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【WIRELESS JAPAN 2002】
パネルディスカッション「モバイルビジネスの成長戦略を展望する」

 WIRELESS JAPAN 2002の有料コンファレンス初日の最後は「モバイルビジネスの成長戦略を展望する」と題したパネルディスカッションが行なわれた。出席者は、NTTドコモiモード事業本部iモード企画部長・夏野剛氏、ACCESS取締役副社長兼CTO・鎌田富久氏、KDDIソリューション事業本部コンテンツビジネス部長・高橋誠氏、サイバード代表取締役社長・堀主知ロバート氏の4名。司会はモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)事務局長の岸原孝昌氏が務めた。


左から、NTTドコモの夏野剛氏、ACCESSの鎌田富久氏、KDDIの高橋誠氏、サイバードの堀主知ロバート氏

 このパネルディスカッションは、携帯電話ユーザー数が約5500万人に達し、徐々に携帯電話向けコンテンツ市場が飽和状態になりつつある現状において成長するビジネスモデルと、提供されるネットワークの高速化およびコンテンツのマルチメディア化に対応したビジネスモデルを展望するものとして行なわれた。


モバイルコンテンツ市場の現状

 冒頭に司会役のMCF事務局長・岸原氏から、現在のモバイルコンテンツ市場の簡単な説明が行なわれ、ユーザー数や公式サイトの収益の伸び率が徐々に鈍化している点を挙げると、NTTドコモの夏野氏は「話す携帯から使う携帯、という段階が終了しただけで、飽和ではない」と語気を強め、ACCESSの鎌田氏は「土台ができたということ。全てがネットで出来るという環境が整ってきた」とし、サイバードの堀氏は「母数が増え、素晴らしい市場になってきている。これによりコンテンツを提供している企業の財務体質が健全化され、新技術にも対応できる」と、前向きにとらえていることを強調した。またKDDIの高橋氏は「サービス開始当初に比べれば、コンテンツ開発が難しくなってきているが、より一層の参入を促す仕掛けを提供していきたい」と語った。


モバイルビジネスのキーファクター

 次に、モバイルコンテンツ市場の要となる要素に話が進むと、夏野氏は「やはりJAVA。504iの登場よりもインパクトがある」として、ブラウザ上のコンテンツ市場に加え、iアプリという新しい市場が創られたと強調。このほかに「機能の多様化」を挙げたが、昨年から普及しつつあるカメラ付き携帯については「新しいものが必ずしも普及するわけではない。新技術は死んだものの方が多い」という視点に立っているため「はじめは懐疑的」であったと語った。

 また高橋氏が「アプリケーションの開発環境が重要だ」と述べると、鎌田氏はエンドユーザーの財布の紐をゆるめるソフト作りが重要であり、インターフェイスや安全性にも配慮したソフトウェア提供を行なっていくと語った。この後、KDDIが提供しているコンテンツ料金回収代行サービスに話が及ぶと、KDDIの高橋氏は「もっと利用して欲しい。もちろん審査はしており、品質を保つために巡回も行なっていく」と言うと、堀氏も市場の健全な成長が前提であると同意していた。


ネットワークの高速化

 NTTドコモの504iシリーズが28.8kbps通信に対応したことを例えに、ネットワークの高速化が与える影響については、参加者はいずれもビジネスモデルを変化させるほどの影響は無いとの意見で一致。夏野氏は「携帯電話で行なえる事柄が増え、アプリケーションの利用価値が高くなる」と話した。話題が有料コンテンツの上限額になると、夏野氏と高橋氏は「現状で問題ない。むしろ200~300円である方が伸びる」との認識を示した。続けて高橋氏は「ペイパービュー的な課金でもいいが、やはり定額サービスを提供していくべき」と話した。


近未来のモバイルビジネス環境

 2005~2010年の携帯電話を取り巻くビジネスの話題になると夏野氏は「分からない」と正直な感想を述べ、場内を笑いに誘った。続けて「具体的なことは分からないが方向だけは誤らないようにしたい」と語り、携帯電話と様々なプラットフォームとの融合を想定しているが、その都度、ユーザーに受け入れられる機能を提供していきたいとした。

 高橋氏は、著作権管理はキャリアが担当すべきと述べたほか、定額でのサービス提供はKDDIの財産を活かし、有利な材料となると再度発言して来年度開始へ意欲を表した。

 鎌田氏は「ブロードバンドも普及し、家電ネットワークが広まると、携帯電話も他のインフラと繋がる。スタンドアローン前提で設計されたパソコンに比べてネットでのビジネスが展開しやすい」と明るい将来像を描いた。コンテンツを提供する側である堀氏は「作り方よりもキャンペーンなどのプロデュース能力が問われる」とコメントし、使用目的や活躍の場が増加すると予測し、異業種の将来像を考えていきたいと述べた。

 終了時間が近づくと、聴講者から質問を受け付け、動画コンテンツへの意見を求められると、夏野氏は「動画だけではビジネスにならない」と一刀両断。あくまでプラスアルファの表現手段であるとした。これに対し、高橋氏は動画だけでは力不足である点には同意したものの、「動画は生かしていきたい」と今年後半にezmovie対応機種を投入することを明らかにした。

 最後に司会の岸原氏が「携帯はまだまだこれからだということですね」とまとめ、出席者に一言を求めると「もっと自信を」「スピードは衰えていない」とそれぞれ不景気を乗り越える気概を示して、パネルディスカッションは終了した。


・ NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
・ ACCESS
  http://www.access.co.jp/
・ KDDI
  http://www.kddi.com/
・ サイバード
  http://www.cybird.co.jp/
・ WIRELESS JAPAN 2002
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2002/


(関口 聖)
2002/07/17 22:01

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