ニュース

離島からの旅立ち“15の春”を応援するプロジェクト

~「親子ケータイ教室」で初めてスマホに触れる子供たち

 沖縄セルラーは、沖縄離島に住む子どもたちの、教育環境および情報リテラシーの向上をサポートする「沖縄離島 15の春 旅立ち応援プロジェクト」を始動した。プロジェクトの一環である「親子ケータイ教室」が沖縄の離島、北大東島で実施されるということで、現地を訪れた。また、中学卒業と共に離島を離れて沖縄本土の高校に進学する子供たち5名が、まさにこの春旅立つとのことで、その模様をレポートする。

「沖縄離島 15の春 旅立ち応援プロジェクト」

 同プロジェクトは、中学校卒業とともに島を離れ、沖縄本島(または本土)の高校に通う中学生を対象に実施する教育支援。情報リテラシーを身につけられるよう、ITを活用した教育を行う。

 そもそもなぜこのプロジェクトが発足したのか。高校のない離島では、子供たちが中学を卒業した後、沖縄本土の高校へ進学する。人口の少ない島の子供たちは、数名の同級生と小・中学校を共に過ごし、島民たちからは皆家族のように育てられる。沖縄本土の高校へ進学する際に、新たな人間関係構築や、自立した学校生活を送ることに戸惑いを感じたり、本土(都会)での生活に気後れしてうまく馴染めないというケースがあるという。今回の「沖縄離島 15の春 旅立ち応援プロジェクト」は、いじめやトラブルに巻き込まれることのないよう、子供たちをサポートすることを目的に発足したプロジェクトだ。

15の春、旅立ちのとき

楽しみと怖さを教える「親子ケータイ教室」

 携帯電話やインターネットの適切な使い方を学ぶ機会がほとんどないという離島において、本島への進学後、ネット上のいじめ、ソーシャルなどのトラブルに巻き込まれてしまう子供たちも少なくない。携帯電話やネットサービスの安心安全な使い方を指導する取り組みとして、沖縄セルラーは「親子ケータイ教室」を行う。

「親子ケータイ教室」が実施された北大東島の北大東小中学校
学校の教室で行われる。島の子供たちや親子での参加が見られた
用意された端末「isai」が全員に配られる。スマートフォンに初めて触れるという子供たちがほとんど
沖縄セルラー社員の有志により参加する数名の先生が、島に派遣される
「通話」や「LINE」の使い方の基本を学ぶ
参加した親御さんたちも、真剣に耳を傾けていた
便利さや楽しさだけではなく、怖さも伝える
実際に起こったトラブルや事件を例に、SNSでの注意点を説明する
「こんな人がいたらブロックしよう」と注意を呼びかける
Twitterでの炎上事件についても言及していた

 「親子ケータイ教室」の先生は、沖縄セルラー社員の有志により島へ派遣される。学校の先生にも有志を募りながら、実施していくという。KDDIが全国各地で実施する「ケータイ教室」で利用している教材(テキスト、冊子、ビデオなど)が活用されていた。スマートフォンに初めて触れる子供たちがほとんどで、興味深げに操作する子供たちや、真剣に耳を傾ける親御さんの姿が印象的だった。地域によってリテラシーに差があることから、より地域に根ざした教育支援を行うことが、今後の課題として挙げられる。

離島からの旅立ち

 親子ケータイ教室が行われたこの日、船で沖縄本島へ旅立つ5名の子供たちがいると聞きつけ、港を訪れた。北大東島から沖縄本土まで船で14~16時間。子供たちは船中、語らい合いながら島へ向かうのだという。

 島民たちが続々集まり、旅立つ子供たちを見送る姿が見られた。この島は断崖絶壁に囲まれた島で、波の影響もあり接岸できないため船着場では、荷物や物資の入ったコンテナはもちろん、車や牛、人までもクレーンで船に積まれていく。夕暮れの中、名残惜しそうに旅立ちを見送る姿が印象的だった。

本日子供たちが旅立つ船
南大東島を経由して、沖縄本島まで14~16時間
港へは続々島民が集まり、別れを惜しむ姿が見られた
専用のかごに乗って、クレーンで船に乗りこむ
手作りの横断幕も
紙テープで門出を祝う
見送る島民たち
ついに出航。遠ざかる船から「元気でねー」と何度も声をかける
突然、港から海に飛び込む子供たち。水面から手を振る
ボートで助ける大人たち。見送る子供たちが海に飛び込むまでが、この島の恒例なのだという
ボートの上からも最後まで名残惜しそうに見送る

川崎 絵美