もう1つの“プラチナバンド”700MHz帯の開設計画指針案を公表


 総務省は、もう1つの“プラチナバンド”700MHz帯の3.9Gの免許割り当てについて、開設指針案を公表した。3月1日~30日にかけて意見募集を受け付ける。

 総務省では、900/700MHz帯を再編し、逼迫する携帯電話向けの周波数に利用することを決めている。プラチナバンドとも言われるこの900/700MHz帯は、電波の浸透性が高く、GHz帯など高い周波数帯よりも屋内エリアなどで有利とされる。900MHz帯については、2月29日、ソフトバンクモバイルへの割り当てを「適当」とする答申がなされたところだ。

 700MHz帯の開設指針案では、2012年夏頃にも10MHz幅×2を3者に割り当てるとされた。3.9Gの中心と目されるLTE方式については、NTTドコモがXi(クロッシィ)の名称でサービスインしており先行している状況だ。Xiの場合、10MHz幅の通信速度は下り最大75Mbpsとなっている。

 指針案では、700MHzの割り当てを受けた事業者は、携帯電話による地上デジタル放送への受信障害の防止と、解消措置をとる必要がある。この受信障害とは、家庭内などに設置されたブースターに携帯電話の電波が飛び込んできた場合に、テレビ受信に影響を与える可能性があるという調査結果を踏まえたものだ。

 審査基準は基本的に900MHz帯の審査と同等のものになる。まず、最低限の基準を満たす必要があり、クリアした事業者の中から比較審査が行われる。なお、900MHz帯を取得した事業者(ソフトバンク予定)も700MHz帯に申請できるが、優先度は下がるとしている。

700MHz帯は3社に

 900MHz帯では15MHz幅×2を1つの事業者に割り振った総務省だが、700MHz帯では10MHz幅×2を3社に割り振ることに決めた。総務省では、900MHz帯の高速通信サービスでは最低15MHz幅以上が必要と判断したが、700MHz帯についても同等の高速サービスを求めていくものの、こちらは最低10MHz幅以上と見積もっている。

 これには900MHz幅での各社の申請状況も影響しているようだ。総務省の担当者によれば、申請は10MHz幅と5MHz幅を利用して15MHz幅でサービス展開するというものがほとんどだったという。このため、総務省は当面の主力を10MHz幅とし、より多くの事業者を受け入れることが帯域の活性化や、端末調達の面で有利に働くと判断した。

 なお、900MHz帯における10MHz幅と5MHz幅で若干特性が異なり、事業者の申請はこの特性に合わせた開設計画との見方もある。総務省ではそうした考えを認めた上で、欧州における900MHz帯の利用も10MHz幅が主流であるなど、現時点で高速通信サービスの主流が10MHz幅であることが大きな要因とした。

 このほか周波数移行に伴う費用は、600億円~1500億円(900MHzは1200~2100億円)と、900MHz帯よりも安価に設定された。人口カバー率については、900MHzよりも導入が遅く、割り当てには3社で協議が必要なため、人口カバー率の達成目標年度も遅く2019年度とされた。

 また、700MHz帯は3つの事業者が入るため、3つのブロックに分けられる。各事業者で希望するブロックが重複した場合は、審査基準を元に比較審査を実施する。

 




(津田 啓夢)

2012/2/29 20:18