日本通信、「talkingSIM」に1年間の期間拘束導入


 日本通信は、音声通話も可能なSIMカード「talkingSIM U300」および、SIMフリー版版iPhone向けSIMカード「talkingSIMプラチナ」について、1年間の最低利用期間を設定したことを明らかにした。他の携帯会社への抗議だとしている。

 「talkingSIM U300」は、データ通信だけでなく通話も可能なSIMカード。月額3960円(初期費用3150円)で、上下最大300kbps超のデータ通信のほか、21円/30秒で通話も可能。料金には1050円の分の無料通話分が含まれている。「talkingSIMプラチナ」は、SIMフリー版iPhone向けの通話付きSIMカード。いずれのサービスも、端末は別途ユーザーが用意して利用する。

 これまで2つのサービスには、利用期間による拘束はなかった。日本通信では、3月20日16時以降の申し込みについては、1年間の最低利用期間を設けると発表した。発表は施策導入2日後の3月22日。3月20日16時以降に契約したユーザーは、1年未満で解約すると1万500円の違約金が必要となる。なお、期間拘束は一時的な措置だとしている。

 携帯各社は、電話番号を変更せずに携帯電話会社を変更できる携帯電話番号ポータビリティ制度「MNP」を導入している。日本通信では、このMNPでの転入に対して、携帯電話事業者と携帯ショップが連携して1回線あたり、3~7万円のキャッシュバックを行っていると指摘。さらに、最低利用期間のない日本通信のSIMカードを契約した直後にMNPで携帯キャリアを変更、それを即座に解約することで1回線で数万円のキャッシュバックが入手できるとする。日本通信はこれを通信業界の問題であると主張し、期間拘束導入の理由としている。

 なお、日本通信としては契約事務手数料や通信料、MNP手続き手数料を得ているため、短期間でMNPによる転出が多く行われても経営に影響はないとしている。同社は、携帯電話事業者の自律性と、総務省の事後規制に期待するなどと発表している。

 MNP制度を巡っては、ショップで大幅な値引きが受けられる場合があるとして、ソフトバンクは、制度の踏み台とされてきたプリペイド式携帯サービスの提供条件を変更すると発表している。

 




(津田 啓夢)

2012/3/22 12:51