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読者が選ぶ ケータイ of the Year 2003 [2003/12/26]
俺のケータイ of the Year 2003 筆者編 [2003/12/26]

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俺のケータイ of the Year 2002 筆者編 [2002/12/26]
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俺のケータイ of the Year 2001 [2001/12/27]

俺のケータイ of the Year 2000 [2000/12/27]

俺のケータイ of the Year 2003

編集部スタッフ 編


 ケータイ Watchの編集部スタッフが選んだケータイ of the Yearです。使い方や好みによって、ベストケータイは人それぞれ。このコーナーでは、そうした個人的な見地から、2003年のベストケータイを選んでいます。読者のみなさまの投票で決定された「読者が選ぶ ケータイ of the Year 2003」もぜひご覧ください。

【編集部スタッフの選出機種一覧】
小川
NTTドコモ
N2102V
工藤
ボーダフォン
V601N
湯野
ボーダフォン
V601SH
関口
NTTドコモ
P505i 阪神
津田
au
A5305K
太田
au
INFOBAR
鷹木
DDIポケット
AH-J3002V

俺のケータイ of the Year 2003 ケータイ Watch筆者編はこちら


 編集部小川: NTTドコモ 「N2102V」

N2102V

 私が選んだのはNTTドコモのFOMA端末「N2102V」だ。2001年10月に開始されたNTTドコモの3Gサービス「FOMA」にとって、9月末で100万契約の大台を突破するなど、2003年は飛躍の年と言えたのではないだろうか。なかなか普及が進まなかった旧来機の“大きい・重い・電池が持たない”というあまりスマートではなかったイメージを払拭し、契約数増に大きく貢献したのがこの「N2102V」なのではないだろうか。

 PDCの50Xiシリーズ並みのサイズと重量、電池の持ちを端末が実現すれば、テレビ電話や高速iモード、安いパケット料金等々、FOMAしか持たないウリとなる部分はより一層魅力的に見えるというもの。街中で若い女性がこの端末を持っているのを何度か見かけたことがあるが、女性の審美眼にかない、実際に購入機種となり得ているという事実は、FOMAのメジャー化の象徴と言っても過言ではないだろう。

 元々NTTドコモのNEC製端末は、ソツなくまとまっており相対的な評価も高いが、このN2102Vもまさにそれが当てはまる端末だろう。また、N2102Vが初めてというわけではないのだが、パソコンを使う人にはなじみのあるポインティング方式「ニューロポインター」の採用もチャレンジという意味では評価したい。カメラが31万画素だったり、メモリカードスロットが無かったりと、最新鋭機種の発売が目白押しのこの年末を迎えてしまうと、機能的に見劣りしてしまう部位も少なくないのだが、それでもN2102Vが携帯電話としてのトータルバランス・完成度の非常に高い端末であることに変わりはない。

 NTTドコモのロードマップとしては、最終的にはPDCから3G(W-CDMA)へ全面移行するのであろうが、そのステップの大きな足がかりとなった年の立役者ということで、このN2102Vを「俺のケータイ of the Year 2003」とした。

 編集部工藤: ボーダフォン 「V601N」

V601N

 2003年を通じて個人的にもっとも愛用した端末はauのA5401CAなので、かなり選択に迷ったものの、今年はボーダフォンのV601Nを選ばせていただいた。

 選んだポイントは、当然ながら日本初のテレビチューナー内蔵携帯電話という点だ。受信感度は首提げタイプの小型ポータブルテレビと同程度。それで携帯電話としても大きくならずにまとまっているのは立派だと思う。動画配信コンテンツと違い、地上波を受信してるだけなのでいくら視聴してもタダというのもいい(ちなみにNHK受信料は、世帯でBS分までちゃんと払ってますヨ)。

 受信中のテレビ番組を、静止画でキャプチャして待受画面に設定したりも可能。好きなテレビドラマのワンシーンを待受画面にできたりするわけだ。テレビドラマというのは、インターネットサービスなどで二次利用するには非常に複雑な版権処理をクリアしなくてはならない。このため、ドラマのワンシーンを待受画面として配信するなんてことはほとんど行なわれていないのが現状だ。ドラマフリークなら見逃せない機能ではないかと思う。

 もっとも、わたくしの場合はドラマやタレントとかにはさほど興味がない。また、通勤は地下鉄利用なので、通勤途中でテレビ番組を受信するのは無理だ。じゃあどういう風に使ってるかというと、会社のデスクで、充電台に置いてテレビ番組を受信している。映りは窓際ならけっこうキレイだが、わたくしのデスク上ではイマイチ。でも退社時間が遅いので、夜のニュース番組などをなんとなく映している。

 いまどきはニュースの動画配信もあるので、テレビチューナーを内蔵しない自分のノートパソコンでも映像ニュースを視聴しようと思えばできないことはない。しかし、テレビ番組視聴にそこまで力が入ってるわけではないので、CPUパワーがそれに喰われるのはあんまり嬉しくない。むしろ、なんとなく視界に入る中にテレビ画面があり、興味が引かれるものがあれば、観ようかなという程度なので、画面が小さくて、見ようと思わなければあまり視界の邪魔にならないのも、けっこういい感じなのだ。

