関口聖: NTTドコモ P-01A
過去10年、携帯電話はさまざまな進化を遂げてきた。通話に留まらず、メール、インターネットが利用できるようになり、電子マネーやクレジットカードとしての機能、ワンセグの搭載など、数え上げたらきりがない。数ある進化の中でも、最も重要なモノは何かと問われたら、私は迷わずディスプレイの進化を挙げたい。QVGA、VGA、そして今年はハーフXGAという解像度まで登場し、ディスプレイサイズも「3インチ以上でなければ大画面とは言えない」というレベルまで来た。
とくれば、今年のナンバーワンケータイは「931SH」になるはず。確かに、「931SH」は、ディスプレイのみならず、タッチパネルでの操作性やウィジェット対応など、他を圧倒する戦力を擁している。だが、ディスプレイの進化がケータイにとって重要なのは、その大きさだけが主要因ではない。大型化したからこそ、ワンセグや動画、ブラウジングといったアプリケーションの魅力が増すのだ。ディスプレイがあるからこそ、ケータイはさまざまなコンテンツを楽しめる。
その大型化したディスプレイを使って、ケータイでアレコレ楽しめるんだ! という点を提案したケータイの1つがパナソニックの「P-01A」だ。パナソニックのハイエンドケータイはWオープンスタイルを採用し、縦でも横でも使えるケータイを提案してきたが、「P-01A」は従来よりもボディを薄くし、さらに「2WAYキー」というギミックを投入してきた。縦横でキー印字の向きも変わるというアレである。
テレビCMだけを見ると、「なんすかアレは?」と気になってしょうがない2WAYキー。発表会で初めて目にしたときは、ドコモの担当者に「これ電子ペーパーっすか? ペーパーですよね? 違うんスか?」と回答を待つことなく問い続けてしまった。その正体は本誌インタビューをご覧いただくとして、ギミックの仕組みが判明した瞬間「なんじゃそらー」と吉本新喜劇ばりにずっこけると同時に、そんな仕組みを入れていながら、このボディサイズ! パナソニック、恐ろしい子! と驚愕した。
日本のケータイは、縦画面で使うものだった。それが常識だった。しかし最近では、徐々に横画面での利用が進んできて、動画を見たり、ワンセグ見ながらメールを書いたり、Webブラウジングしたり……とマルチメディアプレーヤーとしての性格を強めている。その流れの中に、「インターネットマシン 922SH」やサイクロイドのAQUOSケータイ、富士通の横モーションケータイ、NECのN-01Aなどが登場しており、Wオープンスタイルもまたその1つだが、これまでは「横画面はビューアーとしては良くても、バリバリ操作するもんじゃないよね」という形だった。そこに登場した2WAYキーは、「ケータイは横でも使えるんです!」と高らかに宣言し、縦と横という2つに分かれた世界を繋ぐ存在となった。つまり、P-01Aは横ケータイの在り方として、1つの答えを導き出した機種と言える。もちろん、P-01Aだけが正解ということではないだろうから、今後も試行錯誤は続くのだろうが、2WAYキーは2008年に打ち立てられた進化のマイルストーンであることは間違いないだろう。
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