iPhone駆け込み寺

マスクでもiPhoneのロック解除ができる! 「iOS 15.4」でのFace IDをチェック

 3月15日未明(日本時間)に一般公開された「iOS 15.4」ではiPhoneの顔認証機能「Face ID」が強化され、マスク着用時に認証できるようになっている。従来とどう変わったのか、どのように使えるようになったのかを簡単に解説する。

今回の機能強化はiPhone 12以降のみ

Face IDの認証に使うTrueDepthカメラ

 ユーザーの顔の立体形状を使って認証する「Face ID」は、2017年発売のiPhone Xから搭載されているが、今回の機能強化は「iPhone 12」以降のみとなっている。つまり「iPhone 11」以前のFace ID対応機種では利用できない。もちろんiPhone SEなどFace ID非対応機種も関係ない。

 iPhone 11以前で対応しない理由は明らかにされていないが、Face IDに使うTrueDepthカメラやプロセッサーなどハードウェアの性能がiPhone 12以降である必要があると推定される。

 また、Face IDに対応するiPad Proについても、今回アップデートには対応しない。iPadも外出先で使うことの多いデバイスでもあるので、ここは地味に悲しいポイントであり、iPad Air/miniのようなTouch ID(指紋認証)の方が使いやすいのでは、と思ってしまうポイントでもある。

設定は再起動時に1度だけ。メガネ着用者は使うメガネの登録も

 iPhoneをアップデート後に再起動すると、マスク着用時のための Face IDの追加登録の設定手順 が開始される。

 ここで画面の手順に従い、Face ID初期設定時のように自分の顔を登録する。初期設定時と同じく、2回、スキャンするが、初期設定時と異なり、メガネ着用者は2回目だけメガネを外す必要がある。手順としてはわざわざ解説する余地がないくらい簡単だ。

マスク着用時のFace IDの設定画面。「設定」アプリの「Face IDとパスワード」からも設定できる
デザインが大きく異なるメガネを使い分けしている人は、メガネを追加設定できる

 iOS 15.3以前のFace IDでは、顔の下半分の立体形状を認証に用いていたが、iOS 15.4以降では顔の下半分がマスクで覆われている場合、露出している顔の上半分、とくに目の周りで認証するようになる。

 そのため、メガネ着用者はメガネを着用した状態でも登録が必要になる。複数のメガネを使い分けしている人は、それぞれのメガネの登録も必要だ。サングラスなども同様である。

中央のメガネで登録したところ、左のメガネは再登録なしに認証を通ったが、右のメガネは通らなかった

 ただ、筆者が試した限りだと、フレームの細いメタルフレームやアンダーリムのメガネ同士であれば、1つ登録しておけば別のメガネでも認証が可能だった。一方、フレームの太いセルフレームのメガネは、未登録だと認証が通らなかった。

Apple Watch着用時のロック解除とはちょっと違う

 非対応機種やiOS 15.3以前でも、Apple Watch着用時はマスクを着用していてもiPhoneのロック解除が可能だ。しかし「iOS 15.4」で追加された新しい認証機能と、従来のApple Watchのロック解除とは全く異なっている。

 まずiOS 15.3以前で対応していたApple Watch着用時のロック解除は、あくまでロック解除だけの機能だ。

 「ペアリングされたApple Watchがロック解除状態で近くに存在する」「マスク着用者がiPhoneの目の前にいる」の2つの条件が満たされたときにロック解除すると言うもので、厳密に言うと「認証」はしていなかった。

 実はこちらだと、iPhoneの目の前にいる「マスク着用者」は誰でもよい。

 ロック解除されるとApple Watchに通知がいくので、意図しないロック解除が行なわれた場合にはApple Watchから強制ロックをかける、という手法だ。実用上は大丈夫かもしれないが、厳密にみると少々怖い実装でもある。iPhone 12以降を利用している人は、Apple Watchを持っていても「マスク着用時に設定」を行うことを強くお勧めしたい。

Apple Payなどを使うための「ウォレット」アプリも生体認証が必要

 またApple Watchを使ったロック解除でできることは、ロック解除、つまり“スリープ直後のロック画面からホーム画面や各アプリの画面に遷移”することだけで、そのほかの生体認証が必要な場面では使えなかった。

 たとえば銀行のアプリなどは一部、起動時に生体認証を求めたりするが、そこではApple Watch着用中でもマスク認証はできなかった。Apple Pay利用時やパスワード自動入力時などは「認証」が必要で、Apple Watch+マスク着用時はできなかった。

 一方、今回のiOS 15.4+iPhone 12以降だと、こうしたロック解除以外のFace ID認証もマスク着用で可能になっている。外出先でパスコードやパスワードの入力が省けるのが非常にありがたいポイントだ。とくにApple Payは外出中に使うことが多いので、ここが対応してくれたことは非常に大きい(Apple Watch利用者にはあまり関係ないけど)。

 対応機種がiPhone 12以降と限定されている点はやや残念だが、それでも非常にありがたいアップデートだ。iPhone 11以前など非対応機種を使っているならば、買い換える価値ががあるとすらと思う。とくにiPhone X/XRあたりは買い換えどきに近づいているタイミングだ。

 iOS 15.4公開から数日遅れでTouch ID搭載のiPhone SE(第3世代)が発売される。今回のiPhone SEも長く使えるロングセラーモデルになりそうだが、iOS 15.4により、「マスク着用時に使いやすい」と言う理由でTouch IDのiPhoneを選ぶ理由はなくなった。

 Touch IDは確かに便利な面もあるが、慣れるとFace IDの方が便利なことの方が多い。iPhone SE(第3世代)に買い換えようかな、と思っている人も、検討候補にiPhone 12/13シリーズを加えておくことをおすすめしたい。