特集:5Gでつながる未来

フジロックでソフトバンクの5Gプレサービス、シャープとソニーの5Gスマホも

 26日~28日の3日間、新潟県の苗場スキー場で開催される音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVAL '19」で、ソフトバンクが5Gのプレサービスを提供している。

ソフトバンクのブース

 会場内に設けられたソフトバンクのブースでは、別の場所に設置された5G基地局(LTE対応の移動基地局車に5G装置を搭載したもの)からの電波を受信する5G対応のスマートフォンが用意されている。

晴天に恵まれたフジロック会場。それでも時折、雨がぱらつく

 ブース内の5Gスマートフォンは、ソニーモバイルコミュニケーションズおよびシャープが提供する試作機。操作することはできず、取材陣に対してもその外観の披露だけに留まったが、実際に5Gの電波で通信。VR空間で楽しめるライブ映像や、会場内に設置されたカメラの映像が5G経由で伝送されている。

 今回のプレサービスは、実験局免許により3.7GHz(100MHz幅)を用いる形。ソフトバンクに対しては、5G向けの周波数(電波)として3.9GHz~4GHzの100MHz幅が割り当てられており、正式サービスと異なる周波数帯ということになるが、担当者によれば、電波伝搬特性などに大きな違いはないという。

基地局車
ブースまで見通しの良い位置ということで低めに設置されたMassive MIMO対応の5G用アンテナ

来場者が楽しめる5G伝送のVRライブ映像

 フジロックのソフトバンクブースには、VRゴーグルのOculus Questが複数用意されており、フジロックのライブ映像をVR空間で体験できる。

Oculus Quest

 同じタイミングで、テレビ朝日本社で開催中のイベントブースにおいて、光回線経由で同じVRコンテンツを楽しめるようになっており、フジロック会場にいる人と、テレビ朝日のイベントブースにいる人が同一のVR空間でライブを楽しめる。

 フジロック会場にいる人にとっては、目の前で繰り広げられるライブを、VRでも楽しむ格好。サウンドや空気感はライブ会場のほうが豊かな体験を味わえるが、VRであればテレビ映像のようにアーティストの表情までわかるなど、会場ではなかなか目にできないコンテンツ。

体験していた男性

 実際に体験した22歳の男性と21歳の女性に感想を聞いたところ、「リアルだった。同時に別の場所の人と繋がっていたのも含めて面白かった」と楽しんだ様子。座って体験するようになっていたためか「動き回れたら」ともコメントしていた。

プレサービスで目指したものとは

 今回の取り組みをリードしたソフトバンクコミュニケーション本部プロデュース課課長の時村晋太郎氏によれば、2018年末ごろに検討をスタート。2018年のフジロックではライブ配信を手がけており、2019年は5Gを組み合わせていくことにした。

カメラで捉えた映像を5G経由で伝送

 これまでも実証実験を重ねてきた中で、大きな違いとなるのが、一般ユーザーも参加できるところ。これまでの実験は主にパートナー企業とともに進めることが多かったが、今回はコンシューマーが参加できることから、実験ではなく「プレサービス」と銘打つことになった。

 ネットワークを担当したモバイルネットワーク本部 5G戦略課課長の堀川学氏は、カメラやVRデバイスなど、スマートフォンとは違うデバイスを含めたエリア設計は、5Gならではの要素になると指摘する。

左から時村氏、香川氏、堀川氏

 もし監視カメラなどに5Gモジュールが搭載されるようになれば、より良い通信品質を安定して提供するためには、基地局の設置などの調整が必要であり、たとえばサードパーティの5G対応カメラよりも、ソフトバンク自身が手がける5G対応カメラのほうが、設置状況にあわせて、より高品質な通信環境で利用できることも考えられる。将来的には通信事業者ならではの付加価値あるサービスの可能性も視野に入るようだ。

 時村氏は「高速大容量、低遅延、多数接続と行った5Gの要素をユーザーへ伝えていくのは難しい面がある。『ライフスタイルが変わる』『日常生活が変わる』といった形で発信したい」と説明。フジロック以降も、何らかのイベントにあわせるなど、また5Gのプレサービスを展開する方針も明らかにした。