、503i相当の機能のものを予定しているという。また、iアプリの海外展開時の名称は、商標登録などの関係で未定とのことだが、内容に関しては標準規格のMIDPではなく、ドコモが策定した独自の仕様、いわゆるDoJaを利用するという。

 このほか、iアプリにも対応するiモードを使った認証システムCmode(シーモ)の自動販売機の展示や、iアプリには関係ないがFOMAの展示も行なわれていた。


504iシリーズの端末でiアプリを体験できるようになっている 開発者向けのパネルは、英語での表記も有り

SH2101Vはiアプリ仕様は503i相当なので、iアプリ対応を前面に押し出していない展示 展示会にドコモが出展する際のお約束の1つともいえるiモードの世界展開図

エイチアイはマスコットカプセルを展示

日立のSH-Mobileの実験環境上で動くマスコットカプセル
 エイチアイは、同社がiモードの504iシリーズやJ-フォンのJavaアプリ対応機種などに提供しているJava向け3D画像表示API「Mascot Capsule Engine/Micro3D Edition(マスコットカプセル)」を展示している。

 マスコットカプセルは携帯電話のネイティブコードで作成され、携帯電話にあらかじめインストールされた形で提供されるAPIで、各種Javaゲームがマスコットカプセルの3D画像表示エンジンを使うことができる。

 同社のブースでは携帯電話向けに現在搭載されているVer.2のほかにも、さらに機能を強化したVer.3のマスコットカプセルも展示。Ver.3では複数のモデルの配置表示やテクスチャサイズの拡張などの強化が施されている。エイチアイによると、Ver.3は現在の携帯電話の処理速度では搭載できないが、来年以降の携帯電話には搭載されるという。

 ちなみにマスコットカプセルにはパソコン上のWebブラウザで動作させられる、すべてJavaで書かれたバージョンも存在する。こちらはマスコットカプセルのホームページでデモを見られる。


Pocket PC向けのマスコットカプセル。こちらはVer.3仕様で、携帯電話よりも複雑な画像が動く TIの携帯電話向けプロセッサ「OMAP」は、最新のチップだけに、Ver.3のマスコットカプセルが動く

ノキアはJavaへの取り組みを展示

 ノキアは、同社が海外で発売している各種端末の展示を行なっている。国内ではなかなかお目にかかれない、ノキアの最新端末が展示されているとあって、多くの来場者が端末を手に取っていた。

 ノキアのブースでは端末だけではなく、同社が行なっているサービスなどの展示も行なわれている。たとえばノキアの海外のGSM端末向けポータルサイト「Club NOKIA」で配信されているタイトーによるゲームの展示なども行なわれている。また、ノキアが行なっている開発者サポートプログラム「Forum Nokia」の紹介も行なわれている。

 またノキアのブース内では、サイバードがJavaを使った各種ソフトウェアの展示も行なっている。展示が行なわれているのはノキア端末上で動くニュース記事専用ブラウザ「News Viewer」やパノラマ画像表示ソフト「Pano Live」、MIDPのJava上で動く動画プレーヤー「Video Player」など。サイバードでは携帯電話を使ったインターネットが未成熟な海外市場に対して、コンテンツ自体を提供するのではなく、まずはコンテンツを提供できる環境として上述のようなソフトウェアの開発を行ない、こうした開発をノキアと行なった、という実績と共に海外のキャリアに売り込んでいく考えだという。


ノキアの端末の展示。発売前の最新モデルも展示されている カラーディスプレイ搭載のNokia 7210上で動くタイトーのスペースインベーダー

そのほかの携帯電話向けJavaソリューション

ズコット・ワイヤレスの試験キット。ゼンテックのブラウザが動作している
 会場では開発者向けのハードウェアなどの展示が行なわれている。開発者向けの展示なので、小さなブースで比較的地味な展示が多いが、携帯電話におけるJavaの将来に関係する興味深い展示も多い。

 たとえばズコット・ワイヤレスのブースでは、同社のJavaチップを使ったマシンにゼンテック・テクノロジー・ジャパンによるブラウザを載せた試験キットを展示している。一見、携帯電話には関係のない展示だが、ズコット・ワイヤレスではJavaチップの設計を販売していて、たとえば音源チップなどと統合させることで、Javaチップの機能を携帯電話に搭載することも可能だという。

 実際にそういった携帯電話が登場するかはわからないが、JavaチップはネイティブコードとしてJavaプログラムを実行する機能があるため、同クラスの消費電力のCPUでJavaVMを動作させるのに比べて数十倍の実行速度があり、MPEG-4のような処理能力の必要な動画再生もできるなど、実際に携帯電話に採用されれば携帯電話のJavaの応用範囲が一気に広がると考えられている。

 このほかにも、Javaを使った携帯電話向けのミドルウェアなどのソフトウェアの展示や、端末メーカーの展示なども行なわれていた。


ITX イー・グローバレッジによるJavaを使ったブラウザ「UIEngine」。携帯電話にインストールされた機能のように、サーバー上のプログラムやコンテンツを利用するためのブラウザのようなもの。複数のプラットフォームに1つのソースで対応できるのも特徴 ITX イー・グローバレッジが展示する「GlideSensor」は、ノートパソコンのタッチパッドの応用品。非接触で反応でき、薄く折り曲がるのが特徴。携帯電話のキー部の内部に実装することで、キー部をなぞることで手書き入力などのアナログ入力を携帯電話に内蔵させられる

画像処理ツールの開発を行なうスタジオブルテリアによる携帯電話向けムービープレーヤー。オブジェクト別に動かすことが可能で、パソコンのFlashのような使い方もできる スタジオブルテリアが開発したエンジンを使ったナムコのJ-フォン向けサービス。写メールで撮影した画像をサーバー上で処理し、3Dモデルに変換するというもの

京セラのJavaを標準環境にしたPDA「PocketCosmo」。高速な動作や擬似的なローカルサーバーとしても動く機能などを買われて、業務向けの需要が高いという。コンシューマー向けには現在、ウェブ通販で販売されている シャープはJ-フォン端末の展示のほかに、Linuxザウルス上で動くJavaVMの展示も行なっている。LinuxザウルスではLinuxネイティブのプログラムだけでなく、互換性が高く開発しやすいJavaのプログラムも重視している

・ JavaOne
  http://servlet.java.sun.com/javaone/
・ KDDI
  http://www.kddi.com/
・ NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
・ エイチアイ(マスコットカプセルについて)
  http://www.mascotcapsule.com/index-j.html
・ ノキア・ジャパン
  http://www.nokia.co.jp/
・ ズコット・ワイヤレス
  http://www.zucotto.co.jp/
・ ゼンテック・テクノロジー・ジャパン
  http://www.zentek.com/
・ ITX イー・グローバレッジ
  http://www.e-globaledge.com/
・ スタジオブルテリア
  http://www.studiobt.co.jp/
・ 京セラ(PocketCosmoについて)
  http://www.kyocera.co.jp/pocketcosmo/
・ シャープ
  http://www.sharp.co.jp/


(白根 雅彦)
2002/09/25 22:54

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