KDDI、2010年度第3四半期決算は減収減益
KDDIの田中孝司社長 |
KDDIは、2010年度第3四半期連結決算を発表した。2010年4月から12月までの累計期間での営業収益は前年同期比0.5%減の2兆5719億円、営業利益は1.3%減の3721億円、経常利益は3.6%減の3497億円、当期純利益は4.7%減の2026億円の減収減益となった。
KDDIの田中孝司社長は、「第3四半期までは、おおむね想定通りの進捗」と総括。「なかでも、営業利益の通期見通しに対する進捗率は83.6%と順調に推移している」とした。
移動通信事業の営業収益は前年同期比2.5%減の1兆9523億円、営業利益は11.8%減の3596億円、経常利益は14.6%減の3531億円、当期純利益は17.8%減の2035億円となった。シンプルコースへの移行が促進されたことで音声ARPUが減少。さらに非トライバンド端末からの移行に伴う関連費用が増加したことが影響したという。
auの12月末時点での契約数は3252万7000件と、前年12月の3139万3000件から増加した。一方で、UQ WiMAXの契約数は前年12月の6万4000件から、52万4000件となり、50万契約を突破。「期末見通しの80万契約は達成可能」とした。UQ WiMAXを含めた純増数は102万9000件、純増シェアは19.6%。また、携帯IP接続ベースでの第3四半期累計純増数は23万契約、純増シェアは9.7%となった。
また、第3四半期における解約率は0.68%。販売手数料平均単価は2万4000円(前年同期は3万円)、販売手数料総額は650億円(前年同期は710億円)と、いずれも減少した。総合ARPUは前年同期比490円減の4980円。そのうち音声ARPUは550円減の2660円、データARPUは60円増の2320円。田中氏は、「2011年度には音声ARPUとデータARPUの比率が反転し、2012年度にはデータARPUの増加に引っ張られて総合ARPUが増加することになるだろう」と予測した。
2010年12月時点でのシンプルコースの加入者は1903万となり、契約率は62%。「契約率は、3社のなかでも最も遅れており、来年一杯は音声ARPUの減少に影響することになるだろう」とした。また、12月末時点での非トライバンド端末は555万台。第1四半期から第3四半期までの累計で、274万件がトライバンド端末に移行したという。
■スマホは第3四半期39万台を出荷、IS03は予想以上の実績
今回の説明では、2010年11月26日から出荷を開始したISO3の初期動向の説明について時間を割いた。
IS03単体の具体的な出荷台数には言及しなかったものの、田中氏は「予想を上回る売れ行きであり、大変順調に推移している」と説明。「まずは機種変更が中心となり、92%を占めている。機種変更は、一般的な製品の1.5倍の比率となっている。製品が足りずに機種変更からの予約で回ってしまったため、新規契約の顧客に製品が回らなかったのが原因であり、今後は、新規契約数が増加するものとみている。純増数に寄与するだろう」との見通しを示した。
11月26日~12月31日までにIS03を購入したユーザーを分析すると、年齢層では20代および30代が多く、あわせて3分の2を占めたほか、男女比では男性の7割に対して、女性が3割となり、「こうした製品の初期動向では、圧倒的に男性の購入が多いのだが、IS03は女性に受け入れられているのが特徴だといえる」と分析した。
また、IS03の購入者のうち、ISフラットの選択率が86%に達し、IS03に機種変更したユーザーのARPU比較では、IS03利用前に比べて、データARPUが約40%も上昇していることがわかった。田中氏は、「ISフラットの選択率は予想以上のもの。また、スマートフォンの拡販によって、データARPUの拡大に期待が持てる結果となっている。ただし、これは初期動向であり、第4四半期以降、どう推移するのかを見守りたい」と語った。
さらに、au one Marketが、12月末で1814アプリケーションが用意され、当初計画であった2011年3月末に1800アプリケーションを取りそろえるという目標を上回っていることを示しながら、「IS03ユーザーの約8割は、アプリケーションのダウンロードに必要なau one-IDを取得。Skype auでは約3割のIS03ユーザーがダウンロードし、jibeでは約4分の1が会員登録した」という。
au one Marketの人気アプリケーションランキングでは、LISMO!に続いて、Skype auが2位に入っており、「Skype auの利用頻度は高いと考えている。当初の見通しよりも、ダウンロード数は多いという認識を持っている」とした。また、jibeがランキングに入っていないのは、「IS03には最初からアプリケーションインストールされているため」と解説した。
田中氏は、「スマートフォンの通期累計出荷は、2桁の後半になると見ていたが、この調子では100万を超えることになるだろう。IS03の好調ぶりとともに、12月23日に発売したグローバルモデルのSIRIUS α IS06、今後発売が予定されている高画質・防水タイプのREGZA Phone IS04、コンパクトタイプのIS05によって、幅広い年齢層や女性層にアプローチを図る」と語った。
なお、iPhoneの発売については、「ノーコメントとさせてほしい」として回答を避けた。
そのほか、電子書籍については、「これから時間をかけて大きく成長させていく市場。キャリア間の競争ではなく、市場を育てる努力をしたい。今後はスマートフォンへの電子書籍コンテンツの配信も考慮しており、市場を盛り上げていきたい」と語ったが、12月25日に発売した電子ブックリーダー「biblio Leaf」の具体的な出荷台数については開示しなかった。
さらに、LTE対応携帯電話については、「2012年12月という計画には変更がない。2012年7月に800MHz帯が空くことになるが、ここから試験をすることを考えると、前倒しは難しい」と語ったほか、今日付けでNTTドコモが発表した接続料の引き下げについては、「当社も近々値下げの届け出をしていきたい。具体的な引き下げ金額については、その時に明らかにしたい」などとした。
一方、2010年度第3四半期累計の固定通信事業の営業収益は前年同期比5.8%増の6600億円、営業利益は前年同期の348億円の赤字から68億円の黒字に転換したものの、経常損益は50億円の赤字、当期純損益は14億円の赤字となった。
12月末時点での固定系アクセス回線は632万6000件。そのうち、FTTHは前年12月の142万6000件から、183万3000件に増加している。
「固定通信事業は、今年度の黒字転換を宣言しているが、役員、社員が一丸となって取り組み、第3四半期でいよいよ黒字転換した。通期100億円の黒字見通しも達成し、今後の増益基調を確立したい」と語った。
2011/1/24 17:49