ドコモ、音声で検索・操作できる「しゃべってコンシェル」


サービス開始当初に呼び出せるもの

 NTTドコモは、スマートフォンに話しかけて情報を検索したり、携帯電話の操作が可能な音声エージェント機能「しゃべってコンシェル」を3月1日より開始する。Android向けアプリとして無料で提供される。

 「しゃべってコンシェル」は、音声による指示でサービスやスマートフォンの操作を実現するエージェント機能。メールやアラーム機能などのアプリも一覧から探すことなく、音声で呼び出せる。同サービスは、2011年11月に試験提供を開始した「通訳電話」に続くネットワーククラウド活用機能となる。

 アプリを起動し、話し言葉で要件を伝えると、パケット網で音声データがサーバー側に送られ、音声認識エンジンと意図解釈エンジンによって、話した内容を処理して、端末の機能を呼び出したり、サービスを検索したり、場合によっては雑談応答する。

 たとえば、「○○に電話する」と伝えると、電話帳から該当のユーザーを検索し、ダイヤル画面が表示される。メールも同様で、メール本文まで音声で入力可能、スケジュール機能と連携しており、「明日の予定を教えて」と伝えれば明日の予定を、「明日○時に予定を登録」と言えば、予定登録画面になる。アラームやタイマーもセットできる。

 dメニュー内にある特定のコンテンツや一部のWebサービスについても、音声で呼び出せる。例えば「○○でランチを食べたい」と言えば、指定地域のグルメ情報が、「カレーライスを作りたい」などと伝えれば、クックパッドのレシピが検索され、「六本木一丁目までの終電」とすれば終電時刻が検索できる。地図や天気、ニュース、Wikipediaなどが検索できる。

 NTTドコモでは、呼び出せるアプリについて拡充していく方針だが、どういったアプリが呼び出せるようになるかは検討中としている。技術的には可能という。また、現状ではメール作成のようにアプリ内の操作まで音声に対応したものは少ないが、アプリ開発会社との個別対応で今後拡張していきたいとしている。

 対応アプリはAndroid 2.2以上のスマートフォンで動作する。dマーケットからダウンロードする。

 なお、情報としてサーバー側に送っているのは音声のみで位置情報や連絡先などの情報は送信されない。位置情報についてはメニューから設定することで、検索時にGPSで計測する。たとえば「周辺の病院を探す」などと伝えた場合に、検索時にGPSが有効になる。

 このほか、制御信号数を減らしており、ネットワークへの負荷については大きな問題はないとしている。




自然言語の処理が向上

栄藤氏

 今回のアプリは、音声入力で、dメニューの検索と一部のWebサービスを検索できるものとして提供される。ドコモでは、同社のさまざまなサービスや機能への導線として活用していきたい考え。

 説明を行ったNTTドコモのサービス&ソリューション開発部長の栄藤稔氏は、、キー入力やタッチ入力できないシニア層に対して、音声入力が有効であるとしたほか、音声で素早く機能が呼び出せるため、忙しいビジネスパーソンなども活用できるとする。

 また、音声入力の際に単語ではなく、自然言語(話し言葉)で入力できる点もポイントだ。栄藤氏は、iOS向けの音声エージェント機能「Siri」やAndroid標準の音声入力機能について言及し、いずれのサービスも音声認識技術については大きなが差がないとの認識を示した。対応語彙は数十万語、認識率は90%程度となっており、ドコモでは、いかにサービスや機能の導線とするかをポイントに置いているようだ。

 栄藤氏は、音声認識よりも大事なこととして、自然言語の処理が大きく進歩したことを説明。「2005年ぐらいからここ数年にかけて、入力された自然言語に対するタスク判定が大きく向上した。つまり、電車に乗りたいのか、歴史上の人物を探しているのかといったタスク判定の部分が、機械学習のフレームワークの中でかなりよくなってきたということ。サービスを提供し、ビッグデータと呼ばれる大きなデータを使って機械学習に持ち込む。今はそのしきい値を越えようとしているタイミング。機械学習が商用のレベルを超えた」などと話した。

 ドコモでは、5月頃を目処に自然言語機能を向上し、Q&A型データベースを提供する予定。より対話風のやりとりができるよう拡充する。さrない、2012年内には、iコンシェルなどの各種サービスとの連携も図られる。



通訳電話が中国語に対応

 発表会ではこのほか、試験提供中の通訳サービス「通訳電話」の機能拡充も発表された。英語と韓国語に加えて、中国語もサポートされる。検証を重ね、将来的には本格サービスとして提供される予定。



 




(津田 啓夢)

2012/2/27 13:09