 携帯電話でのテレビ視聴の本命はデジタル放送になると思うが、携帯電話サイズを守ってテレビチューナーを内蔵し、きっちり製品レベルに仕上げた第1号機、という点を高く評価したいと思う。いや、ほんと使ってみると意外とテレビ観たりしますよ。なんといっても映すのタダだし。

 編集部湯野: ボーダフォン 「V601SH」

V601SH

 2001年の「F671i」、2002年の「SH2101V」と、2年連続で特殊な端末を押してきた私だが、今年はみなさんにも普通に納得していただけるであろう「V601SH」をベストケータイとして選んだ。ただし、V601SHを選んだ理由は、端末として優れているということよりも、「一つの区切り」という意味合いが強い。

 J-SH51の登場、あるいはJ-SH07の登場以来、ボーダフォン(J-フォン)のシャープ製端末というと、思いつく機能をこれでもかと言わんばかりに詰め込んだ超ハイスペック端末のオンパレードだった。カメラは200万画素になり、オートフォーカスまで付いた。SDカードでは音楽や電子書籍が楽しめ、さらにはバウリンガルまで利用できるようになった。

 しかし、V601SHには足りないものが一つあり、その一つが今となっては決定的に大きな存在になっているのだ。その一つとは「3G」に他ならない。

 カメラは200万画素になり、撮影した画像のファイルサイズが大きくなった。Javaアプリ(Vアプリ)の仕様が拡張され、容量制限が256KBまでに緩和された。しかし、依然として通信はPDC方式の28.8kbpsパケット通信なのだ。たしかにV601SHはPDC方式の端末としては最高のレベルに到達したが、性能面・コスト面でのネットワーク側の制約が大きく、PDC端末である限りはこの先、劇的な進化は見込めそうにない。

 V601SHは、PDC方式の携帯電話のいわば完成形と言える端末だろう。「2004年からは3G」という期待を込めてV601SHを今年一番の端末とした次第だ。

 編集部関口: NTTドコモ 「P505i 阪神タイガース優勝バージョン」

P505i 阪神タイガース優勝バージョン

 今年を振り返ると、ハイエンド端末ではQVGA液晶や100万画素カメラが標準的な装備となっただけではなく、新たな付加価値がどんどん登場しており、来年もその進化が続くことは間違いない。

 利便性が向上することは確かに嬉しいが、本当にそれだけで良いんだろうか? 契約者数がいよいよ8,000万に到達するレベルまで携帯電話の普及は進み、私たちの生活にはもう欠かせない存在だ。ならば、もっと心踊るケータイが欲しくならないだろうか。

 性能向上とは別の切り口で、新たな携帯電話の魅力を開花させた端末こそ、パナソニック モバイルコミュニケーションズの「P505i 阪神タイガース優勝バージョン」だ。基本的な性能は、現在でこそやや見劣りするが、それでも発表時点では最先端で、さらに18年ぶりの優勝に沸くタイガースファンを満足させるという外観、ソフトウェアの仕上がり。

 この端末を手にするだけで、多くのタイガースファンは思わず涙ぐむだろう。ユーザーの心の琴線に触れる力を持った端末が他にあるだろうか。今回の「P505iS 阪神タイガース優勝バージョン」は、着せ替えカバーのように端末の一部分だけではなく、「外も中もユーザーの“色”に合う」ことが重要な点だ。これは、何もタイガースファンだけに該当することではない。今回こそ「タイガース」に限定されているが、そのデザインに1つ工夫を加えるだけで、“単なるコミュニケーションツール”という枠を乗り越え、ユーザー1人1人の個性にマッチできる力がイマドキのケータイにはあると明確に示されているのだ。

 甲子園という街で20年余を過ごした私は、もちろんタイガースを愛する1人。プロ野球シーズンの毎日に一喜一憂し、9月15日に歓喜の涙を堪えきれなかった私が選ばずに、いったい誰がこの端末を「今年一番のケータイ」に選ぶというのか。携帯電話ユーザーとして、そしてタイガースファンとして、こんなに幸せなことはない。

 編集部津田: au 「A5305K」

A5303K

 今年は何と言ってもリボルバーケータイだろう。ボディが180度回転する「ターンタイプ」を採用したA5305Kは、2003年に発売された端末の中で最も気の利いたギミックだったように思う。先行して発表されたSO505iも同様の機構を持つが、発売はA5305Kの方が先で、しかも回転式が単に奇をてらった仕掛けに終わらなかった点も評価したい。

 回転させることで電話の発着信が可能で、画面の天地も切り替わる。その上、回転させなくとも通話やWeb、メールの確認ができるのだ。利用スタイルのアバウトさもユーザーにとっては気楽に使えていいだろう。

 さらに、カメラ付きが当たり前となった現在、端末を閉じた状態のままカメラ撮影が可能で、しかもサブディスプレイをファインダー替わりにすることなく、より大きなメインディスプレイで撮影できる点もうれしいところだ。もちろん通常の折りたたみ端末でも悪くはないのだが、カメラ付き端末の1つの方向性を示したことは大きいと思う。

