太田亮三: ソフトバンク Nokia N82
コンシューマ分野における日本市場からの撤退を突然発表しつつ、VIP向け「VERTU」は日本市場投入意向を継続。数日後にはバルセロナのプライベートイベントで華々しく海外市場向けの新端末「N97」を発表するなど、年末のノキアは話題に事欠かなかった。年末恒例の読者投票企画でも端末・ニュースともに高い注目を集めたことからも、業界関係者のみならずインパクトは大きかったと思われる。
NTTドコモ、ソフトバンクモバイルともに、「E71」は発表後から1カ月もたたないうちに発売中止をアナウンスする結果になるなど、異例の対応となったのは、撤退の意志決定が日本市場の外から突然やってきたことをうかがわせる。「キャリアに恥をかかせてはいけないですよ」といった関係者の声は、日本のキャリアとメーカーの関係をよく表しているが、ノキアの意志決定機関にはあまり関係のないことだったようだ。
そんな慌ただしい動きがある中、発売中止にならずに市場に投入されたのが「Nokia N82」だ。改めて使ってみると、N82は全般的にキビキビと動作することもあり、S60プラットフォームをしっかりと使いこなしてみたいという気にさせる。S60にまつわる“異文化”の香りに戸惑うこともあるが、未成熟かというと、それは正しくない。例えばデフォルトの目覚まし用アラーム音のデキの良さ(本当に目覚めやすいのである)や、反射型液晶の活用、段階的に消えていくバックライトなど、本当に細かい事だが、昔から連綿と続けられている、ユーザーに近い部分での使い勝手の良さや小粋な演出がある。
世界各国での調査・マーケティングとともに生み出されるノキア端末の機能・デザインは、すべてが日本人の使い方にフィットするわけではなかったが、海外市場の雰囲気を手にできる貴重な機会だったのもまた事実。ユーザーニーズが多様化する中でひとつの選択肢が失われてしまったのは残念だ。いちユーザーとして再参入を待ちながら、N82を大事に使っていこうと思う。
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