 昨年の当企画で私はJ-P51を選択した。カメラ付き端末にスライド式のカバーを付けたことを評価したからだ。A5305Kでもカメラにカバーが装備されており、レンズカバーをスライドさせるだけでカメラが起動する。回転式といい、レンズカバーといい、機能が単機能に終わらず、他の機能と連動しているのは使っていてストレスを感じさせない。

 A5305Kは新しい機構に挑戦し、しかもそれが「ユーザーにとってどうか?」と考える開発陣の姿勢が見える。もっとも、個人的にはカメラのホワイトバランスがイマイチだと感じたのだが……。いずれにしても、ハイエンド向けでもローエンド向けでもない端末で、こうしたユニークな機構が登場した日本の携帯電話市場はとても「いい感じ」だ。ユーザーの選択の幅を拡げる上で、メーカー各社にはどんどん挑戦して欲しい。

 編集部太田: au 「INFOBAR」

INFOBAR

 INFOBARは、これまでケータイが拠り所にしてきた絶対的な数値、何万画素、何MB、何インチ、何万色表示というスペックによる訴求を捨て、端末デザインでもって個々人の主観にその判断を委ねた、潔くも“カッコイイ”ケータイだと思う。

 今となっては珍しくなったストレート型であることや、特徴的なタイル状のキー、上質な塗装、鮮やかな配色といった点は、こんなケータイが許されるんだという思いとともに、市場の大きさを考えれば、なぜ今までここまでデザインにこだわった端末が登場して来なかったのだろうと考えさせられた。

 INFOBARを見て、改めて昨今の携帯端末が機能優先でデザインされ、より統一された美しさのためのデザインコンセプトが欠如している端末が多いことに気付いた人も多いだろう。ストレート端末が駆逐されていった理由の一つに、高性能なデバイスをより積める折りたたみ型が優先された、というものがある。一昔前はストレート型がほとんどだったし、今でも海外ではストレート型が多い。機能を重視し、つまらないデザインの折りたたみ型が溢れたの現在の携帯電話市場において、INFOBARとは新しいのではなく、本来あるべきはずだった選択肢に過ぎないのかもしれない。

 過去、ボーダフォン(当時J-フォン)からJ-D06“graphica”という端末が、従来とは少し違った端末デザインで世に出ていた。しかし後に続く端末は見当たらず、「まずデザイン重視」という私は常に飢餓感を感じていた。そこへINFOBARが登場してきたわけだが、INFOBAR発売前の時点において、デザイン優先、機能は標準レベルというストレート端末に市場性が不透明だったことも確かである。INFOBARという端末を企業として、ビジネスとして市場に送り出したKDDIには素直に賛辞を送りたい。

 編集部鷹木: DDIポケット 「AH-J3002V」

AH-J3002V

 私が選んだ「ケータイ of the Year」は、DDIポケットのAirH"PHONE「AH-J3002V」だ。しかしながら、携帯キャリアではなくPHSキャリアの端末、もしかしたら「AirH"PHONEって何?」という人もいるかもしれないので、簡単におさらいしておく。

 AH-J3002Vは、日本無線製の端末だ。DDIポケット端末としては初めてCompact HTML対応のブラウザを実装。同社の公式サイトや、iモード向けの“勝手サイト”を楽しめるようになっている。ルネサステクノロジのアプリケーションプロセッサ「SH-Mobile」を搭載しており、PHSとはいえWebやメールの閲覧時はなかなかの反応速度であることも見逃せない。

 とはいえ、カメラもついてないしアプリも搭載していないので、「ひと昔前のiモードでとっくに実現してるよ」と仰るユーザーもいるだろう。

 それでも私はAH-J3002Vを選択する。その真価は、スペックではなくメールやWeb閲覧が定額で利用できることにあるからだ。このメール放題、Web閲覧し放題のサービスに対応する唯一の端末が現状のところAH-J3002Vのみ(背面液晶無しのAH-J3001Vもあるが)なのだ。

 単純に私が貧乏性なだけなのかもしれないが、「メールやWebを利用するたびにお金を心配するのはイヤ!」というユーザーには間違いなくオススメ。また、熱意あるユーザーも多く、専用ゲーム「コロニーな生活」などの草の根サービスも豊富。ちなみに「コロニーな生活」は、ケイ・ラボラトリーなどにより第2弾が公式サービス(有料)として提供されるほど完成度は高い。

 最後に、他キャリアに先駆けてDDIポケットが、定額制という扉を開いた英断に対して素直に拍手を贈りたい。ただし後続には、auのEZフラットが控えており安心はできないだろう。EZフラットの対応端末はカメラ搭載でスループットも最大2.4Mbps。対するAH-J3002Vは、カメラもなく、スループットも32kbpsと、その差は明白。しかし、EZフラットの月額料金が4,200円で、まだまだ高価なのも事実。迷ったユーザーには、比較的低料金で利用できるAH-J3002Vも十分“アリ”だろう。端末価格もこなれており、料金を気にせず利用できる定額制サービスの素晴らしさを体験する良い機会ではないだろうか。



2003/12/26


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